第37話 少食にお祭りは向いてなかった
景色を見ながら、和んでいると崖下から何やら声がたくさんあり聞こえてきた。
今日は何かあったのか?
「下が騒がしいね…」
「ふふっ。当然ですよ。何せ今日はリゾォーン祭ですから!」
リゾォーン祭。それは、この地を治めているリゾルト伯爵を祝福する祭りだ。
リゾルト伯爵は私も知っている。何度か顔を合わせたが、とても親しみやすい庶民よりの貴族だ。
今日が開催日だったのか。そういや、オリカさんが何か言いかけている時があったな。
リゾォーン祭の事を隠すためだったのか。
「せっかくですし、行きませんか?」
「…元々予定を組んでいたんだろう?無下には出来ないし、もちろん行くよ」
「この日のために色々頑張ったんですからね」
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リリアナに手をとられ、崖下に行き祭りを観光する。
そこには、様々な屋台が開かれていた。
「あ!セレア様…!あれは初めてのデートで食べた。手持ちソーセージではありませんか!?」
「ほんとだね。フランk…じゃないや手持ちソーセージだ。食べに行く?」
「はい!とても美味しかったので食べたいです!」
手持ちソーセージを買い、ベンチに座る。食べ歩きはまだリリアナには早いみたいだからな。
いつか慣れるといいなぁ。
ホント、いつ見てもこの手持ちソーセージがフランクフルトにしか見えないんだけどどうしようか。
コンビニとかに売ってるやつだよ。
それに、手持ちソーセージの屋台の隣に焼きそばもあったな。
地球じゃないけど地球の物が多いな。
前世との馴染みの物が多すぎて脳がバグる。
「ゴミを捨ててくるよ」
「お願いします」
食べ終わり、残った棒を捨てに行く。
ゴミ箱まであるの便利だな、すぐ近くにあるし。
さて、リリアナの所に戻るか。
「セレア様!向こうに美味しそうな食べ物が!」
「分かった分かった。近いから一旦離れようか」
戻った瞬間興奮気味なリリアナがこちらに寄ってくる。
至近距離の推しは心臓に悪いから!
リリアナと一緒に進んだ先にはりんご飴を売っている店だった。
なるほどな。りんご飴か。確かに王都近くじゃないものだ。
「この食べ物がとても美味しそうです!」
「おぉ嬢ちゃん。見る目があるねぇ。これはりんご飴って言ってな、食ってきな。美味しいぞ」
「セレア様!良いですか!?」
「問題ないよ。店主、りんご飴を二個」
「あいよー」
お金を渡して、りんご飴を貰う。
前世じゃ祭りなんてほとんど行かなかったから久しぶりだな。
りんご飴とか子供のときぐらいしか食べてなかったし、食べきれなかったけど。
今も少食だし食べきれるかな。
「美味しい!パリパリしていてりんごの甘さも引き立っています」
「りんごってこんなに甘いっけ?私の知ってるりんごじゃない」
前世のりんご飴よりも甘い…飴もベタつきは無くパリパリしている。
流石は異世界、魔法とかもあるし遺伝子組み換えとか農薬を使わなくてもこんな美味しい物を作れるのか。
ここじゃ農薬なんて存在しないしな。それにここの果物は全般的に甘い、レモンとかは別だが甘さをメインとしている物は特に甘い。
「見た目の割に結構、中がぎっしりしてますね…。セレア様、食べ終われますか?」
「時間をかければ…なんとか」
半分は余裕だ。それ以上は分からない。それに、後半になるにつれて飴が無くなり、ただのパサパサりんごになっていく。
これがりんご飴の欠点…!
うっ……少食がでしゃばってしまった。食べきれない、けど食材を無下にする訳にはいかない。
てあら?リリアナさんもう食べ終わったんですか?早くないですか?
「私はりんご飴と激闘を繰り広げるからリリアナは他に食べたいものはある?」
「あそこにあるかき氷って物を食べてみたいです」
「なら行こうか」
私はりんご飴をムシャムシャしながら、かき氷を買いに行く。
リリアナの注文ではメロン味が欲しいらしい。
「はい、リリアナ」
「ありがとうございます。んー!頭がキンキンしますが、冷たく美味しいです。口に入れるとすぐ溶けてしまいます!」
「かき氷はそういうもんだからね。中には氷がしっかりしているものやふわふわしてるのがあるよ」
かき氷を美味しそうに食べているリリアナを眺めながら私はりんご飴を食べる。
全く減っている感じがしないよ。このりんご飴。
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りんご飴をやっと食べ終わり、腹が満腹になる。大食いの人とかはどうやったらあんなに食べれるんだか。
エルトンさんは大食いだったか。
リリアナはデザートなら結構食べるし…。
悪役って結構食べる傾向があるんですか?
そんな事は無いと思うけどそう思わざる負えないです。それとも私が少食すぎるのか。
私がりんご飴を食べている間、リリアナは色んな屋台を回った。
リリアナは大満足のようだ。
「今日は宿に泊まろう。流石に遅すぎる」
「元々、宿に泊まる予定でしたので大丈夫ですよ。メリーさん達には既に話していますし、予約もしました」
「こういうときは用意周到だね」
「もちろん!デートはきちんと準備しなくては」
見習いたいその意志。そして守りたいその笑顔。
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予約していた宿に泊まり、朝までグッスリして、屋敷に無事帰宅した。
とても幸福なデートだった。
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