第24話 真逆の晩餐
部屋でリリアナとお喋りをしていると扉がノックされる。
「食事の時間です」
「分かった。すぐ行く」
もうそんな時間か。確かにリリアナが来たときは昼過ぎだったし…いつの間にか夕暮れだ。
今日の晩御飯は何だろうか。
リリアナと食卓に着いて席に着く。
メイドが持ってきたのは魚のミルフィーユだった。でもムニエルにも見える…?
「白身魚のムニエル・ミルフィーユ仕立てでございます」
「美味しそうですね。セレア様は普段こういうのを食べてるんですか?魚はあまり出ないので…」
「いいや、まったく…殆どパンとかハンバーグとか…一般的なものしか」
当主だけど、庶民とかと同じ物食べてます。何故かって?前世はもやししか食べてなかったし庶民よりなんです!
ミルフィーユとか食べたことないよ⁉初めてだよ、こんなに豪華な食事!
「奮発してみました。リリアナ様が来ているので」
「当主の前でそれ言うの?」
「セレア様は自分で勝手にパン持って行って、勝手に食事をするではありませんか」
「研究室にいるから…手軽に食べれるものじゃないと…邪魔だなって」
「でも、健康には気を付けないといけませんよ?セレア様は細すぎますから」
リリアナの正論に何も言い返せない…。仕方ないじゃないか、食事をする時間さえも惜しいんだ。いつもはきちんと食べてるから。
シェフの視線が痛いが、魚を口に運ぶ。美味しいのは分かるんだけど、転生してるってわかると、今までの食事と言うか貴族の食事が豪華すぎると実感してしまう。
金持ちは違うんだな。
「セントラ家では魚はあまり出ないって言ってたけど、狩猟をしているから?」
「そうですね。お父様やお母様が定期的に狩猟で肉をとってくるのでほぼ肉がメインです」
「うちとは真逆ってわけか」
「なるほど、アルセリア家は商家と関わりがあるから漁業をしてもらってるんですね」
「それもあるけど、私が肉より魚が好きっていうのもあるかな」
脂が苦手だからかな、肉の脂はどうも好きじゃない。
魚も筋は嫌いだが焼いたら筋も関係ない…ここじゃ刺身とかはあまり流行ってないし焼くのが一般だ。
東の国は刺身が流行っているらしいがここじゃそもそも魚を食べる事すら珍しかったりする。
東の国は日本モチーフの国だ。いつか行ってみたいなぁ。ここで和を体験できるなんて夢みたいなもんだ。
もしリリアナと向こうに行ったら和服姿のリリアナが見れるのか?
頑張って働くか…。
「さっきから気になってましたけど、研究室とは?」
「私が
「暗号とかがあるんですか?」
「そういうのは無いけど、隠されてはあるかな」
その隠し部屋こと研究室は私しか場所を知らない。メイド長のメリーでさえ知らないのだ。
よくある、本棚とかの後ろにある隠し通路とかではないからな。
私しか知らないが故に汚すぎるんだけどね。汚部屋と言われても何も言い返せない。足場はあるが失敗作の
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夕食を食べ終わり、湯浴みの時間まで私は書類を整理しリリアナは本を読んでいた。
「うぅーん…」
「何を唸っているんですか?」
「断ってもいいんだけど相手が大手だから悩んでる。私より爵位が高いと断りずらいんだよね」
「アルセリア家は伯爵、お相手は侯爵ですか…辺境伯なら断れたでしょうけど確かに断りずらいですね」
「しかも縁談…会うだけ会って断ろう」
「了承しなければ私はギリ許します」
リリアナの許可も貰ったし、会うだけ会ってみよう…。
相手はペストル侯爵の息子、私と同年代らしい。あったことは無いが好条件を出してくれるとのことだ。
断るだろうけど…浮気は良くないよね。
「湯浴みの準備が出来ました」
メリーの言葉で準備をする。
「リリアナが先に行く?私が先でもいいけど」
「一緒は無理ですか」
「浴槽は広くないから無理だね」
「むぅ…ならお先にどうぞ」
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カポーンと言う音は出ないが、お風呂は気持ちい。
疲れが取れる…あんな埃まみれの所に居たのが嘘みたいに肌がすべすべだ。
お湯だき機能とかは無いが魔法で温めているからか常に暖かい。
今更だが、一緒に寝るってことは寝間着姿のリリアナが見れるのか?なんと素晴らしいエンドコンテンツなんだ。
まだストーリー半分もいってないけど…生きててよかった。
自分が馬車に乗ると死ぬと危惧してたけどまだ死亡フラグは立っているのか?
一度、リリアナの馬車に乗ったことがあったけど死ななかったな。
でもリリアナが居るというのもあるしアルセリア家の馬車ではなくセントラ家の馬車だからなぁ…フラグが立たない可能性は十分あるし、馬車に乗ってなさ過ぎて馬車恐怖症とか噂されているからな。
ある意味、馬車恐怖症かもしれないけどそんなことは無い。
「そういや石鹸とかってないよな…作れれば金も稼げるか」
新たな商品のアイディアを思いつき浴槽から出て濡れた髪をタオルで乾かす。
匂い付きとかにしようかなぁ。
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