第55話 舞踏会でもいつも通りな生徒会
学園舞踏会当日、私は綺麗に着飾る。
リリアナが送ってくれたオススメの仕立て屋で仕立てたものだ。
全体的に白く、生地の内側が黒色で水色の髪の毛を引き出させるようになっていた。
こんなにおしゃれな服を着るとは…思ってなかったな。
私はリリアナを迎えに行かないと行けない。その為には馬車に乗らないといけないのだ。
アルセリア家の馬車に乗ることを拒んでいたが、絶対に乗らなければいけないこの状況に私は唾を飲み馬車に乗る。
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数十分揺られ何事もなくセントラ家に着いた。
もしかして…フラグが折れたのか?
安堵した私はリリアナを迎えに行く。
「お待ちしておりましたセレア様」
「リリアナを呼んできてくれるかな」
「はい」
メイドがリリアナを呼びに行き、一秒もせずにリリアナが二階から顔を出す。早いなぁ…。
リリアナは二階から一階へ降りてきて、ドレスを披露した。
リリアナのドレスは黒髪と黄金の瞳を輝かせるように紫色のドレスでリリアナのスタイルの良さを見せつけるようにスラっとしたドレスだった。
可愛いと言うより、綺麗と言うほうが今のリリアナには似合うだろう。
「綺麗だ。似合ってるよリリアナ。流石はリリアナだね」
「セレア様の方が似合ってます。格好良いですよ♡」
「少し照れくさいな…ありがとう」
リリアナに面と向かって言われるのはむず痒かった。
私はリリアナをエスコートし馬車に乗る。
リリアナが大人びて見えるからなのか、私の心臓はドクドクしていた。
何となく自分の顔が熱い気がした。私はリリアナを見ないようにし、馬車の外を眺める。
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セレア様が私を迎えに来た時、王子が来たのだと思った。
セレア様は手馴れたように、私をエスコートするが少し震えており耳が赤かった。
可愛いんですから…もう、格好良い姿をしているセレア様は中身はしっかり初な乙女なのだと私は思った。
アルセリア家の馬車に乗ると、セレア様は顔を赤らめていた。
もぉぉぉ!可愛い顔をしないでくださいよ!縛って独り占めしたくなるじゃないですかぁ!
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揺られて数十分、学園舞踏会の会場についた。
リリアナをエスコートして会場内に入る。
周りの視線は一気に私とリリアナに集まった。
その場にはオリカさんとリオン、エルトンさんとアルベルト、サイレス、アルテ、ウキオンの攻略対象達とイエラが居た。
リオンとオリカさんが私達のそばに近寄る。
「注目の的だな。主役みたいだ」
「主役になりに来たわけじゃないんだよ」
「その格好のせいですよね。セレアさんもリリアナさんもとても似合ってます」
「セレア様は何でも似合いますから、当然です」
「そういえばリリアナ、向こうでリリアナを呼んでいた生徒がいたぞ。友達じゃないのか?」
「セレア様と離れるのは嫌ですが…仕方ないです行ってきますね」
リリアナが納得のいかないという表情をしながら私の腕を離して、友達の所に歩いていく。
リリアナは友達がたくさんいるからなぁ…私とは真逆だ。
「にしても、変わらずイエラは囲まれているね」
「俺も下手したらあの輪に居たのか…」
「ビックリしましたよ。リオンさんから突然パートナーのお誘いから来るんですから」
「良く承諾してくれたね。パートナーはいなかったの?」
「居ませんでしたよ。そもそも今回の舞踏会に出るつもりは無かったので」
いつも学園舞踏会に出ているオリカさんが今回は出るつもりが無かったなんて珍しいな。
どういう心境の変化だろうか。
「珍しいね」
「面倒事が起きそうな予感がしたので出ようと思わなかったんですよ」
「オリカさんらしい理由だ」
オリカさんの理由に私はそうなるよと言いたくて仕方が無かった。
学園舞踏会はリリアナとイエラが強く関わるイベントだ。
その為、まぁ勿論リリアナの肩を持っている私は面倒事に巻き込まれる。その場にいるオリカさんも勿論関わるだろうな。
「何の話をしてるんですかぁ?気になりますぅ」
「エルトンさん…後ろの男性達を振り切ってからにしましょうよ」
「あっ。少し待っててくださいねぇ」
エルトンさんの後ろにはエルトンさんを誘いたい男子生徒だらけだった。
流石は美女……罪な女性だ。
エルトンさんが男性達を断り私達の会話に入る。
「にしても会長とても服装が綺麗ですねぇ。会長なのにセンスが良いですぅ」
「貶してるよね?私が選んだものじゃないけどさ!」
「エルトンさん、セレアさんを誂うのは止めましょう。いつか罰が当たりますよ」
「大丈夫ですよぉ。私は強いですからぁ」
「そういう意味では無いと思うぞ。エルトン嬢」
エルトンさんの通常さに私達はクスッとし緊張が解れた。
王城編の悪役令嬢なだけあるな。精神が強い。
「そういえばリオンさんはイエラちゃんの所に行かないんですかぁ?」
「当分は…いや、イエラと関わるのを俺は止めようかなって」
「失恋でもしたんですかぁ?」
「失恋って…まぁある意味そうなのかもな」
グイグイ行くエルトンさんに私とオリカさんはこれ以上その話を出すなと念を押した。
リオンの心がボロボロになっちゃう前に止めなくては…。
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