第94話 様々な不穏な要素
リリアナに髪をいじられ、鏡を見るよう促される。
鏡を見ると、そこにはハーフアップされた私が居た。
「ハーフアップにしてみました。やっぱりセレア様は何でも似合います♡」
「おしゃれはやっぱり分からない…」
「学園に来た際には、私の所に一目散に来て下さいね♡」
「分かった」
「リリアナ様、馬車の用意ができました」
「セレア様!行ってきますね」
「行ってらっしゃい」
リリアナはメイドと学園に向かった。
私も用意しないとな…一応監視カメラを見に行くんだし
着替えようとするが、私は服のセンスが無い…。
折角セットしてくれたこの髪型に合う服装なんて思い付かない。
私が固まっているとメリーが部屋に入ってくる。
「朝食をお持ちしました…と、珍しいですね髪型がセットしてあるなんて」
「リリアナがセットしてくれてね。ねぇ、頼みごとが……」
「どうせ服装の事でしょう?お任せください」
メリーは手際良く服を選ぶ。流石メイド長!仕事が早い!
メリーが選んでくれた服を着て朝食を取る。
「私はこれで失礼します」
メリーが部屋を出ていった後、私は執務をこなす。
未だに縁談の話は来ている。まぁ成人してるし…王宮魔術師で所長だし、縁談の話が来るのは普通なんだけど。
どうしたもんかなぁ。
「セレア、ちょーとお話いいかな?」
「父さん?」
ラエルが扉を少し開けて顔を出しながら手招きする。
何の話だろうか。
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ラエルの執務室に行くと、ラエルは真剣そうな目をして言う。
「セレア、来年の遠征で前線に立ってもらいたい」
「私が…ですか?」
「あぁセレアの実力は誰もが知っているそして認めているんだ。前線を任されているリオン君と共に立ってくれないだろうか」
「分かりました、私でいいなら」
私の答えにラエルは驚いたような表情をした。
あれ、何か間違えたかな……。
にしても前線か、リリアナは前線に送られないから自分の生存を考えないとな。
「そんなにあっさり承諾してくれるとは思ってなかったんだけど」
「所長ですから。それに私が行かなかったら誰が行くんですか?」
「相当自信があるみたいだね…。前線に私は行けない。リオン君、セレア。新人……いや親友同士の絆で前線を守ってくれ」
「任せてください」
私はラエルに笑って、部屋を出る。
遠征までは文字ではまだまだ時間があるけど…実際は全く時間が残ってない。
色んな物を作って備えとかないとね。銃は作ってあるし魔術でも戦える。
それでも、用心するに越したことはない。
約束の時間までは仕事をしていよう。
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約束の時間である午後になり、私は学園前まで馬車で向かい久しぶりの生徒会メンバー達と会う。
オリカさんは商会で会ったが、エルトンさんとは本当に久しぶりだな。
やはり王城編のメイン悪役…ナイスバディ……セクハラじゃない、これはセクハラじゃないし浮気でもない。
「皆でこうやって会うのは久しぶりですね」
「やっぱり皆、所々変わったな」
「一番変わったのはエルトンさんだと思うんだけど」
「そんな事ないですよぉ」
久しぶりの再会に私達は話に花を咲かせる。
私はこの平穏な日常に対して、不安を感じる。
一年後…遠征に行けば無事に帰ってこられないかもしれない。そうすれば、こんな日常は……。
私は無意識に自分の腕を強く握っていた。
「セレア強く握りすぎだ」
「えっ?あっ、ごめん……」
「遠征の事だろ?不安なのは分かるが、まだ予測だ。もしかしたら皆無事に帰れるかもしれないだろう?」
「そうだね、臆病になりすぎたみたいだ」
リオンは私が前線に行くことをラエルから聞かされたのだろう。
察したのか心配をする。
私らしくなかったな。
「ちょっとー?何そこでボサッと立ってるんですか〜!行きますよ〜?」
「そうですよぉ〜!おっそ〜いですぅ!」
「今行く!セレア行くぞ!」
「はいはい、今行くから〜!」
オリカさんとエルトンさんが学園内にすでに入っており、私達を待っていた。
私とリオンは走って二人の所に向かう。
リオンの言う通りだ、行ってみないと分からない。
私が転生しているって事もあるし、もしかしたら話が変わってるかもしれないからな。
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学園に入るとリリアナとアルベルトが居た。
珍しいな二人が一緒なの。いや、本来は普通なんだよこれが!
「あの二人が一緒だなんて…何があったんでしょうか」
「一つ言うけどあれが普通なんだよ?婚約者同士だから」
「そう言えばそうでしたねぇ〜」
「心境の変化か?セレア、取られるぞ」
「何でそう言う事言うの?」
私はリオンを睨みながら、確かに不安だよと思う。でもそれはリリアナの意思だし何も言えないから……。
一目散にリリアナの所に行くって言ったけど…アルベルトが一緒なら話しかけづらいなぁ。
あれ、でもアルベルトはリリアナに好きな人が居るって知ってるのか。
この前話してたんもんな、イエラの教育係としても上手くいってるみたいだし。
安堵していて、学園長の所に皆で向かおうとした時、何人かの生徒からのある話が聞こえた。
「にしても、アルベルト殿下とイエラ様可哀想よね…。リリアナ様のせいで引き裂かれているんだから」
「分かる〜。良い雰囲気になっても、リリアナ様が邪魔しているらしいわよ」
「リリアナ様って家柄は良いけど…中身はダメよね〜…しかも他の男性を誑かしているって話よ」
は?何だそれ…、そんな話が出てるのか?
私は知らないその情報に困惑する。リリアナ、もしかしてわざと黙ってたのか?
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