第44話 お化け屋敷の裏側
文明祭まで後四日になった。
私が休んでいた時に、屋敷の皆やオリカさん、エルトンさん、リオンはお化け役の練習をしていたらしい。
メリー曰く、皆バッチリだと言っていた。
私はお化けとして出る事はなく、廃墟に防犯として置いておいた防犯カメラの映像や
言わば裏方ということだ。
後四日…しっかり働くぞー!
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そして四日経ち………皆のお化けとしての演技がとてつもなく上達した。
今日は文明祭当日だ。
最初は生徒会長として王家をこの学園にお迎えしなければならない。
私は学園の門で王家の紋章が描かれた高級そうな馬車と公爵家の紋章が描かれた馬車を見つけ駆け寄る。
ひょえ~、流石は王族と公爵。馬車も豪華だ。
王家の馬車からは国王陛下のアザルク・ルーベンと王妃のリティア・キャルナ。第二王子のルイス・ルーベン。
公爵の馬車からは公爵のラルク・ルノワールと宰相のカラルナ・イーセス。
そして、その後ろでイノワさんとウルトさんが居た。
毎年この二人は文明祭に来てくれるから今年も来るだろうと踏んでいたがやはりか。
「文明祭に来ていただき感謝します。この文明祭は在校生がクラスの皆と協力して作り上げたものです。ぜひ、楽しんでいってください。こちら学園内のマップです」
「あぁ、ありがとう」
王族はアルベルトとイエラの居るクラスに行き、宰相と公爵はサイレスとアルテが居るクラスに行った。
「イノワさんとウルトさんはウキオンのクラスですか?」
「そうね。弟が何をしているのか気になるし」
「ウキオン君の所を見終わったらオリカの所に行くつもりだよ」
「そろそろ私は当番なんで行ってきますね」
「頑張れよー」
「頑張ってね」
私は二人と別れて生徒会室に行く。
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生徒会室の出し物であるお化け屋敷は怖さに特化してあるのとここじゃ珍しいという事で大繁盛だ。
凄い並んでるなぁ…この学園の良い所は貴族も平民も関係無しに来れるという事だ。
食べ物を売っているクラスもあるが値段は高くない為、お財布に良いのだ。
私は関係者以外立ち入り禁止の扉を開けて中に入る。
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中に入るとワープ鏡があり、鏡を抜けると小屋に出た。
その小屋は廃墟の隣に作ったものだ。
小屋はおなじみのタンクトップのおっちゃん達が作ってくれた。
「交代だよー。遊びに行ってきな」
「はい!セレア様も休憩は挟んでくださいね!」
私の代わりに防犯カメラの映像を見てくれていた、メイドと交代して席に座る。
私の当番は昼までだからな。
昼過ぎたらリリアナの当番が終わるまで待って、終わったらリリアナと文明祭デートだな。
王子居るのにデートと言うのは申し訳無く感じるがな。
防犯カメラを見ていると、入ってきたカップルがビクビクしながら歩いていた。
怖いだろうなぁ……女性の方は子鹿みたいな足取りをしていた。
日本で一番怖いと言われていたお化け屋敷『最恐戦○迷宮』を参考にさせてもらった。
この廃墟は元は王城だったらしい。だが、王城の位置を移したため、ここは使われなくなったそうだ。
廃墟とは言えど元王城を貸してくれるとは思っても無かった。
ボロボロになった城って怖いよな。ボロボロって言ってるが怪我しないように魔法で補強してあるがな。
「セレアさん、どうですか?」
「
「それは良かったです」
「ていうか、その姿でここに来ないでよ。普通にビックリするよ」
オリカさんが口裂け女の格好をしたまま監視室に来たため、普通に驚いてしまった。
せめて化粧は落とそうよ。
「どうせすぐ出番来るので…」
「なるほどね。エルトンさんは廃墟内で転んだりしてないよね……?」
「大丈夫そうでしたよ」
「それは良かった。廃墟内で転んだら大怪我間違いなしだからね」
エルトンさんは八尺様になってもらった。身長を盛り廃墟に行く途中で出会うようにしている。
エルトンさんは元から身長が高いし、胸はデカイしで…八尺様にピッタリだと思ったんだよな。
お化けというか妖の部類なのだろうか…ただ、廃墟に入ると、ゾンビとか洋系のものばかりだ。
系統を同じ風にしたかったのだが、エルトンさんをどうしても八尺様にしたかったため、バラバラになってしまった。
くそっ、欲には勝てないのか…!
リオンは怖いのが無理なのだが、廃墟内で動いてもらっている。
ごめんな…。リオンは亡くなった騎士の亡霊役だ。昔の近衛服をリオンに来てもらい廃墟内を徘徊してもらっている。
「あっ、そろそろ新しいお客さんが来ますね。行ってきます」
「気を付けてね〜」
オリカさんは平気そうに仕事に戻った。
一見、オリカさんは怖いのが大丈夫そうに見えるが実は生徒会の中では一番怖いのが無理なのだ。
廃墟内役が本当に嫌らしいので、外役に変えたのだ。あんなに、底から嫌がってるオリカさんを見るのは初めてだったぞ。
出し物をお化け屋敷にすると考えた二人が怖いのが無理だというのが面白いんだよなぁ。
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