第66話 推しからの膝枕の破壊力

 異世界で日本語を見れて嬉しいという気持ちのまま終わった授業。

 オリカさんとリオンはあまり理解できていないようだった。


 勉強得意な二人がこれなんだから、本来なら難しいんだろうな。元日本人で良かった。


「セレアさんの得意分野はニーシャ語ですか……良いですね」

「セレアにそんな得意分野があるとは」

「これでも首席なんだよ……?」

「そういや、そうだったな。普段のセレアのせいで首席とは思えなかった」

「狂っているって言いたいのか」


 私は狂ってないぞ。普通の人間だ。


♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦


 二時間目になり、私は裏庭のベンチで寝ることにした。

 リリアナのせいなのか、寝れた感じがしなかったからな。


「ふわぁぁ〜、昼寝昼寝…朝寝か?」


 私は、深い眠りにつく………休める。


♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦


 いい匂いがし、硬いベンチで寝ていたはずが、柔らかい感触に変わっており誰かの手が、私の頭を撫でる。


「ん〜?だ、誰………?」

「おはようございます、セレア様♡」


 目を開けると、そこにはリリアナが居た。

 リリアナサン?以前、膝枕は辞めてって言いませんでしたっけ。


 私は、起き上がろうとするとリリアナが止める。


「リリアナ?」

「起きてはいけません。もう少しこのままでお願いします」


 リリアナは優しく私の頭を撫でる。恥ずかしいなこれ……ていうか学園ですることじゃない。


 私はリリアナの腕を掴み、やめてほしいと告げるとリリアナは嫌だと言う。

 ですよね…、知ってました。


「お願い。起きたいんだけど」

「理由は何ですか?」

「恥ずかしい」

「駄目です」


 うわぁぁぁぁ!恥ずかしさで爆発するよ!

 私は言われるがままに、リリアナに抵抗せずに居た。


 私の立場は低い……しっかりしろ、私。


「ハァァ♡セレア様の髪の毛サラサラです。これを触れるのは私だけ……えへへへ」

「はい、終わり!もう終わり!」


 私は勢い良く起き上がり、リリアナと少し距離を置いて座る。


 リリアナは不満なのか、空けていた距離を一気に詰めてくる。

 うおぉう。びっくりした。


「何で離れるんですか?」

「ちょっと、近かったから…」

「一緒に寝てるのに今更恥ずかしがる必要はないですよ♡まぁ、恥ずかしがっているセレア様も可愛いですが。もぉぉ…照れてるセレア様もたまりません」


 リリアナは頬に手を当てながら、自分の世界に入り込んでいく。

 リリアナが私に抱きつき、スリスリと顔を擦り付ける。


「リリアナ、髪の毛が乱れるよ」

「私は別にいいです。セレア様と愛を育んでいたら、こうなってしまっただけ…そう言えば何一つ問題ないありません。セレア様が激しくしたから……♡」

「誤解を生むから辞めてね?私は何もしてない」

「何ですか。嫌なんですか?」

「言い方が良くないんだよ!激しくってなんだ激しくって、私何もしてないよ!」


 私がただのヤバいヤツになるじゃないか。

 リリアナって時々、エグい発言をするよな…普通にドキドキしちゃうよ。悪い意味で。


「リリアナ、そういう過激な発言は控えよう…私の立場が危うい」

「事実ではないですか?セレア様が寝ている時、幸せそうに私の膝枕で寝ていましたよ」

「あれは…仕方なかった」

「未来の奥様の膝枕はどうでしたか?」

「良かったけど、心臓に悪いからやめて…ていうか前回も言ったでしょ」

「欲が出てきちゃって…セレア様が寝てるとどうしてもしたくなっちゃうんですよね」

「何とか抑えてその欲」

「うーん。出来ないかもしれません♡」


 私は学園で昼寝ができないらしい……。いや、屋敷でも同じか。リリアナが泊まりに来てるから…。


 寝れるとしたら研究室ぐらいか?寝れるけど、起きたときの心臓の音がうるさいんだよな。

 好きな子に膝枕されるって嬉しいけど、心臓が持たない。


「セレア様が寝てるのが悪いんですよ?セレア様の寝顔は国宝級なんです!そんな寝顔を独占したいのは当たり前じゃないですか!近くで見たいのは当然のことなんですよ!」

「私の寝顔はそんな凄いものじゃないよ!?」

「そんな事ありません!そもそもセレア様は顔がいいんですよ!舞踏会に出れば、色んな人にお誘いを受けるのは目に見えてます!」


 リリアナはまるで自分のように語る。

 何でそんな自信あり気なんだ、本人より自信満々じゃないか。


 確かに、自分の顔は良いとは思ってるよ?でもそれは異世界だからであって、乙女ゲームのキャラクターだ。


 乙女ゲームのキャラクターは大抵、顔がいいんだよ!私は脇役だけども!

 脇役でもこの顔の良さ……何なんだ、私は舞踏会に出ないから宝の持ち腐れ感がある。


「セレア様は人に優しいし、顔も良い、しかも頭もいい……全てが兼ね備えられているんですよ。私の未来の夫が素晴らしすぎます…こんな人が私の事好きで、両思い…うへへ」

「私はそんなハイスペじゃない。人に優しいって相手によるよ」

「私には、目茶苦茶甘いですよね」

「うっ……それは否定できない」

「私の事をとても想ってくれているんですね?全く、私の事好きすぎなんですから」


 甘い理由は、圧がすごいのと推しには弱いんだ。想っているのは否定出来ない。


 私はリリアナに振り回されながら二時間目と三時間目が終わった。

 誰か助けてくれ………。

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