第39話 関わってくるヒロイン

 学級閉鎖も終わり、学園に通い私は教室に居た。

 テスト勉強しなくちゃいけないの面倒くさいな。


 テストは二時間後。昼前だ。教室で勉強をするが、何やら周りのガヤが五月蝿い。


 私に突っ掛かってくる理由はイエラを最後まで探そうとしなかったとの事だ。魔力探知機には反応しなかったんだから探すっていう事すら出来ないんだよな……。


「会長は皆さんを平等に見るんじゃないんですか?何でイエラさんだけ!」

「イエラも探せたんじゃなかったのかよ」

「そんな人だなんて思ってもいませんでした。セレアさんはまともな方だと思っていましたのに」

「……何を言われようが、私はハッキリ言うよ。魔力探知機に反応しなかった以上、何処に居るのかも分からないよにどうやって探せっていうのさ」


 そもそもその場には王子達だって居たんだ。学園長やゴウレス先生すらも批判することになる。

 それすら知らずに私だけを責めるのは違うだろう。


 私が頭を悩ませいる中、今この場で会いたくなかった人物が皆の騒ぎを止める。


「私は大丈夫です。先輩の皆さん。ありがとうございます」

「…イエラさんの恩に感謝することね」


 イエラの一言で私に突っ掛かってきた人物は去っていった。

 流石ヒロイン。その一言で終わるのか。


「セレアさん。私のせいですみません」

「あぁ、いえ…別に謝らなくて大丈夫ですよ。イエラさんは何もしていないでしょう」

「そんな事ありません!宜しければ昼食を共にしてもよろしいでしょうか」


 今日はリリアナと食べる予約をしているし、個人的にはイエラとはあまり関わりたくない。

 魅了に私もかかる可能性があるからな。それでリリアナに何か危害を加えたくない。


 ここは、丁重にお断りしよう。


「申し訳ないけどお断りします。先約が居まして」

「そうなんですね。残念です…」

「イエラとセレアか!珍しいな」


 リオンが私とイエラを見るなりそう言う。

 よし、リオンにイエラを託そう。私には関係ない関係ない。


「リオン君!この前は迷惑をかけてごめんなさい。探してくれたって聞いたよ」

「探すのは当然だよ」

「ありがとうリオン君」


 目の前でイチャつくの止めてもらってもいいですか。

 リオン君か…すっかりイエラの虜ですな。前はイエラに恋したことを後悔してたのにまたもや虜になって…ヒロイン補正なのか魅了補正なのか。


 早くこの空間から逃げたい。これが目の前でイチャつかれている感じか。

 親友がこうなってるの見ると心が痛みますわ。


 ごめんな、いつか親友の好きな人を断罪する側になりかねんのだ。

 私が悪役側になる可能性が高いんだよな。


 イエラのせいで椅子から立っても出られないという苦痛で私は悶えていた。

 そんな所に救いの手が差し伸べられる。


「セレア様!お話したい事があるんですけど…」

「リリアナ!分かった今行く」


 リオンは素に戻ったのか道を開けてくれる。

 ナイスだリリアナ!女神!やはり推しは裏切らない!


♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦


 私はリリアナと学園の庭園に来ていた。

 庭園は紅茶を飲む場所としては最適解だ。虫は出ないようになっているため安心して飲める。


「それで話って何?」

「セレア様が浮気をしていたので……」

「うわ…き?もしかしてイエラの事!?」

「そうですよ。話していたではないですか、助けられて恋に落ちたりは…」

「しないよ!イエラに恋心なんて抱かないよ。リオンとあんなに仲良くしてるんだもんしてたら失恋まっしぐらでしょ?」

「そ、そうですよね。セレア様は浮気なんてしませんよね。私の事だけですもんね!」


 また自分の世界に入っている気がするんですが気の所為ですかね。

 リリアナが可愛いから別にもうどうでもいいや。


 色々、負の心が浄化されていく。綺麗なセレアになりそうだ。いや、別に汚いわけじゃないけど。多分。


「イエラさんとは何を話していたんですか?」

「昼食を一緒に食べないかっていうお誘いだよ。もちろん断ったけどね」

「私との予約がありますもんね♡」


 楽しそうだなリリアナ。ウキウキしている。

 リリアナと居ると自分の思考力が極限に低下している気がしてならない。

 脳が溶けているようだ。リリアナの圧のせいなのか愛の重さのせいなのか、思考をやめてしまう。


「そうだ。セレア様の誕生日ってもうすぐですよね」

「もうそろ冬だし…そうだね」

「何か欲しい物はありますか?」

「特に無いんだよね。今まで考えてなかったし」


 この答えが一番困るのは分かっている、だが本当に何も思い付かないのだ。

 欲しい物って言われてもなぁ…。


 今までもリリアナからプレゼントはもらっていたけど、毎回何も望んでなかったからな。


 服は貰ったし、万年筆も貰った今は貰った万年筆を愛用している。


 リリアナが私の誕生日で悩んでいるが、リリアナの誕生日も近い。

 何をあげようかな。


 一眼レフは別だし、リリアナが愛用できるもので困らないもの…。

 普段は、スイーツを奢ったりアクセサリーを買ったりしているが、今回は別な物にしてもいいな。


 作れる魔道具アーティファクトの質も上がってきたからな。

 前世の知識を全振りしてもいいな。


「もう時間ですね。もう少しお話したかったんですが…」

「昼は一緒だから、また話そっか」

「…分かりました。お昼に沢山話しましょうね!」


♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦


 私は教室に戻って授業を受ける、歴史か…。

 苦手じゃないけど、個人的には理系科目の方が良いんだけどなぁ。


 予習してた範囲だから良いか。次はテストか。テストが終わったらリリアナと昼食!

 夢の為に頑張るか。

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