第89話 脇役の得意料理
朝五時、私は目が覚めた。
サンドイッチを作りに行こうかな。私は体を起こそうとすると、リリアナがくっついてきて憚れる。
「うーん。しぇれあ様…うへへ、」
「………起こすのはやめておこう」
ぐっすり寝ている…?リリアナを起こすわけにもいかないため、私はゆっくりリリアナを引き離すことにした。
んー!腰が痛い……。夜中、リリアナがずっとくっついてきて身動きが取れなかったからか、体がカチコチだ。
私は机の上に手紙が置いてあることに気づく。
ルイスからのようだ。
手紙の内容は、昨日送った回帰者探しの件だ。ルイスが時間を開けてくれた為、一緒に探しに行こうという話だった。
リリアナを学園まで送ったら合流しよう。
さて着替えて、厨房に向おう。
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厨房に向かうと、コック長のロッテルが皆の朝食を作っている所だった。
「おや、セレア様厨房に何か用ですかな」
「リリアナにサンドイッチを作って欲しいって頼まれてね」
「なるほど!お昼ご飯用ですか」
「理解が早くて助かるよ。材料とか使っても良い?」
「勿論です、何でも使ってください。全部、屋敷から出されますですので」
「それ払ってるの私だからね?」
ロッテルの事を少し睨みながら、私は材料を取り出す。
サンドイッチなぁ。一種類だと物足りないし、何種類か作ろう。
前世でサンドイッチは目茶苦茶、作ってたからな。
私は食パンとキャベツ、ハム、チーズ、マヨネーズ、マスタードを取る。
まず、キャベツを洗って水切りをして硬い芯の部分を切り取り千切り。
ボウルにキャベツを入れてマヨネーズをかけて馴染ませる。
「これを数分置いておく」
「おや、知っておりましたか」
「何?キャベツをしんなりさせるために数分置くって事?」
「えぇ。料理下手なセレア様のことなので知らないかと思っておりましたが」
「知ってるよそれぐらい」
私の事を何だと思ってるんだ。これぐらいは知ってるさ。
食パンを用意して1枚にチーズを乗せて、その上にハムを乗せる。
これをオーブントースターで焼くんだけど…無いから、鉄製の箱に網を置いてその上にパンを乗せて魔術で炎を出して焼こう。
よーし、焼けた焼けた。
焼けたら、何もつけていない方のパンにマスタードを塗ってマスタードの上にキャベツを全部乗せる。
中央が山になるようにすると、崩れにくいんだよね。
チーズとベーコンが乗ったパンで上から押して、異世界にラップは無いからラップ代わりに紙で包んで半分に切ると……。
「まずは一種類完成!」
「美味しそうですな」
「この感じで何個か作るぞー」
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意気込んだ私は次々とサンドイッチを作っていった。
合計四種類のサンドイッチがそこに並べられていた。
キャベツとハムのサンドイッチ、厚焼き卵のロールサンドイッチ、コロッケサンドイッチ、ジャムが入ったフルーツサンドイッチ。
デザートもあって量もある結構お腹は膨れるんじゃないかな。
私はサンドイッチをバスケットに詰めて布で包む。
「厨房貸してくれてありがとう」
「いえいえ、いつでも来てくださいな」
私は厨房を出て、リリアナに弁当を渡しに行く。
「セレア様、作ってくれたんですか!」
「四種類あるからお腹は膨れると思うよ」
「ありがとうございます!美味しくいただきますね♡」
「デザート…サンドイッチだけど一応入ってるから」
「サンドイッチのデザート?」
「うん。フルーツサンドイッチって言ってフルーツとホイップを挟んだサンドイッチだよ」
「凄い美味しそうです!えへへ。早く食べたいです」
リリアナは嬉しそうにサンドイッチが入ったバスケットを見つめる。
速いよ気が…。
「リリアナ、そろそろ行こうか」
「はい!」
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二人で外に出る。
私は馬車を手配して、リリアナを乗せる。
馬車を学園まで走らせ、学園でリリアナを下ろす。
リリアナを送った後、私はルイスと合流する事にした。
合流場所につくと、ルイスが既に居た。
第二王子だからか変装をしており髪色や目の色、服装も目立たないものになっていた。
「セレア、ここだ!」
「えーと………」
「あぁ、名前はコウで」
「分かったお忍びだろう?」
「流石に第二王子という身分で姿そのまま出かけるわけにもいかないだろう」
「それもそうだね」
私とルイスは話がしやすいカフェに入る。
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カランカラン…そんな音が聞こえる感じがするお店に入り、ドリンクを頼んで情報を共有する。
「それで回帰者について分かったみたいじゃないか。手紙の内容を見たけど…本当の回帰者を探すって言っていたよね」
「そうそう。本当の回帰者にはダイヤの印があるみたいなんだ……。さっきからその笑みは何なの?怖いんだけど」
ルイスは私の言葉を聞いてから、何やら笑いをこらえているようだった。
何笑ってるんだよ…なにかおかしいか?
「いや…ごめんごめん。実は俺、回帰者を知ってるんだ」
「は?」
「恋せし乙女の薔薇2の攻略対象に回帰者が居るんだ」
「言えよ!もっと早くさぁ!」
こいつわざと隠してやがったな!
私は怒りに任せて胸ぐらをつかもうとするが止める。
危ない…一応第二王子なんだった。
私は冷静になり、ルイスと話し合ってその回帰者の場所へ向かう事を決めた。
絶対に許さないからな、ルイス。
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