第46話 メイド姿は目の保養…?

 時間はまだあるな。リリアナのメイド姿を見れる可能性がある…早く行かねば。


「セレアはこれから何処に行くんだ?」

「無論、リリアナのクラスに行くよ。リリアナのメイド姿を拝めず何になる」

「予想はしていたがやっぱりか。俺も同行していいか?」

「リリアナがデートをしたいと言っていたから、リリアナがルイスの同行を許してくれるか分からないけど…」

「その時は素直に引くよ。リリアナはゲーム内でヤンデレだったし、俺の身に何か起こりかねない」


 とてもいい判断だと思う。

 ここでリリアナの嫉妬心が出てくるとルイスに害が及ぶ。


 続編の内容は全く分からないから、ヴィルアがどんな人物なのか、他の攻略対象がどんな性格なのか、何一つ分からないからな先駆者の知識は必要だ。


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 リリアナのクラスに着くと、大きな看板にメイド喫茶とこの世界の言葉で書かれていた。

 本当に前世の文化祭感が強いな。高校時代を思い出すぞ。


「いらっしゃいませ!何名様ですか?」

「二名です」

「では此方の席にどうぞ〜」


 中に入るとボブのメイドが案内してくれる。生徒なんだよな…?

 周りは私と第二王子の来店に驚いている様子だった。


 会長と第二王子が来たらそれはびっくりするだろうよ。


「文化祭と雰囲気が似ているな…」

「だよね。私も最初は思ったよ、慣れたけどさ」


 高校時代は青春なんて無かったからな。いつの間にか時間が過ぎて、金はグッズや課金に消えて……案外充実した生活だったような気もする。


「セレア様!?」

「あっリリアナ。可愛いね似合ってるよ」

「えっ!?あっ、ありがとう…ございます」


 私はリリアナのメイド姿を見て思った事をすぐに言葉にした。すると、リリアナは照れてしまい顔が赤くなっていた。


 リリアナのメイド姿…目にいい!とっても!目の保養かな?

 この世界では黒髪は珍しい…セントラ家は黒髪の一族だからか、黒めの衣装が多かったりするらしいのだ。


 長髪黒髪メイド……よきかな。

 私はメニューを見て折角だから何かを頼もうかと思った。

 結構本格的なものばかりだな。


「セレア殿、これ………」

「えっ?なんですか?」


 そういや二人だけじゃないから敬語だったな。


 ルイスが私に見せたものはメイドからの愛のこもったオムライスを食べれるというものだった。


 これは、もしやかの有名なオムライスにケチャップでハートを描き、手でハートを作って一緒に「萌え萌えキュン♡」って言うやつじゃないですか!?


 夢が凄いあるんだけど………あるんだけどぉ…!でも、でも!流石に公の場でこれは出来ませんわ。

 リリアナとイチャつくのは別の場所で、イチャつきますわ。


「セレア様、注文はどうされますか?」

「………じゃあ、この煌めく星雲の晴天にしようかな」

「なら俺は緑葉にゃんパラダイスにしよう」

「かしこまりました」


 リリアナは注文をメモり厨房があるのか、厨房らしき場所に行った。

 ていうか煌めく星雲の晴天って星雲とかいう単語きちんとあるんだな。


 銀河なのか晴天なのか…どっちなんだ?


 少しするとリリアナが頼んだ物を持ってきた。

 私の前にはケーキ、ルイスの前にはパフェが並べられた。


「おぉ…半分適当に頼んだけど普通に美味しそう……」

「ふふっ♡セレア様のは私が作りました♡」


 リリアナの言葉にルイスは何故か私の心配をしだした。

 もしかして食べ物に髪の毛とか入ってないか気になってるの?流石にリリアナでもそこまでしないと思うんだけど。


 私はケーキを口に運ぶ。

 中に入れると甘いような酸っぱいような不思議な味がした。

 前世の物で例えるならブルーベリーと似てる味がするな。


 ルイスのは抹茶らしい。猫の形をした抹茶のパフェだそうだ。


「ふぅー。美味しかった」

「店に出しても問題ない美味しさだ」


 私とルイスの言葉を聞いてこのクラスの人達はとても喜んでいた。

 本当に美味しかった。ルイスの言う通り、店に出しても問題ない、っていうか店にありそうな味だ。


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 リリアナの当番も終わり、ルイスがリリアナに同行していいかと聞いた所、リリアナは言いづらそうだった。


「無理なら無理で構わない…遠慮はしないでくれ」

「………本音はセレア様と二人きりがいいんですが…」

「それなら俺は別行動をするさ。良い時を過ごしてくれ」


 ルイスは手を振り別のクラスを見に行った。


 まぁ、流石に第二王子に嫌ですとは答えれないよなぁ。

 私はリリアナの頭を撫でながらそう思った。


「セレア様は、いつルイス殿下と仲良くなられたのですか?」

「うーんと…今日かな」

「今日!?」

「そう。今日。どうもルイス殿下は魔術を習いたいらしくてね。教えてもらえないかって言われたんだ」

「了承したのですか?」

「まぁね。ルイス殿下は見た感じ器用っぽいから魔術には向いてると思ったから」


 これはお世辞でも何でも無い。事実だ。

 本格的に魔術師になってから、人の才能を見抜く事が出来るようになった。


 この人はこれが向いている、向いていない。色んなものが分かるようになった。


 行動、喋り方、表情から、相手の得意なもの、苦手なものが分かるようになったからか人選は得意だ。


 自分の話は置いといて、リリアナとの文明祭デートを楽しむとしようかな!

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