第65話 元の知識が役に立つ
魔塔かぁ……。ルイスがなんか言ってたっけか。
2の主人公であるヴィルアは第三王女でありながら、魔術師に憧れ魔塔に入るって言ってたな。
魔術師にも魔法使いみたいな炎とか、水とかそういうのを出す事ができる。
私みたいに
私も炎とか出せるけど出さない…いや、やり方がわからないの方が正しいのか。
学園卒業したら魔塔に入ろうかな私も。
格好良いじゃないか。魔法陣から炎とか出してみたいじゃん。
「そういえば、ルイス殿下の魔術師としてどうですか?王家を弟子にするなんて、王都どころか隣国まで噂されてますよ」
「噂されるのは嫌なんだが……まぁ。ルイス殿下の腕は確かだね。政治の天才と呼ばれるわけだし、物覚えも良いよ」
「弟子としては最高といった所ですか?」
「うーん。どうだろうか。実際に
アルセリア家の前に魔獣が大量に集まる事件が起こったからな…。
魔獣は魔力に寄ってくる、
魔力が大きければ魔獣は寄ってこないんだけどなぁ。
「セレア様の開発した石鹸ですが、貴族内ではとても有名になってますよ。舞踏会に出た時、令嬢の皆様が話してました」
「匂い付きの石鹸も作ってるから、良い売上げになるだろうね」
「我がセントラ家も石鹸の宣伝をしているので、今よりもっと売上が上がると思います」
「カートン家が売ってるのもあって、想像以上に良い値がしてるからな」
アルセリア家は、カートン家と手を組んでからお金が目茶苦茶増えている。
食費を奮発していた為、気になって銀行で家の残高を見ると増えているだけで、減った様子はなかった。
外国産の肉は高いからな。日本産…じゃない、ニーシャ産のマシャ牛とか買ってたもんな。
あんなん普通の貴族じゃ買えないよ。伯爵だけどさ、普通の伯爵より金が無いのよ。
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馬車に揺られて数分、学園に着く。
私は先に出て、リリアナの手を取る。
「舞踏会以来ですね、こういうのは」
「令嬢はこういうのって憧れるの?」
「私は憧れますね。好きな人にエスコートされるのは夢ですから」
やっぱりそういうもんなのか。私には分からない感性だ。ルイスやリオンから言われたが、私はやはり女の子ではなく男の子なのだろうか………。
いや、性格のせいか。前世では恋愛をしたことがなかった。
興味はあったが、二次元のキャラに没頭しすぎて三次元の人には全く興味を惹かれなかったからな。
リリアナは一年生の教室に行き、私は四年生の教室に向かう。
一時間目は、語学だったっけか。
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教室に着くと、オリカさんとリオンが居た。エルトンさんはこの科目を取ってなかったのか。
「おはよう。オリカさん、リオン」
「元気そうだな。リリアナに振り回されてやつれていると思ってたが」
「何で残念そうにするんだよ。止めてくれ」
「馬車登校はどうですか?」
「早めに出ないと行けないね」
「それが普通なんですよ?」
「鏡だと一瞬だから………」
オリカさんの遅刻するなという、圧を感じて私は萎縮する。
最近は遅刻してないです……許してください。
「今日の語学はニーシャ語だ」
「ニーシャ語って、一番難しい言語じゃないか」
「不安ですね…理解できるでしょうか」
「じゃあプリント配るぞ〜」
先生がニーシャ語が書かれたプリントを配る。
………まんま日本語じゃないか!
読めてしまう…読めるぞ!
我等がルーベン国の言葉は、地球人からしたらTHE異世界みたいな言語だがニーシャ語はそのまんまの日本語だ。
私はこの授業を受ける意味があるのか…?いや、これのテストで満点を取れれば成績も上がる!
今回の授業は楽だな。
私は余裕だったが、リオンやオリカさん含め他の生徒はニーシャ語を見て頭を悩ませていた。
そうだよな、片仮名とか平仮名、漢字……一つの言語に三つの要素が含まれているんだ。
発音もあるだろうし、こう考えると日本人って凄いんだな。
「何でセレアさんはそんなに余裕そうなんですか?」
「セレアはもう終わったのか。早くないか?」
「天才ってこういう気分なのか」
「頭おかしくなったんですか?いや、元々ですか」
「オリカさん…?」
辛辣すぎるよオリカさん!
私は元日本人なため、出されたプリントも終わり暇になっていた。
これはこれでつまらないな。
私は一番理解できてないリオンに教える事にした。
「にほ…じゃないやニーシャ語を教えるって結構難しいな」
「済まない。本当に何が書いてあるのかさっぱりなんだ」
「じゃあ、私が五十音の表を書くからそれな当てはめてみたら?」
私はノートを取り出して、五十音表を書く。
この世界で日本語が書けるとは思わなかったな。
やはり書きなれた文字は良いなぁ。スラスラ書ける。
リオンに五十音表を渡し、熟語を教える。
外国人にとっては『前』っていう言葉は理解しづらいって聞いたな。
新聞の前に戻るとか、前を向くとか……。改めて日本人はすごいんだなって実感する。
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