第17話 接近するヒロインと悪役

 各自、混合実践授業の対策をしてから二週間がたった。


 そして私達は学園の敷地である、魔物が飛び交う森で話を聞いている。

 様々な声と言うか化物の声が聞こえてくるんですけど…いいんですか学園長。


 この混合実践授業、相手の攻撃を受けずに生き残るのが第一目標で蔓延っている魔物を討伐するのが第二目標。

 最終的には、最後まで生き残り魔物を討伐した数が多いチームが勝ちである。


 チームは生徒会の六人チーム、他も同じく六人チームを組んでいる。

 イエラのチームは攻略対象キャラ四人にリリアナ、イエラ。正直言ってイエラのチームが一番強い。


♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦


 私は生徒会の皆を集めて作戦会議をしていた。


「魔物討伐は問題なく出来るだろうけど、他のチームは私達を中心的に狙うと考えると…どうすっかな」

「一番怖いのは囲まれた時です。そうなれば魔法により壊滅でしょうね」

「なら分散しよう。夜はここで集まるとか考えればいいんじゃないか?」

「それなら、会計二人のチームと書記二人のチーム。会長と副会長のチーム。これなら生き残れるし戦力も分散できる」

「集まる場所はどうするんですかぁ?」

「特徴のあるところが一つあるんだ。この森の端っこにテントがある。そこで集合しよう」


 作戦会議は無事終わり、授業が始まった。

 私はリオンと周りを見ながら魔物討伐をしていた。


 攻撃を食らわずにとは言ったが、実は二回食らうことが許されてるんだよな、魔物に二回食らったら終わりだけど。


「そういや気になってたんだが、その武器は何だ?」

魔道具アーティファクトと言っていいのか危ういけど先人の血と涙の結晶、銃だよ」

「また珍しいもん作ってんな。それでその小さいモニター?は何だ」

「森にある監視カメラの映像が見れるミニモニター。生徒会室にあるでっかいやつのコンパクト版だよ」

「行動筒抜けって事か…怖いな」

「使える物は使わなくちゃね」


 本当はガラスとかの材料が余ったから作っただけなんですけどね。スマホとか作れないかなと思って頑張ってみたけど作れるわけもなく。

 疑似スマホは作れなくはないけど何のアプリもないただ映像を撮って記録する四角い板になりかねない。


 銃の弾丸を麻酔にしたのは良かったかもしれない、魔物がぐっすり眠ってくれて食料も確保しやすいし攻撃も食らわずに済む。


 それよりもモニターじゃリオンの後ろに誰かいるな。


「リオン!しゃがんで!」

「はぁっ⁉」


 驚きながらもしゃがんでくれたリオンの頭を掠る勢いで飛んでいく弾丸。弾丸が進んだ方向には敵が二人、複数の弾丸に二人当たる。

 ごめんね…これ麻酔銃なの。しかもアサルト。


「人が居たのか…」

「モニターで確認した。私達は夜までここで待機でもいいかも」

「何でだ?」

「実を言うとここは全方位監視カメラに囲まれているから敵影を確認しやすいんだよね」


 わざとではないが何でかここだけ監視カメラが固まっているんだよな。楽だからいいけど……ってカメラにリリアナが映ってるぅぅぅ⁉


 このカメラはここ付近…下手したら接敵する。リリアナに銃を撃つのは心が痛む…!


「リオン!隠れて!」

「何で⁉」

「いいから!」


 近場の低木や木の上で身を隠す。

 すると、リリアナのチーム及びイエラ達がさっきまで私達が居たところに来る。


「誰も居ないね…それにまだ明るいからいいけど暗くなったら怖いなぁ…」

「大丈夫だよイエラ。僕たちが居るし魔法で明るくだってできる」

「そ、そうだよね!ありがとう。ウキオン君!」


 いやいや…夜に明かりをつけるってマジかよ。そんなんもろバレでは?隠れる気無い奴やんけ。

 そんな事を思っていると正論を言う人が出てくる。


「夜に明かりって自分の位置をばらしているのと同等ではないですか。それに光魔法では暗視の魔法もあるのでしょう?それの方がいいでしょうに」

「リリアナ!何もそんなにいう事もないだろう?それにウキオンは魔法の天才だ。彼が言っているんだ問題ないだろう」

「しかもイエラはまだ光魔法を使いこなせてないんだ。暴走させる気か」


 魔法が使える人には魔力がある、そして魔力には上限がある。そんなのは当然だろう。

 ただ、上限を超えるほど使うと死に至るか、暴走する。

 暴走は不安定な魔法の使い方をするとなってしまう。


 ストーリーでもイエラが魔力暴走を起こす事件があった。それはリリアナが下手に刺激したせいだったが、魔力の管理は己でしろ、がこの世界だからかリリアナは何の処分もなかった。


 それにキレたアルベルトがリリアナと疎遠になる…ていうのがあったが、その前に疎遠になりそうなほど仲が悪いな。


「でも、リリアナさんの言う通りでもあるよね。確かに暗視の魔法を使えばよかったかも」

「イエラ!引き下がらなくてもいいんだぞ⁉」

「そんな心配しないで、私はリリアナさんの言ってることも正しいなって思っただけだから」


 周りはイエラの事を女神のようだというが私は自我が無い少女だと思う。自分の意思を他人に合わせる。又は内容の無い綺麗事を言う表は良い子ちゃんを演じる仮面の沢山ある嘘つきとか…転生者ならどっかでボロが出そうだけど…。


 まだ情報が足んないなぁ…。

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