第56話 推しには事件と色気

 ダンスの時間になり、曲が流れてくる。

 リリアナは友達に呼ばれたと行ってから未だに帰ってこない…。


「リリアナさん、戻ってきませんね」

「そんなに時間がかかる話をしているのだろうか」

「探してくる」

「ちょっ!セレア!?」


 私はリリアナを探しに行く。

 私はくまなく探したが、リリアナは居なかった。


 言ってはいけない事かもしれないけど、何でイエラじゃなくてリリアナに厄介事が降りかかるんだ!


 もしかしたらと思い、私はイエラ達に知らないかと聞くことにした。だが、向こうは向こうで事件が起こっているようだった。


「アルベルト殿下!リリアナを見ませんでしたか!」

「セレア会長?すまない見ていないんだ。逆にイエラを見ていないか?」

「見ていません。イエラさんが居なくなったんですか?」


 イエラが近くに居ない彼らは、普通に会話が出来た。イエラの近くに居ないと魅了魔法は効かないのだろう。


 どうもリリアナだけでなくイエラも何処かに行ってしまったようだ。

 情報を共有すると、リリアナもイエラも友達に呼ばれたと行ってから帰ってきてない事がわかった。


 攻略対象の皆には言えないがイエラが仕組んだことなのだろう。


 前回のリリアナとイエラ誘拐事件をオリカさんやイノワさんと深堀りしていった所、イエラが仕組んだことなのだと分かった。


 ただ王家はこれを反王国派が行ったことと既に宣言していたたり、証拠も不十分だった事からイエラの犯行とは認められなかった。


「私は北側を探してくる。君達は南側を頼む」

「分かりました。見つかったら連絡します」


 私はリオンやオリカさん、エルトンさんを呼ぼうと思ったが、この出来事であの人達に迷惑をかける理由にはいかない。


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 北側にある迷路の庭園を探してみる。この庭園は定期的に迷子が出ていたりするほど入り組んでいる。


 ちなみに私は迷路が苦手だ。こっちを皆に任せれば良かった……選択をミスったか。


「夜だから余計迷子なんですけど…リリアナ〜!何処に居るの〜!」


 名前を呼ぶが返事は無い。予想はしていたけどやっぱりか。

 何処に居るんだよー!この世界、懐中電灯とかないから足元を照らすことも出来ないんだよ!


 こう言う事ならランタンとか持ってこれば良かった。

 どうしてこうなるんだよ。確かにゲームでもイエラが巻き込まれる事件が起こったさ!でもどうしてリリアナも巻き込まれるんだよ!


 私が死物狂いで探すが何も無い…絶望を感じているとサイレスとウキオンが走ってくる。


「会長!イエラとリリアナを見つけました!今はアルベルトとアルテが見てます!」

「分かった、すぐ行く」


 あれ?今結構リリアナはまずい位置に居るのでは?イエラが近くにいるという事はアルベルトやアルテが魅了にかかる。てことはリリアナを害となして攻撃………早く行かないと!


 私は走りリリアナの居る所に行く。


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 そこには先に来ていたサイレス、ウキオンと探してくれたアルベルトとアルテ、ソファに座っているイエラとリリアナがいた。


「リリアナ!友達の所に行っていたんじゃなかったの?」

「それが…本当に親友と話していたんです。なのに突然、倒れるように眠ってしまって…………」

「怖かったでしょ、もう大丈夫だよ。皆、見つけてくれてありがとう」

「いえ…見つかってよかったです」


 普通に会話が成り立つことに私は少し、いやかなり驚いた。イエラが近くにいるのに会話ができる……何か不具合でも起こったのか?いや、そんなゲームのバグみたいな……。


 私はリリアナをホールにまで連れて、一旦休憩することにした。


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 こういう舞踏会に来るとワインとかお酒とか、そういう物が付き物だがまだ私達は学生な為そんなものは用意されていない。


 学園を卒業すればお酒が飲めるようになる。成人したよという証拠なのだろう。


 前世ではお酒に弱かったが……今世はどうだろうか。前世の私と今の私は苦手なものや得意なものがほぼ一緒だ。


 そう考えると、今回も私はお酒に弱いのだろう。

 前世由依今世セレアって共通点が多いな。似すぎて逆に強さというものがなくなってくる。


「セレア様!別の曲に変わりますよ!」


 リリアナが嬉しそうにそう言うと私は察してリリアナの手を取り言う。


「一曲、私と、踊ってくださいますか?」

「勿論です♡」


 リリアナが手を強く握り、曲が変わり教えてもらったようにステップを踏む。


 本来なら、私がエスコートするのだが……ダンス苦手な私には出来ないため、リリアナが補助をしてくれる。


 情けないなぁ。

 リリアナは華麗にステップを踏み、周りの目を奪う。スタイルの良さを見せるドレスになっているからなのかいやらしさがある。


 なんだこの学生とは思えないいやらしさ…駄目だよ!こんなにいやらしい格好良くない!


「うへへ。セレア様とダンスが出来るなんて嬉しいです♡」

「私も嬉しいよ。でも…次からはあまりそういう格好は辞めていただけると……」

「どうしてですか?」

「目のやり場にとても困るから」

「嫌です♡」


 デスヨネー。何となく察してました。

 耐性をつけるしかないのか。私はリリアナの奇麗さにやられながらもダンスが終わる。


 お互い一礼をして、ダンスに感謝を示す。

 その後はダンスのお誘いが来たが、私は全て断り部屋の端で飲み物を飲んで皆のダンスを眺める事にした。

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