第22話 学園閉鎖による好機
地下に入って、入り口近くの兵士を眠らせることに成功し何とか引きずってリオンに渡す。
渡すって言い方は良くないのかな…まぁいいか。
戻ってきたときにはさっきまで居たアルベルト達は帰っていた。
どうしたんだ…?
「アルベルト君達はイエラさんの捜索届を出しに行きましたよ」
「てことは、国王陛下の所に行ったのか…」
「学園長と俺も学園に戻って国に知らせを送ってくる。当分、学園は無いだろうな」
学園閉鎖か…屋敷で何しようかな…。
まさかの展開に困りながら学園長とゴウレス先生の背中を眺めていると、リオンが話す。
「俺はこの兵士を屋敷に連れていくけど…リリアナはどうする?」
「…セレア様が良いのなら、セレア様の所でお泊りしたいです」
「私は問題ないけど、セントラ伯爵や夫人に許可貰わないとダメなんじゃないの?」
「確かにそうですね…なら私もお兄様と一度帰宅して許可を貰ってから向かいますね」
私は、リリアナとリオンを見送りながら喜びをかみしめる。
すぅぅぅ~~…よっしゃあぁぁぁ!リリアナとのお泊りだぁぁぁ!屋敷に帰ったら急いで部屋の掃除をしないと変な物はしまっておこう。
卑猥なものは無いけど、研究のメモとかこの世界の本編についてのノートがあるからな…後はベットを綺麗に整え…て…………あれ?今の私って相当キモいんじゃ…。
いやいや仕方ないよね。好きな子とお泊りだぞ?最推しとお泊りとか最高じゃないですか。
思春期の男子みたいな気分だ…こんな感じなのか。
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ウキウキで屋敷に戻り、部屋の掃除をして着替える。
この世界の私服は前世と違って着づらかったりするが着心地は良いんだよな。魔法を付与した服とかもあって便利だし。
娯楽が少ないのが不満だが、他は前世の世界よりよっぽど快適だ。いつか将棋とかオセロとか作るのもいいのかもしれないな。
あまり見られたくない物は鍵のかけてあるタンスにしまい、部屋を綺麗にする。
部屋を綺麗にした弊害で黒歴史なるものも出てくるのは付き物で、幼い頃に描いた絵や作った
「壁画にしか見えないな…エジプトの壁画でこういうのあった気がするな…ディスってるわけじゃないけど」
駄作な自分の絵を見ながら、初めて作った
前世でも部屋から謎の物が出てきたりしたなぁ…転生しても変わらないってことか。
にしても、やっと部屋を掃除する時が来たか…。
部屋の掃除が嫌いな私でもこれぐらいは出来るぞ。しないだけで出来るんだ。
掃除も終わり寛いでいるとメイド長であるメリーからリリアナが来た報告を受ける。
屋敷の扉を開けると着替えであろう荷物を持った白いワンピースを着たリリアナが居た。
ワンピース姿可愛い!天使か?いや天使か。
「セレア様、お母様から学園閉鎖中はセレア様の屋敷に居ても良いと言われたのですが…」
「私は構わないよ。リリアナがそうしたいなら」
「なら長らく滞在させていただきますね」
私とリリアナの会話を聞いていたのかメリーが姿を見せる。
メリーはリリアナが小さい頃から知っている。私が四歳の時に入ってきたメイドで器用だからかすぐメイド長の座にもつけた。
「お久しぶりです。メリーさん」
「お久しぶりです。リリアナ様、セレア様が何か迷惑をかけていないですか?」
「そうですね…しいて言うならセレア様がカッコよすぎて困るぐらいですかね」
「あらあら…惚気話ですか。私達従者一行はリリアナ様の恋を応援しております」
色々追いつけていないんだが、ひとまずメリーが私のお母さんみたいな立ち位置なのは分かった。
実の母と乳母とメリー…私ってお母さんが三人いるの?多すぎでしょ。
それになんだよ迷惑かけてないですかって!失礼な!屋敷ではグータラしてたり徹夜してたり飯食わなかったりしてるけど、学園では!外ではまじめだよ!
「屋敷内でのセレア様がどんななのか…気になりますよね?」
「あらメリーさん。私が求めているものが分かっているのですね」
「安心してください。私はセレア様が四歳の時から知っています。幼いセレア様の話や屋敷内での姿、少し恥ずかしい話や、あんな話まで話せますよ」
「メリーさん、いつ時間あいてますか。詳しく聞かせてください」
「いつでもいいですよ」
「ストップ!ストッープ!メリー!何の話をしようとしているのかな?それにリリアナまで乗り気だし…やめて!私の失態を話すな!」
手を握りながらニコニコしているリリアナとメリーに焦りながら止める。駄目だよ!私の失態をリリアナに話されたらカッコイイところ見せれなくなっちゃう!
埃まみれで結構ダサかったのに更にダサいところを晒されるのは無理だ。私の精神が持たん。
推しに失態を知られるのがどれほど辛いのか分からないでしょうね!
「セレア様…私はどんなセレア様も見たいのです、普段の姿とはどれほど違うのか可愛らしいセレア様も泣いてるセレア様も照れてるセレア様も…どうせ婚約するのですから隠さなくてもいいんですよ?」
そう放つリリアナはおなじみのヤンデレのような瞳に光の無い、相手の事だけを考える様な表情だった。
この状態のリリアナに何を言おうと無駄だ…推しには勝てないんだよ。
私はリリアナに手を繋がれ自室に戻ることになった。
持つかな…私の理性と精神…頑張れ私…。
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