第52話 イベントは第二の修羅場
生徒会の仕事で瀕死な私にも勿論授業はあるわけで、ヘトヘトな私はリオンに連れて行かれながらクラスに向かう、いや向かわされている。
席に座り、授業を聞き、ノートをとる。普通の事なのだが、今の私にとっては苦行だった。
何せさっきまで大量の書類を読み、監視カメラを直し、文字を書き………私の目はカラッカラだ。
「セレアー!大丈夫かー!一位取れなかったからって落ち込むなぁ〜」
「…………それが原因じゃないです……」
ゴウレス先生の発言に対して小声でしか返せなかった。
てか別に一位取れなかったからって拗ねてる訳じゃないから!私そんなので体調崩さないよ!
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授業が終わり、休もうと思い学園の庭園に行こうとするとそこにはイエラとアルテが居た。
ん?もしや、攻略中………!?
私は隠れて見守る事にした。
あらあら〜?手繋いでまっせ?随分進んでますねー。
アルテがイエラの積極的な態度に照れたり、花を見て微笑み合ったりしているのを見て、私は少年少女の恋路を応援したくなった。
これはアルテルートに進んでいるのだろうか……でもなぁ皆と結構関わってるっぽいし、逆ハーレムエンドなのかな。
「アルテ君は次の生徒会に立候補ってするの?」
「しようと思ってるよ。セレア会長の活躍を見て、僕もなってみたいと思ったんだ」
「私も立候補してみようかな〜。確かにセレア会長って凄い人だし憧れはあるんだけど……」
「イエラならなれるよ!珍しい光魔法持ちだし!きっと皆もイエラが生徒会に入ってほしいって思ってるはずだよ!」
生徒会に入る理由が私だと……!?本編だと、二年生になった時に攻略対象達とイエラは生徒会役員になるけど………理由はリオンだったはず。
会長に憧れるってのは同じだけど、私なんですか?
リリアナも二年生になったら生徒会に入ると意気込んでたし、頑張ってほしいのは山々なんだけど……ストーリーと外れすぎて今後の展開がどうなるのか全く分からない。
本編ではリリアナは生徒会には入らなかったから、誰が会長になるのか全く持って分からないなぁ。
「イエラ!こんな所に居たのか!全く探したんだぞ!」
「アルベルト君にウキオン君!サイレス君も!一体どうしたの?」
「アルテが抜け駆けをするので探してたんですよ」
「なっ…!抜け駆けなんて僕はしてないぞ!」
リオン以外の攻略対象が揃ってしまった……リオンは今は生徒会室か?
「リオン君は何処に居るんだろう…折角だから皆で集まってお話したいんだけどなぁ」
「実はリオン先輩も誘っておいたんだ。すぐに来ると思うよ」
リオンまで来たら、私ってここから出れなくないか?リオンは次期騎士団長だからなのか気配ですぐにバレる。
私がリオンの後ろにこっそり忍び込もうとしたら、気配で気づかれ何をしようとしたのかと問い詰められた記憶がある。
逃げ場がなくなってしまう…!
「すまない!遅れてしまった!」
「皆揃ったな。じゃあ皆で話でもしよう」
庭園のベンチに皆が座り、私は本当に逃げ場がなくなってしまった。
終わったわ、皆がクラスに戻るまで私は何も出来ないわ。
そんな事を思っていると、庭園の奥にある花壇方面からリリアナとリリアナの友達がこちらに向かってきていた。
わぁーい、全員揃ったー。
「リリアナ様、またイエラさんが男性に囲まれてますよ?しかも、アルベルト殿下まで居ます」
「えぇ、そうですね」
リリアナの友達がイエラを蔑むような発言をするとリリアナはまるで興味が無いように冷たい言葉を返す。
普段のリリアナと雰囲気が違う……?
「……リリアナ、イエラの事は悪く言うなと言っただろう?」
「お兄様、私は言っていません。友達が言ったことです」
「肯定しただろう。それに友達の言う事が間違ってたら、それは否定するべきだ」
「ですが男性に囲まれているのは事実では?婚約者の居る男性と密会するのは良くないかと」
リオンがリリアナに叱っているが、リリアナの言う事はごもっともだ。
婚約者の居る男性をこのように誘うのは良くないことだ、しかもそれが殿下であれば尚更。
リリアナが言っていた、イエラの事を話すと人が変わると言っていたのはこの事だったのか。
「リリアナ、別に悪いことでは無いだろう。イエラは平民なんだ、俺達が他の貴族と話せるようにしないとイエラは孤独だぞ?」
「もう既にイエラさんは色んな方と話せる様になっております。もう用済みなはずです」
「言い過ぎでは無いか?君がイエラに嫉妬してるのは見え見えなんだ。アルベルトに構ってもらえなくてイエラに嫌がらせでもするつもりなんだろう?」
サイレスの言葉は、リリアナを苛つかせた様でリリアナは拳を強く握っていた。
サイレス君……リリアナはアルベルトに興味が無いんだよ。
「そうきましたか。なら、それに乗りましょう。…イエラさん、楽しいですか?人の婚約者を奪おうとしてましてや人の兄までも虜にして、アルベルト殿下?欲しいならあげますよ。私は早くアルベルト殿下と婚約破棄がしたくてたまらないのです」
「リリアナ!嘘も大概にしろ!俺に対する侮辱か?君が婚約をしたいと言ったのだろう!?なのに婚約破棄をしたいだと……?」
アルベルトがリリアナに近寄りリリアナを掴もうとする、その行動を見て私は居ても立っても居られなくなり隠れるのを止めてアルベルトの手を掴む。
「アルベルト殿下、女性に手を上げるのはどうかと思われますが?」
「セレア会長…!?」
「セレア様!?」
あーどうしよう。リリアナが悪く言われているのが我慢の限界で咄嗟に出て来てしまった。
この状況、どうするべきなんだ……。私は絶対リリアナ側につくけど、相手が立ち位置でも色々敵わない相手だ、慎重に言葉を選ばないといけなくなってしまった。
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