第98話 夫婦みたいな幸せな光景
目が覚めると私はベッドで寝ていた。
昨日は確か、馬車でセレア様と一緒に帰ってて……私の手を握ってくれて、そこからの記憶が無い。
私は手に温もりがある事に気付いて、横を見るとセレア様が寝ていた。
………え、ちょっ…は?かわっ…じゃなくて、可愛い。
落ち着きなさいリリアナ。これは起こすべきではありません。
セレア様が休んでいるんです邪魔するのは妻失格です。
にしても可愛い、可愛すぎますセレア様。もしかして、私をここまで運んでくれたんですか?
私は周りを見るとセレア様が着ていたコートが、私のコート掛けに掛けられている事に気付く。
とても、とても夫婦みたいで私とても嬉しいですセレア様♡
はぁ……本当に部屋を掃除しておいて良かったです。
掃除する前の部屋をセレア様に見られたら、幻滅されかね…いえありえませんね。
セレア様はどんな私でも愛してくれますから♡
部屋を掃除する前の私の部屋は、セレア様がくださったカメラで撮ったセレア様の写真で埋め尽くされていた。
今はきちんとアルバムに入れてますから。
うふふ、セレア様はきっと知らないのでしょうね。
セレア様が王宮で働いている時、私はラエル様と協力してセレア様の写真を撮っている事を。
ラエル様とはライバルですが、同じ同志でもありますので……。
「ぅうん…」
見つめ過ぎました!セレア様が起きてしまう…。
いや、これはいっその事、起こして寝ぼけているセレア様におはようのキスを要求するチャンスなのでは……?
思い立ったが吉日ということで、私はセレア様を揺らす。
「セレア様〜起きてください〜」
「う、うーん……にゃに…?」
呂律が回ってないセレア様可愛い!ってそんな事、思ってたらセレア様の目が覚めちゃいます。
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リリアナに起こされ、私は起きる。
まだ思考が上手く回らない、リリアナは何か焦っているように見えた。
「せ、セレア様!私におはようのキスを忘れてませんか?」
リリアナは慌てていたのが嘘かのように、何時もしていたというような表情でそんな事を言った。
私はその言葉で、完全に覚める。
なーにこの子は言ってるんだ。朝のキス?したこと無いよ。
はっ!まさか、夜にキスしたことを覚えていたり………しないよな?
いやこの状況は逆に好機なのではないか?
リリアナを誂ういいチャンスだ。
私は寝ぼけたフリをしてリリアナにキスをする。箇所は頬でも手でも無い…。
私はリリアナにニッ!と笑う。
「せ、せ、セレア様…?い、いま……」
「ん?どうしたのリリアナ…?」
「起きてたなら…言ってください……それに、き、キスの位置が」
「リリアナがキスしてほしいって言ったのに」
「口にするなんて予想してなかったんですもん!」
リリアナは顔を林檎のように赤らめる。
あー…可愛い〜……キスしたのは私だけど結構恥ずかしい。そんな反応されると思ってなかったから。
私は恥ずかしさに今すぐ飛び出したくなるが、それ以上に恥ずかしそうにするリリアナを見てそんな気は消えてしまう。
可愛い、照れるリリアナが尊すぎて消えてしまう。
「セレア様、私のファーストキスを奪ったんですから絶対に離したら駄目ですよ?」
「離すつもりは無いんだけどなぁ……」
「ならどんな時も私を離したら駄目ですからね?仕事中も、他の人のことを考えたりなんかしないでください」
「私が浮気するって疑ってる?」
「別に、疑ってなんかいませんよ。セレア様は私の事が好きで好きでたまらないんですもんね♡……まさか浮気するつもりなんですか?」
リリアナは泣きそうな顔で上目遣いを使う。
この子、私がそれに弱いって知っててわざと使ってるな?
「私はリリアナ一筋ですよ」
「なら良かったです♡」
私の腕にリリアナは抱きつき、一緒に朝食を食べに行く。
夫婦みたいだなぁ〜。幸せだ。
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朝食を食べに来るとラエルが既に席に座っていた。
「おはようセレア。そしてリリアナ」
「おはようございます、ラエル様」
「おはよう父さん」
ラエルは私の発言を聞くと嬉しそうに顔が緩んでいた。
ニヤけ過ぎじゃないか?
リリアナは気に食わないのかラエルと目をわざと合わせて、さらに私の腕に強く抱きつく。
二人からはバチバチという音が聞こえる気がする。
落ち着いて二人共!そんな争わないの!
「二人共、喧嘩は無しだよ?」
「分かってるよ、娘よ」
「分かってますよ、旦那様♡」
二人共、その呼び方は止めて。
この二人は目が合うたんびに自慢が始まる。
私はそれを止めようとしても、一時的に止まるだけで一秒後にはまた始まってたりする。
話題を早く変えよう。
「リリアナ。一ヶ月後には卒業だね、何か欲しい物はある?」
「卒業…そういえばそうでしたね」
「当日は私も行くから、セレア一人で行かせるわけにはいかないからね…」
「ラエル様は来なくても良いんですよ?そもそも無関係の人は来ないでください」
「はぁ〜?私はセレアの父親なんだが……」
「血の繋がってない奴が何を言いますか」
「君はセレアの何でもないじゃないか。ただ一緒に寝てるだけだろう?」
二人共、口が悪い…………。
何で毎回争うんかね、仲良くやってよぉ。
私は日々の疲労が半分これのせいなんじゃないかと思ってきてしまった。
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