第16話 近づいてくる混合授業

 リリアナの傍まで来るとリリアナはペンダントをつけていた。

 それ昨日贈ったやつですか?つけるの早くないですか。


「おはようリリアナ。少し隠れてもいいかい?」

「隠れる?どこにですか?」

「オリカさんに何か言ったのか?」

「何故わかった…」

「お前の後ろで走って来てるオリカさんとエルトンさんが居るから」


 嘘ッ⁉やばいやばい…叱られコースに入ってしまう。

 私は咄嗟にリリアナの後ろに隠れる。


「セレアさん!人を盾にするとは何事ですか⁉」

「リリアナちゃんはセレアちゃん派ですかぁ?」

「あまり意図が分からないんですけど…」

「私とエルトンさんを比較しましたよね?重罪ですよ」


 あっやっばい。囲まれた。

 リオンが察したように私をオリカさんに差し出し私はオリカさんに連れられて生徒会室で正座し叱られコースに入った。

 エルトンさん、人が叱られているのを楽しそうに見ないでください…。


♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦


 叱られが終わりへとへとになりながらも私は授業を受けていた。


「ルーベン王国に反対している派閥の事を反王国派と言われている。そして――」


 オリカさんが言っていた反王国派の事か…。私を反王国派に取り入れようとしているとか言ってたっけ、そこにイエラも関わっているとか何とか言ってたけど…今のイエラを見る感じそんなものに時間を割いていない。


 調査を入れてみるのも悪かないけど…バレない様に動く必要があるんだろうな。


「あ!そうだった!今度、全分野の混合実践授業があるからな。後、二週間だぞ!」


 ゴウレス先生が楽しそうに喋り出す。

 忘れてた…銃の制作は終わったけど弾丸どうしよう。


 私が採用したのはアサルトライフル。連射制度の高いものにした。

 魔法が使えるけど使いこなせない私にとって武器は魔道具アーティファクトだけ、対策されれば終わるため、護身用として銃を作った。


 趣味でサバゲをしてたから銃は打てるけど…弾は麻酔弾かな。さすがに実弾は死んでしまう。


 二週間後か。イエラの謹慎は解けてるしウキオンも同じだ。ストーリー通りに動くことになるだろう。


 そういや全分野って言っても魔術に進んでるの私だけなんだが…一人で戦うんですか?いや、本編じゃ、生徒会と振り分けられたチームがあったはず。


 運動をしなくなってから、体力も無くなったしまた運動しなくてはいけないんだが…したくないな。


 研究も室内で家に帰ってもゲームしかしない引き籠もりだった前世と同じように今の私も外には出るが半引き籠もり状態。運動なんて出来るわけもなく。


 噂を突き止める時は運動してたけどもうあれ以来してないんだよなぁ。どうすっかな。


 リオンに簡単な運動コースでも考えてもらおうかな。


「やめとこ。鬼畜なもんしか出てこなさそう」


♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦


 授業も終わり休み時間に入ったころ、攻略対象に囲まれているイエラを見つける。

 レオンも同じ取り巻きのように輪に入ってる。


 あの騒動の時、イエラへの想いが無くなったと思ってたがまた攻略されたのか。

 アルベルトとサイレス、アルテは私の事睨んでくるし。


「お、セレア!オリカさんに叱られたのか」

「何で嫌な事を公衆の前で言うのかね」

「会長も叱られるんだな…」


 おい王子、意外みたいな目でこっち見んな。


 リオンを睨むように見ていると令嬢の話し声が聞こえてくる。

 リリアナの声もするな。


「アルベルト様、リリアナ様を放っておいて平民にべったりですわね」

「リリアナ様は悔しくないんですの?」

「私は悔しくないですよ。そもそもアルベルト様は最初から私に興味などありませんから」


 近づいてくるリリアナとリリアナの友達の令嬢達。それに気づいたのか睨むようにリリアナを見る攻略対象達。

 いやいや、元はあんたらがリリアナに証拠の無い出来事で批判したのが原因でしょう?リリアナは何もしてないって。


「ご機嫌よう、アルベルト殿下。そしてイエラさんも」

「こんにちは!リリアナさん!」

「あぁ。それよりそのペンダント。誰に貰ったんだ?はっ、お前、まさか婚約者が居ながら他の男から貰ったのか」

「嫌ですね。このペンダントはセレア様から貰ったんです」


 その発言にその場にいた人が私を見る。説明を求めている目だな。リオンは知っているみたいだが…リリアナはドヤるのをやめなさい。


「護衛用の魔道具アーティファクトだよ。今度、混合実践授業があるしその護身用に、怪我してほしくないし」


 私が答えると周りはざわざわしだす。どうした?

 すると、周りの令嬢はこそこそと話し出す。


「王子が出来なかったことを自然とできる会長。流石よね」

「責任感もあるし、王子より王子っぽいわ」


 推しが怪我するところを見たくないだけなんですが…そんなハードル上げないでください。

 ただのオタクなんです。リリアナ最推しのオタクなんです。やめて、やめて…ハードル高くなってくる。

 そんなに期待しないで。


♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦


 何とかその後の感動のような期待のような視線を抜けて生徒会室で紅茶を飲む。


 やけに疲れたんですが…視線を怖いと思ったの久しぶりなんですが。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る