第58話 強い愛にお揃いの物
私は今、リリアナに迫られていた。私が何をしたっていうんだ。
昨日の件から、リリアナに会うとどうも落ち着かないので避けていたのだが、それがリリアナは気に食わないらしく私は自室でリリアナに壁際に追いやられている。
「えーと…リリアナさん?」
「はい♡何ですか?」
「少し退いてくれたりはしませんかね」
「嫌です♡どうせ逃げるのでしょう?そんなの駄目です♡」
デスヨネー。わかってました。
さて、どうしたものか。私はここから出れない。そもそも何で私はリリアナに壁ドンされているんだ。
これは素直に避けていた事を謝るか?いやでも理由が………。
「セレア様は私が怒っている理由がお分かりですか?」
「私がリリアナを避けていた事です……よね?」
「分かっていながらどうして避けていたんですか?私は何度もセレア様に声をかけましたよね?なのにセレア様は私に会うたんびに逃げて、しかも逃げた先はエルトンさんの居る方向……浮気ですよ?何してるんですか?他の女性に現を抜かさないでください」
「り、リリアナ……これには理由が…」
「理由?私が納得できるものですか?」
私は自信が無いものの今の窮地を脱する為に必死に頭を縦にふる。
正直、壁ドンから抜け出せれば何でも良い。誰か私を助けてくれ。
「それで理由は何ですか?」
「えーと。リリアナがアルベルト殿下達と一緒にご飯を食っていた時あったでしょ?その光景を見たら、リリアナがアルベルト殿下の事が好きなんじゃないかって思ったら、心が………」
「心が…?」
「心が何かモヤッとして……リオンに相談したらそれは嫉妬だって言ってたんだけど………」
私はそう告げると、リリアナがとろけた様な表情をしだす。
リリアナサン…?どうしたの?
「うへ…うへへ。何だそうだったんですか。何だぁ嫉妬でしたか。嫉妬…えへへへ」
「リリアナ?」
「はい♡どうしたんですかセレア様♡」
「あ、いや。何か嬉しそうだから…」
「嬉しいに決まってるじゃないですか!セレア様が嫉妬…それはセレア様の中で私の存在が大きくなっているって事です!イエラさんに食事のお誘いを受けた時はどうしようかと悩んみましたが、受けてよかったです。セレア様の貴重な嫉妬……うへへへ」
怖いよこの子。色々と落ち着いていけないけど許されたのかな?
ていうかリオンの言う通り喜んでる。ヤンデレについて分かってるつもりが、分かっていなかったようだ。
許されたと思い、私はリラックスしようとソファに座り本を読もうとするとリリアナは私に抱き着いてくる。
リリアナって良く抱き着いてくるけど好きなのかな。開放されたと思ったらまた捕まったんだが、どうしよう。抵抗せずにそのままにしようかな。
「セレア様の初嫉妬は私ですね♡」
「初嫉妬って何?」
リリアナは造語を生み出し、元々あるかのように喋りだす。
私が言葉を知らないだけなのか?
「セレア様って格好良いですよね。でも可愛い所もあってそれが良いと言うか。素敵というか」
「リリアナに格好良いって言われるのは嬉しいな」
「何ですかその笑み。私だけに見せてくださいね?約束ですよ?セレア様の格好良さを今更知って、セレア様に近づこうとする不届者が…いえネズミが沢山居ますから。まぁ、セレア様の格好良さだけ知ってる者とは違って私は可愛さも趣味も苦手なものも好きなものも把握している私には敵わないので別に良いですけどね」
私はリリアナの言葉に恐怖を覚えるが、リリアナの可愛さでどうでも良くなったので、リリアナの言葉に何も返さず無心でリリアナの言葉を聞き続けた。
情熱的だなぁ。愛が重すぎて潰れそうだ。何tあるんだろうか。
ちょっとずつ来る感じじゃなくて一度にドン!って来るタイプの愛の表現方法だから、胃もたれする。
「セレア様っていつも左耳にピアスを着けてますよね。片耳しかつけないのは何でですか?」
「このピアス、両耳あるんだけど私にとっては左耳につけたほうが似合うからね」
「セレア様は何つけても似合いますが……セレア様の着けてるピアスはセレア様を意識して作られた物に見えます」
「このピアスは、母が特注で作ってくれた物だったかな。乳母が渡してくれたんだ」
ピアスの色は翡翠色で、父を模しているものだと聞いたことがある。
ピアスは左耳か右耳につけるかで意味が変わる。
男性が左耳にピアスをつけると「男性らしさ」「守る人」という意味があるらしい。
右耳では「同性愛者」と認識されるらしい。
女性が右耳にピアスをつけると「女性らしさ」「守られる人」という意味があり、左耳につけると「同性愛者」という意味がある。
この知識は前世のものだから、この世界では分からないが自分が同性愛者だという事をこういう風に明かすのは格好良いのではと私は思った。
知識がないと分からない感じ…たまんない。
そういやまだ片耳残ってたな。
「私もセレア様とお揃いにしたいです。何だか憧れます」
「もう一個の方は残ってるよ。貰ってからまだ一回も着けてないから綺麗だけど……着ける?」
「良いんですか!?」
「良いよ。リリアナは右耳ね」
「分かりました」
リリアナは普段からピアスを着けている訳では無いが、ピアスの穴は開いていた。
私はリリアナの右耳にお揃いのピアスを着ける。
私とリリアナにとって体に身につけるものでは初のお揃いだろう。
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