第26話 重すぎる想い
日も沈み、人々は明かりを消して眠りにつく頃になった。
「リリアナ…本当に一緒に寝るの?ソファで私は寝ても問題は無いんだけど」
「何ですか?嫌なんですか?」
「いや、そんなことは無いんだけど…」
「ならいいですよね♡」
リリアナの笑みに押され、私は布団の中に入る。
リリアナも続けて入り抱き着いてくる。
可愛いすぎるんですけど…まつ毛長い。顔が綺麗すぎる。
理性が持たなそうと思い私はリリアナに背を向ける様に寝る。すると、気に食わないのかリリアナは不満そうな声でいう。
「何故、後ろを向くんですか」
「危ないから」
「危ないって何ですか…」
私はスルーするように眠りにつく。
睡魔は味方…味方…。
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セレア様が寝てしまった…。
スヤスヤと可愛い寝息を立ててグッスリだ。
「私は幸せです」
セレア様と想いが通じ合った時、胸の鼓動が止まらなかった。
ずっと好きだったのだ。
セレア様はいつも優しかった。私優先で、甘やかしてくれた。
こうやってセレア様の寝息を聞くのも、背中を見るのも、恥ずかしがっている所を見るのも私だけならいいのにと思う。
でも、セレア様は優しいから私だけでなく、いろんな人に愛想を振りまくのだろう。考えるだけでも嫌だ。
今日の縁談の申し込みでセレア様が悩んでいるのを見て原因が私じゃないと思うと胸が苦しくなる。
独り占め出来たらどれほど嬉しいのだろう。
そう思っているとセレア様が寝返りをうってこちらに顔が向く。
私に腕が当たり眠そうな声で起きる。
「ん~?り、リリアナ?まだ…おきてりゅの?」
「かわ…じゃなかった。もう寝ますよ」
かみかみのセレア様が可愛すぎます!しっかりしている分こういう所を見るとギャップがあって胸が締め付けられます。
朝とか弱いんでしょうか…えへへ…こういうセレア様は私しか知りませんよね?さすがのメリーさんでも知らなさそうです。
寝顔も顔立ちがいいからか綺麗です。
いつもセレア様は研究熱心で普通じゃ思いつかないものもすぐ作ってしまいます。
監視カメラやモニター…それに石鹸。
研究熱心なのはいいですが、睡眠も怠っているとメリーさんから聞きました。寝るよう催促したり、癒してあげるのもセレア様の奥さんとして大事な仕事ですよね。
浮気もしないよう見守らなくては…愛想を振りまくのですぐ他の人が寄って来ちゃいますから。
学園を卒業すれば会いづらくなる。
セレア様の実力は当然ながら王家に認められている…だから国に縛るために王宮勤めの魔術師を推奨したのだろう。
給料は高いし、向こうで食える食事も豪華だ。
セレア様的には食事は簡易的なものがいいらしいが健康を考えると、王宮の食事はバランスがいい。
無料なのもあってみなが王宮勤めを憧れるのはわかる気がする。
私はいつまで王子の婚約者なのだろうか…。イエラさんが来てから更に王子はおかしくなった。
妄信的に愛し、私は謎の冤罪をかけられ、身に覚えもない愛情を王子に向け続けていると言われる。
あの王子にはセレア様を見習ってほしい。
私はそう思っていると睡魔が襲ってくる。好きな人に抱きしめられながら…最高な睡眠だろう。
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朝起きると、幸せそうな顔をしたリリアナが居た。
推しの寝顔が尊い…可愛さの塊だなホント。こんな子をよくも作ってくれたな…ありがとう。
推しの寝顔も見れて疲れなんて無いし、久々の睡眠はよいものだ。
リリアナが起きるまで書類処理でもしてるか。
当主って大変だな…慣れてきたつもりだったが、前世の記憶が蘇ってからまた慣れる必要が出てきた。
文字しか書いていないからか分かりにくい。
こうやってリリアナが寝ている中、仕事をしていると結婚したように思える。
新婚感が強いな…まぁ、でもいつかは結婚できるだろうし…リリアナの気持ちが変わらなければだが。
今のリリアナを見る感じ、変わる心配はないが王城編では分からない。
王城編では大人になった攻略対象たちが居る。王子もカッコよくなるだろうし、王位継承権などもあって気が変わるかもしれないしな。
私の気持ちは変わりませんけどね!リリアナが最推しでリリアナ命なのは絶対変わらない。
お、この交渉いいな…。金鉱石はおっちゃんの所じゃ買えないし、この交渉が上手くいけば金を使ったものも作れるかもしれない。
「…せれ、あ…さま?」
「おはようリリアナ。ぐっすり眠れた?」
「う…はい………」
眠そうだな…いやぁ癒しだ。この減ったけど山積みの書類から離れれる。
寝起きの推しなんて普通見れないからな…しかもゲームの推しなんかはもちろんだ。
二次元の推しが三次元で更に可愛く見えるなぁ。
寝起きでウトウトしているリリアナは朝風呂をしに行く。
目覚ましにはいいよな…朝風呂。したことないけど。
メリーに朝食の準備をするよう伝え、仕事に戻る。
そういや昨日送った縁談の返答が返ってきた。縁談をするのは今日らしい…ん?今日?
昨日送って今日ですか?気が早いな!結婚する気は無いけど相手の気持ちぐらい考えろよ!
昼過ぎか…石鹸づくりの材料を買いに行くつもりだったんだけど縁談優先かな。
リリアナにも伝えておこう。
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