第70話 親友の相談
授業後も両親の事を何度も聞かれた。
私は話せる内容だけ答えた。
一年生に振り回され、疲労した私は学園の裏庭にあるベンチで持ってきた小説を読みながら休む。
裏庭は、人通りが少なく自然で溢れていた。
風で揺れる木の影が私を覆う。
「…涼しいなぁ。日本じゃ地球温暖化のせいか、春らしく無くなってきてたが、ここでは四季がしっかり出てる」
ルーベン国よりニーシャ国の方が四季がしっかりしている。
ニーシャ国は日本モチーフ、日本といえば四季、一度入ってみたいよな。
私は本に夢中になってると、誰かに本を取られる。
誰だ…?
「セレアさん、そんな所で本読んでないで相談に乗ってください」
「こりゃまた唐突だね。会って早々それかい?」
「早くしてください」
「はぁ~い」
本を取り上げたのはオリカさんだった。
相談ね〜……。
私はその相談内容に対して予想がついていた。
面白そうだし、話に乗ってあげよう。
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学園内の個室に案内された。
オリカさんは深刻そうな顔で話を切り出す。
「セレアさん、相談というのはお兄様の結婚式の事です」
「予想はしてたけどやっぱりか」
「何を送れば良いのか分からなくて…」
オリカさんはイノワさんの事を嫌っているように見えるが、実は兄想いのツンデレだ。
良いね。ツンデレ。
親友にツンデレ、恋人にヤンデレ………個性が強い。
私の周りには、変なやつしかいないのか。
結婚式、そういや私も呼ばれてたな。
確か来週だったっけか。
結婚式なんて言ったこと無いけど…ご祝儀は絶対だよな。勿論奇数だ。
「私はセレアさんみたいに
「ウルトさんはお菓子とか好きなの?」
「好きだと思います。良くお菓子作りしていたので」
「それなら、有名なお菓子店のお菓子とかペアグッズとかどうかな」
「ペアグッズ…ペアリングとかですか?」
「そうだね。よかったら私も選ぶのを手伝うよ」
「ありがとうございます。でしたら二日後の休日に一緒にいきましょう」
私はオリカさんと別れて、丁度学園も終わる。
さて、二日後の準備でもしておくか。
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あれから二日経ち、私は待ち合わせ場所でオリカさんを待っていた。
少しすると、オリカさんが走って来る。
「すみません!遅れました」
「問題ないよ」
オリカさんは普段のポニーテールを解いており、長い赤髪が風で揺れる。
服装は、白いワンピースで普段の大人の女性の雰囲気から一転し、少女らしさが感じれる。
「行きましよう。そういえば、リリアナさんには伝えたんですか?私と出掛けること」
「勿論、伝えないと私の命が危ういからね」
玄関を開けて集合場所に行こうとした時、リリアナが現れて「何処に行くんですか?」と尋ねてきて、そういや言ってなかったと思い説明した。
あれがなかったら不倫を疑われていたのかもしれない。
危ない危ない…。本当に危ない。
「まずはお菓子ですかね?良いところを探しましょう」
「買うのは前日ぐらいで良いよね。消費期限があるし」
「ですね。セレアさんの所のお菓子屋で良い所はありますか?」
「有名な店は大体、北側にあるからそっちで探しに行こう」
私はオリカさんを誘導しながらお菓子屋探す。
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私とオリカさんは、有名なお菓子屋を見つける。
「あれは…有名なレガータじゃないか」
「ホントですね。レガータなら、良いお菓子も見つかるかもしれません」
「中に入りたいけど…この行列を並ぶのはなぁ」
「いつ行ってもこの行列の量は変わらないのでは?そらなら今のうちに並んだほうが良いのでは無いのでしょうか」
「仕方無い、並ぶか」
私とオリカさんは最後尾に並ぶ。相変わらずの繁盛だな。
お菓子屋レガータはルーベンだけでなく、他国でも有名なお菓子屋さんだ。
私は食べたことはないが、両親がここの常連だったと聞いた事がある。
両親は甘党だったからな…私も甘党だ。
「お兄様はクッキーとか好きですが、ウルトさんはお菓子なら全般何でもみたいな感じなので…」
「困るタイプか。イノワさんにも送るものだし、クッキー関連で選ぼう」
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長く列に並んでいると、やっと店内に入ることが出来た。
店内では、壁に棚が並べられております、大量のお菓子が並んでいた。
沢山あるなぁ。どこから見れば良いんだろう。
「セレアさんは来たことがないんですか?」
「両親がここの常連だったらしい。私は来たことがないよ」
「でしたら片っ端に見るしか無いですね」
「私はセンスがないから一緒に見よう」
「でしょうね。一緒に探しましょう」
並べられている棚を私達は眺めて、クッキーの棚を見つけ出そうとする。
これは…和菓子?珍しいな。
私もお菓子持っていこうかな。その時はこの和菓子にしよう。ルーベン国で和菓子を見るなんて…普通に美味しそうだな。
私は反対側の棚を探しに行くと、めぼしいものがあった。
クッキーでは無いが、リリアナが好きなマカロンがあった。
マカロン、お土産として買っていくか。
お留守番をしてくれてるし、お留守番代みたいな物って事で。
私達はクッキーの棚をようやく見つけることができ、クッキーを選ぶことにする。
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