第67話 王家の婚約者が背負うもの…?
四時間目は出なければならない、魔術科目な為リリアナと別れる。
リリアナは渋々だったが、次の授業が魔術だと分かったら手を離してくれた。
教室に行くと、いつも通りガラガラだ。どこに座っても寂しい風景…。
やっぱり魔術なら魔塔に行くのが正しいんだろうな。私は行く気無いけど、高いから……節約したいんだ。
「いつも思うがセレア、お前がこの魔術の授業に参加する意味はあるのか?テストしても満点だし、既に魔術師てして名を馳せている……」
「科目的には私は魔術ですよ。出ないと単位貰えないじゃないですか」
「魔法に行ってもいいだろう」
「魔法は私の専門外なので…」
魔術担当の先生がそんな事をいう。
私だって分かってるよ。でも出ないと単位くれないじゃんか。
魔塔では戦闘の魔術も習うが、学園では
どうやらそう決められているらしい。戦闘魔術もほしいよなぁ…。銃っていうある意味戦闘魔術を作ったけど。
♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦
授業を受け終わり食堂に行こうと思い向かうと、リリアナとアルベルトが喧嘩をしているようだった。
いや、リリアナに振られてるだけか。
「話を聞いてくれリリアナ」
「何の話を聞けと言うのですか。イエラさんと食べればいいじゃないですか。私には関係ないのでは?」
「俺達は婚約者だろう?それに、イエラにマナーを教えてあげてほしいんだ」
「……それで教えようとしたら、イエラさんは私に虐められたと言うのですよ?何故、己に害をなす人間と関わらねばならないのですか?」
「お願いだ!イエラはまだ貴族社会に疎い!妃教育を受けているリリアナが教えれば、イエラは………」
「そこまでイエラさんを大切にする理由は何ですか?光魔法使いだからでしょうか。それとも、イエラさんの事が好きだからですか?」
「それは………………」
アルベルトは何も言えないのか黙り込んでしまう。認めれば、リリアナとの婚約は破棄することになるだろう。
闇魔法使いより光魔法使いのほうが王家としてはありがたい、しかも聖女になる可能性もある。
だが、光魔法使いだとしてもイエラは平民。爵位を気にする上位貴族からは反感を食らうだろう。
しかも今のイエラには品がない。やはり平民だからなのか、貴族に慣れてきたものの作法の粗さが目立つ。
その分リリアナは爵位も申し分なく、品もある。妃教育を受けてきた為、政治関連にも強い。
本来、リリアナが妃になるはずだからな。
貴族として生きてきたリリアナに、例え回帰者と言えど平民の癖が抜けるとは思えない。
「アルベルト殿下、私は確かに殿下の婚約者です。ですが私が自分の婚約者と仲の良い女性を助ける理由は何でしょうか」
「それでもだ。イエラは聖女になる可能性もある、お願いだ。どうか教えてあげれないだろうか」
「殿下、個室で話せますか。話したいことがあります。イエラさんの件についても含めて」
アルベルトとリリアナは人目の少ない、出入りも少ない個室に移動した。
…………盗み聞きしてみるか。
♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦
私は食堂のおばちゃんにおにぎりを作ってもらい、リリアナ達が入った個室の横の部屋に入り、耳を壁に当てて息を潜める。
「殿下、私と殿下は政略結婚です。そこに愛はありません。なので殿下とイエラさんが仲良くなろうが私にとっては関係無いのです」
「君は俺の事を好いているわけではないのか」
「はい。そもそも私には殿下と婚約する前に好きな人が居ました。未だにその人とは会っています。私は将来的には、その人と家族を築きたいのです」
「いつかは婚約破棄をして欲しいという事か…」
「学園を卒業後、当分は婚約破棄を言いづらい雰囲気になるでしょう。イエラさんもまだ未熟だと思うので」
「イエラが完璧になったら、婚約破棄をしようと言う事か」
「その通りです。それと、イエラさんの教育についてですが皆様が部屋に入ってこなければ問題ありません」
「部屋に入らないと言うのは…」
「イエラさんに教えている間に入って来ないでくださいと言うことです。マナーを教えるなら甘やかす存在は邪魔でなりません」
そうだよな。貴族の常識を教えるなら入ってこられたら困るだろう。
それもあるのだろうが、一番はイエラの魅了魔法対策だろう。
「リリアナ、君の好きな人は一体どんな人なんだ?」
「凄い人ですよ。皆の為に頑張れる人で、人の変化を見逃しません。ただ自分については疎いらしく体調管理が下手くそです」
「周りに気配りができる人なんだな」
「そうですね。あの人はとても優しいです。私にとても甘いんですよ」
「君はその人といて幸せか?」
「とても、幸せです」
「最後に一つだけ聞かせてくれ、君の好きな人の名前は?」
アルベルトの問いにリリアナは無言で、一言も返さなかった。
だが、リリアナが部屋から出ようとした時にその問いに答えた。
「…………セレア様です」
アルベルトはその言葉に驚いたような声を出す。
そんなに驚くことだろうか…。別に恋愛は自由だろう。
私はおにぎりを丁度食べ終わり、部屋から出ようと思い扉を開けるとリリアナが目の前に居た。
あっ、終わった。
リリアナは私が隣の部屋に居た事に気付いていたようだ。その察知能力分けてくれ…。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます