第29話 推しとの風呂は最高!

 私はリリアナにデザート巡りに連れてかれ半強制的に食わされていた。


「セレア様。あーんですよ」

「あ、あーん」


 うむむ…美味いのは確かなのだが恥ずかしいの何者でもない。

 推しからのあーんは嬉しいんだが顔が近いし、匂いは良いし私の理性は崩れていくんだが何だ⁉誘ってんのか!


「リリアナ…恥ずかしいから、その、やめてほしいな……」

「嫌です♡何故、やめなくてはいけないんですか?私達は愛し合ってるだけですよね?」

「だから、はずか…むぐっ!」


 リリアナが黙らせるようにケーキを私の口に放り込む。

 無理やり過ぎません⁉さっきから圧力とかがエグイぐらいあるんですけど…気に障ってる感じはしないんですけど、意志が強すぎませんか。


 にしてもここのデザート美味しいな。メモるかぁ。休日とかここにきてもいいな。


 私はメニューを見る。パフェもあるのか。マンゴーパフェかぁ。高いけどおいしそうだし食いたいなぁ。


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 あれ…?リリアナといちゃついていたらいつの間にか夕方になっていた。


 夢中って怖いなぁ…。推しとの時間は全てを忘れれる。

 もうそろそろ帰ろうかな。ルートさんは大丈夫だろうか。あんな強引な別れ方でもし訳無かった。帰宅したら手紙を送ろう。


「リリアナ、帰ろうか。これ以上食べたら夕食、食べれなくなっちゃうよ」

「デザートは別腹ですよ。セレア様も知っているでしょう」

「分かるけど…お腹は膨らんでしまうよ」

「太るって言いたいんですか?」

「いやいや!そんなことないけど」


 失言をした。まぁ、でもリリアナは太ってても可愛いけどなぁ。

 リリアナは何をしても可愛いと思う。世界一、いや宇宙一可愛いと思う。


 リリアナをエスコートして私は帰宅する。


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 魚の夕食を食べて、私はルートさんに手紙を書いて送る。

 湯浴みの準備ができたらしいので私は風呂に向かう。少し後ろを向くと何故かリリアナが着替えを準備していた。

 リリアナはまだ風呂の準備しなくてもいいような…。


 風呂に浸かっていると疲れがどんどん取れていく。

 ゆっくりしていると、風呂場の扉が開いた音がする。


 誰だ?もしかして、メリーだろうか。何か連絡でもあるのかな。


「セレア様…お背中流しますよ♡」

「はっ⁉」


 私が驚くのも無理はないだろう。何せ、目の前にはタオルで素肌を隠すリリアナがいたのだ。

 リリアナは髪の毛を巻いており、団子のようにしていた。


 リリアナが風呂に?背中を流す?いや、これは夢に決まっている。そうに違いない、リリアナが私が入浴中に来るわけ無いんだ。

 疲れているんだろう、風呂場で寝ちゃったんだろう。いやいや風呂場で寝るのは駄目だけど。


「リリアナ…?これは夢?」

「勝手に夢にしないでください!もしかして嫌でした?」


 やめてぇ!そんなうるうるした目で私に問わないでくれ!断りずらいだろう!別に嫌じゃないけど!

 なーんでこういう時に推しは行動力があるんだ。

 推しの素肌とか、オタクには尊死するほどの致死量だよ!


 私はリリアナに言われるがままに背中を洗ってもらう。

 何だろうか…イケないことをしている気分だ。リリアナに私は弱すぎる…何でも許してしまうそうだ。


 このままじゃ、次期婚約者と言うかただのリリアナに貢ぐATMじゃないか!


「ねぇ、リリアナ。何で風呂に来たの?」

「セレア様の奥さんとして奥さんらしい事をしてみようと思い、メリーさんに昨日聞いたんです」

「それで背中を流すといいよと言われたと?」

「そうですね。セレア様は疲れをほとんど風呂で流しているので私が風呂に同行して更に癒すといいでしょうと言われました」

「他には何か言われなかった?」


 リリアナは目をそらし、何も無いですよと言うような表情をする。

 あんのメイド長、何か吹き込んだな。


「ホントに何もない?」

「……………セレア様の幼い写真は沢山貰いましたし、セレア様の初めての失禁の話も聞きましたし、幼い頃にデザートを頬張ってシェフに怒られて泣きかけになって羨ましいですが乳母に抱き着いた話や……」

「ストップ、ストップ。まだあるの?失禁の話とか忘れてほしいんだけど、ていうか羨ましいって何」

「幼いセレア様に抱き着かれるとか羨ましすぎますよ!ズルいです!私だって幼いセレア様に抱き着かれたいですよ!そもそも幼いセレア様を実際に見ているメリーさんも羨ましいです!」


 感情的になっているリリアナは私の背中を流し終わると、一緒に湯船に浸かりましょう?と言ってきた。

 え?この人一人しか入れない湯船に二人ですか?密着度が素晴らしいことになるんですけど。持つかな私の理性、頑張れ今日も理性。


 結局またもや言われるがままに二人で湯船に浸かることにした。私の上にリリアナが座るように浸かった。


「セレア様の幼い頃の写真を見たんですが可愛すぎました。何であんなに可愛いんですか。髪も短めなので今のセレア様とは違う雰囲気があって、今のセレア様はカッコイイ感じですが幼い頃はとても可愛らしいんですね。二つの要素を持ってるなんてズルいです。それに無邪気にクマさんのぬいぐるみを抱きしめていて、今のセレア様の部屋にもクマのぬいぐるみがあってもう!何ですか!ギャップが言葉に出来ません!」


 わぁ…凄い早口。ほとんど何を言ってるのか分からなかった。

 これがオタクとくいうのやつかぁ。私はこれを友達に披露していたんだな…。

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