第45話 知らない物語と転生者

 私の番も終わりかな…。

 時計の針が十二時を指した時、私は出番が終わり、リリアナの文明祭の出番が終わるまで待つ事にした。


 …待つだけなのも、退屈だし折角だからリリアナのクラスに行くか。

 リリアナのクラスは……メイド喫茶…。メイド喫茶?


 何だそのTHE現代!的なものは……リリアナのメイド姿か…よし今すぐ行こう、すぐ行こう。


 私がリリアナのクラスに行こうとしたら、後ろから声をかけられた。


「セレア殿…話がしたいんですが」

「ルイス殿下?」

「急用なんです、人が少ない場所はありますか?」

「それなら二校舎の裏庭が良いかと」


 四歳にしてはしっかりしているな。四歳なのに可愛げがないというか。政治の天才と言われるのも納得か?


 王族の血を引いている証拠にルイスは金髪で王妃の血が濃いのか瞳の色は青色だ。

 原作には居なかった人物だし…周りに聞かれたくない話なんて、まずはついていくか。


♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦


 二校舎の裏庭に行き、ルイスと一対一になる。

 ルイスは真剣な眼差しで言い出した。


「セレア殿は、一体何処でカメラなどを学んだんですか?」

「それを聞く理由は興味ですか?それとも別のものですか?」

「…両方だと言ったら?」

「だとしたら、ルイス殿下と私は同じという事ですね」


 要は転生者なのか?と聞きたいのだろう。

 予想はしていたが、やはりルイスは転生者か…だとしても、第二王子なんて立場は無かったはずだ。


「君も転生者か」

「転生者でなければカメラやテレビ、銃なんて魔法の世界で思いつきませんよ」

「敬語はお互い無しにしよう。情報を整理したいんだ」

「分かった、私も色々聞きたいことがあるし」


 そりゃそうだよな。転生者じゃないと四歳であんなに流暢に話せるとは思えない。

 社会というものを知り過ぎている行動だ。上のものてして肝が据えている。


 見た目が四歳だからか敬語無しだと、見た目と中身のギャップが凄いんですが?


「セレアはいつ転生したんだ?」

「転生していると気付いたのは十三歳の頃だよ。ただ、元のセレアとしての記憶があるから、正しくはゼロ歳だろうね」

「どうやって生き残ったんだ?」

「ゲーム内じゃ、セレアは馬車の交通事故。だから私は学園に行く時に馬車を使わずに登校したんだ」

「それでワープ鏡か…それにより馬車恐怖症と噂されているわけだな」


 ホントだよ。馬車恐怖症って、そんな事無いから。自分の屋敷の馬車は乗れないけど、他のなら乗れるから!


 まだフラグが折れているのか分からないから、アルセリア家の馬車に乗ってないだけで………。これが馬車恐怖症…?


「じゃあ最後に……君の推しは誰だ?」

「それは勿論、リリアナですけど?」

「なるほどな」

「逆にルイスは誰だ?」

「当然!ヴィルアだろう!」

「ヴィ…ヴィルア?申し訳無いけど存じ上げて無いんですが…」


 私の発言にルイスはキョトンとする。あれ?何かおかしな事を言いました?

 ヴィルアなんてキャラクター居たかな…。


「もしかしてなんだが、ルイスというキャラも元々知らなかったのか?」

「だがら第二王子というのを聞いた時に害をなす者かもしれないと思って警戒してた」

「なら、俺の今知る限りの情報を教えよう。まず『恋せし乙女の薔薇』には続編がある。俺は続編の攻略対象だ」

「続…編……!?しかも攻略対象って」

「舞台は隣国のニャトス。主人公はニャトスの第三王女ヴィルアだ。続編は範囲が広がり、東の国ニーシャや法の国レボント、本の国ラーサル等様々な国が出て来るようになった」

「続編は更に攻略対象も増えると言う事か。大規模だな」


 私が死んだ後にそんな大規模な続編が出ていたとは……くそっ!私もやりたかった!

 転生は嬉しいけど、その続編やりたかったよ!


 ルイスは主人公であるヴィルアが好きなのか。それに攻略対象っなんだっけか。

 それならルイスルートにヴィルアを導けば良いって事か。


 第三王女かぁ。まだ名前も聞いたことないから、生まれていないのかな。

 てことはルイスの年下か。最低でも四は差があるのか。


「何年後なの?『恋せし乙女の薔薇1』じゃルイスは居なかったのに今は居る…実は第二王子居たんだよって言う風で追加されたの?」

「舞台は十一年後だよ。十五歳っていう設定だったせいでルイスが1の時に居ないとおかしくないか?という話になるから実は隠していたという設定になっていたんだ」

「でもルイスは今、公に出ている。何を思ってゲームとは違う展開にしたの?」

「転生者の可能性がある君と接点を作るためだ。ヴィルアは魔術を好んでいてね。君に魔術というのを教えてもらいたかったんだ」


 魔術が好き…か。ヴィルアと共通点を作りたくて私を探していたのか。推しの為なら、自分が命を狙われても問題ないという感じがするな。


 第二王子が居ると知られれば、未だに尻尾を掴めていない反王国派、それに勢力争いだって出るのに表に出るとは……勇気があるな。


 好きな人の為に頑張る青年を応援してあげるか。魔術なら全然教えてあげれるしな。


「私と関わって、ヴィルアと仲良くなりたい。要は協力関係を築きたいわけだ」

「あぁ、無理だろうか?」

「問題ないよ。私とリリアナの邪魔をしなければね」

「勿論だ、約束しよう」

「ヴィルアがルイスルートに行くよう協力するよ」


 私とルイスは握手をして協力を結ぶ。

 続編は完全初見!それを生で見れるというのは良いものだな!

 任せろルイス……必ずやヴィルアルートに導いてみせよう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る