第57話 これが恋ってやつか
舞踏会が終わって以来、私に関わろうとする人が増えた。それにより私は友達が爆発的に増えた。
やったぁぁ!って喜ぶところなんだろうが、心の底から喜べないのは何なんだろう。
「突然人気者になりましたねセレアさん。生徒会の仕事も多いのに大丈夫ですか?」
「私の顔を見て大丈夫そうに見える?歩けば声をかけられて…私はもう疲れたよ」
「普段からやつれている気がしますよぉ?」
「舞踏会での衣装のせいだろうな。あれは注目の的だ」
「やっぱり脇役を最初から演じてれば良かった………」
そんな事を言いながら、生徒会の仕事を終わらせる。
人気者になるつもりは無いんだよ!影から好きな子を眺めるモブDとかの位置で良かったのに………うぐぐ。
「もうすぐ昼ですね。私とエルトンさんは弁当なので、ここで食べますが……セレアさんは…」
「こういう時に限って弁当持ってきてない私はだめな子だ。リオンは弁当持ってきた?」
「俺も持ってきてない。一緒に食堂に行こう」
オリカさんとエルトンさんと別れて、リオンと一緒に食堂に向かうことにした。
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食堂で飯をもらってお気に入りの窓際の席でご飯を食べる。ご飯は美味しいんだけど、周りの視線が………。
皆の視線は私に集中していた。舞踏会に出るべきじゃなかったのかもしれない。
食堂のご飯で一番好きなハンバーグ定食を食べて周りの事を忘れるようにした。
「そういやセレアって食堂でご飯を食べると毎回ハンバーグ定食だよな。何でだ?」
「ハンバーグが好きなのもあるけど、食堂のハンバーグ定食って他のとは違ってデザートがプリン固定なんだよ」
「そうなのか!?初めて知った……デザートは日替わりだろ?」
「そうなんだけど、ハンバーグ定食だけはプリン固定なの、私はプリン好きだしハンバーグも好きだしって言う事でハンバーグ定食しか食べてない」
私が食堂で色んな物を食べてきて分かったことがハンバーグ定食のデザートがプリン固定だという事。
ハンバーグにかかっているソースはケチャップとソースを混ぜて作られた物で味が濃い為、私はそのソースがお気に入りだ。
「お前は少食なのに、ご飯を食べる事は大好きなんだよな。作れないのにレシピは知ってたりとか…」
「少食になりたくてなってるわけじゃないからね。本当は沢山食べたいんだけど、どうも食べれなくて」
そんな会話を挟みながら、ご飯を食べ終わり食器を返して生徒会に戻ろうとすると、ある机に目が行く。
それはイエラと攻略対象達、そしてリリアナが一緒にご飯を食べていたのだ。
リリアナはイエラ達に関わろうとはしないのに今回は一緒の机でご飯を食べている。
会話には参加していないようだが……もしかしてアルベルトの事を好きになったのか?
まぁゲームの強制力なら分からなくもない、そもそも本来ならそうなのだ。
私が生きている時点でバグだしリリアナがアルベルトの事を好きになるのかもしれないなんて予想していたことなのに………どうして心が痛むのだろうか。
嫉妬?まさか、私はしがないオタクだぞ。影で支えようとしていて、いつの間にか両思いになっていて、浮かれていたのかもしれない。
「リリアナがイエラ達と関わっているのは珍しいな。心境の変化でもあったか?」
「さぁ…………何かあったんでしょ。行こリオン」
私は焦っているような気がした。別にリリアナを独占するつもりはないのだが、今は寂しいという気持ちがある。
リオンに生徒会室に戻る事を伝える。自然と速歩きになっている事に私は気づかなかった。
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生徒会室に戻っても、心のモヤは晴れない。
何なんだこのモヤは……これが恋ってやつなのか?
「さっきから様子が変だぞ。逃げるように歩くし、どうした?」
「分からない。だけど何か……心のモヤが……」
「心のモヤ?はぁぁ〜。もしかして嫉妬しているのか?」
「嫉妬?んなわけ無いじゃん、確かにリリアナの事は好きだけど、独占とかしたいわけじゃ」
「別に俺はリリアナとは一言も言ってないぞ」
「あっ…」
はめられた!
リオンがニヤニヤしたように見つめてくる。やめろぉぉ!恋愛初心者なんだもん!仕方ないでしょ!
「嫉妬することが独占というわけではないだろう。リリアナとセレアの関係は縁組としては俺は応援したいし、セレアが嫉妬してたってリリアナが知ったら喜ぶと思うからな」
「恋愛初心者だからどうやって距離を詰めれば良いのかも分からないし…守ることしか私は出来ないんだよ」
「こうもお前が振り回されている所を見るのは何だか気分が良いな」
「リオン…いつか覚えてろよ」
「やめろ!お前のそれは洒落にならない」
私はリオンを睨み、珈琲をがぶ飲みしてまるでやけ酒をしているように見えるだろう。
私の中でリリアナが大きな存在になっていることは理解していたが…こうも狂わせられるとは。
恋って凄いんだな。恋は人を狂わせるって言うけど本当だな。
「俺は応援してるし、手伝える事があれば手伝うよ」
「ありがとう。やっぱり恋愛の先輩に聞いたほうが分かることもあるのかもしれない」
「褒めてるのか褒めてないのか微妙な所をつくのは止めてくれ」
「失恋の傷はどうですか?」
「お前のせいで今開いた」
リオンに頭を殴られる。いったぁぁ!何するのさ、女の子の頭を殴るんじゃないよ!
まるでアニメの高校生のような会話をしていた時は心のモヤは無くなっていた。
後日、学園が終わった後リリアナが私の家を訪ねてくる前までは………。
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