第51話 順位と脇役としての位置

 休みが終わり学園が始まり、文明祭の騒がしさが未だに引き継がれていた。

 皆元気だなぁ〜。


「セレアさん、ここの監視カメラの調子が悪いみたいなんですが」

「後で確認しに行こう。そういや今ってあのテストの順位が出てるんだっけか」

「えぇ、確認しに行きますか?私もまだ見てなかったので…」


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 オリカさんと一緒に学園のホールに行きテストの順位が載ってる掲示板を見る。

 なるべく一位を維持してるけど、今回のテストは難しかったから分からないんだよなぁ。


「珍しいですね。セレアさんが一位じゃないなんて」

「今回のはミスったからね。だって今回の歴史は私の得意分野じゃないし」

「言い訳してます?」

「シテナイ」


 私は二位だった。一位はなんとエルトンさんだ。

 あの人普通に頭良いから良いライバルだ。


 地頭が良いって言うのか?天才型なんだよな、エルトンさんは。


「私は変わらず五位ですか。リオンさんは三位ですね」

「生徒会の皆が上位にきてるのが当たり前になってきてる事が驚きなんだけど」

「学園の代表ですし、良いんじゃないんですか?」


 そう…なのか?まぁ、そうなのかもしれない。


「一年生の順位はどうなってるんでしょうか。初のテストでしたよね?」

「確かに、リリアナは何位なんだろう」


 当然、学年で掲示板は違う為、一番左にある一年生の掲示板を見に行く。

 一年生は初めてのテストだからなのか、掲示板の前には沢山の一年生が集まっていた。


 四年生になると皆飽きてくるのか、掲示板を見に来なくなる。興味がないのだろう。順位は成績に関係するけどね。


 四年生の掲示板と一年生の掲示板に集まっている人の差は数え切れないほどあいている。


「一位はサイレスさんですか。流石は宰相の息子ですね。二位はアルテさんですか……流石は公爵と言った所なんですかね」

「………………」

「セレアさん?どうしたんですか?さっきから黙ってますけど」

「………リリアナが」

「リリアナさんがどうかされました?」

「…リリアナが、リリアナが……四位…?」

「えっ?あっホントですね。一年生の問題がどんなものなのか分かりませんが、難しいのは確かでしょう」


 リリアナが四位…四位…え?偉すぎ……?賢すぎ?うちの推し天才なの?

 えぇ〜、何?顔も良くて?可愛くて?しかも頭もいい?あの子に欠点ないじゃないですかやだ~。


「あっ!セレア様!どうですか!私、四位でしたよ!」

「リリアナ〜!偉すぎる…天才すぎる!」


 私が掲示板を見てるのに気付いたリリアナがこちらに来る。

 私はリリアナを褒めることしか脳がなかった。


「リリアナが天才だ…!どうしようオリカさん!」

「知りませんよ。それより語彙力どうにかしてください。さっきから『偉い』『天才』『可愛い』しか出てませんよ」

「事実だろ!」

「そんな勢い良く…言うことですかね?」

「これはパーティーを開かねばならないのかもしれない………リリアナ四位おめでとうという…」

「大袈裟では……?」


 オリカさんの言うことは正しいのかもしれないが、私にとってはどうでもいいんだ!リリアナが四位を取ったんだ!

 うちの推し天才!可愛い!神!


 そんな事を思いながら、私はリリアナを褒めていると背後から影が私を覆った。

 何か嫌な予感…………。


「セレア、生徒会の仕事まだ終わってないよな?」

「………ワァリオンサン、ワタシハシラナイ、オリカサンガサソッタンダヨ」

「人に罪を擦り付けないでください。そのまま永遠とリリアナさんを褒めてるのはセレアさんの責任でしょう?」

「見捨てたな!?会長を裏切るとはいい度キョっ」

「早く仕事終わらせに行くぞ〜」


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 リオンに連れて行かれた私は生徒会の仕事をやらされていた。

 うわぁぁ!鬼だぁぁ!屋敷にもメリーっていう鬼がいるし、学園にも鬼が居るなんて……私に逃げ場はないのか。


 オリカさんも時々鬼だし……会長泣いちゃうよ?

 首席維持したりしてる会長を労ってくれないんですか?今回は二位だけど…………。


「にしても、お前が二位だなんて珍しいな。四年のクラスでは噂が流れてるぞ」

「あれは歴史が悪い」

「そんなに嫌いなのかよ歴史」

「歴史なんて知らない……誰だよ二十四代目王族……今は、七十代目なんだぞ?知ってるわけ無いだろぉぉ!」


 そんな前のこと掘り出してくるなよ!七十も居るんだぞ!覚えてられっかよ。


「魔術師として歴史に載りそうな人がそれを言うな。いつかお前も刻まれると思うんだが」


 そんな訳ないよ。何せ私はストーリーにすら出てこないストーリー前に死ぬ脇役だぜ?

 名前なんて一回しか出て来なかったんだ。一回だぞ!?


 アルセリア家っていう家名の方が出てたよ。家名に負ける当主ってどうなってんだよ。


「私は脇役……脇役なんだよ」

「絶対脇役にはなれないから安心しろ。他国まで名前が流れてるから無理だ」


 転生したと分かった時は影からリリアナを支えるつもりで居たのに、いつの間にか私は表でリリアナを支える風になるとは………人生何があるか分からないな。


 私はあまり目立つことが嫌いだ。今までの行動を見るとホントか?と疑うものだが、苦手なんだ。


 前世では裏でひっそりと研究してた機械大好きな人間だったからな。

 表に出るなんて向いてないんだよ……。

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