第12話 派閥に巻き込まれそう

 予想した通り私は今、生徒会室である三人に絡まれている。

 ある三人とはアルベルト、サイレス、アルテ。攻略対象達だ。


 何で私がこうも責め立てられているのかと言うとイエラを何で謹慎にしたんだという事だ。

 アルベルトさんよ…婚約者のリリアナの前でそれを言うのは愚かだぞ。

 リオンはイエラが何で謹慎なのか分かったようだし、国の将来が心配になるな。


「おい!イエラが何をしたっていうんだ!」

「そうだ!あれはウキオンの問題でイエラは何もしていない」

「会長。あなたの事はまともな人だと思っていたのに…残念です」


 君達言いたい放題だな…自分の方が地位が高いからって調子に乗るんじゃないぞ。

 こんな姿を見てあなた達の親御さんはどう思うんでしょうか。倒れると思いますよ。


「君達に何を言われようが興味ないしイエラの謹慎を解く事も無いから」

「ならイエラが謹慎になった理由だけ教えろ」

「もう少し態度を改めてほしいが頭パッパラパーの君達には出来ないだろうから教えてあげよう」


 私の放った言葉に三人は苛ついていたが素直に聞いてくれた。この世界で忍耐力が必要だと思わなかった。


「一番の要因はイエラの聖女発言だ。教会で真偽を確かめずに自分は聖女だと言い張るのは重罪。それに加えてウキオンに虚偽の情報を与えた」

「彼女は聖女だ!それにイエラが嘘を教えるはずがない」

「カメラの映像を見たところ。リリアナがイエラに何かを言ったという場面は無かった。それよりも婚約者を放って別の女性に現を抜かす王子には言われたくないな」


 何も言い返せないのかアルベルトは黙り込んだ。

 十三歳にしては考えが終わってんな…ゲームじゃ気にしてなかったけど色々バグってたんだな。


「ここでは君達には王子と言う立場も公爵も次期宰相の立場なんて無い。誰にモノを言ってるのか深く考えろ。婚約者を放っておくなんてただのゴミがすることだからな。浮気男に私は成績なんて与えたくない」


 私はそれだけ言い三人を生徒会室から追い出す。アルベルトはこれから立場をわきまえる事が出来たらいいんだけどな。

 リリアナに関心が無いなら私に譲ってください。


「まさか教会で聖女だと確認してないのに発言していたとは…それは確かに謹慎ですね。お兄様、そんな人に惚れているんですか?」

「ミスったかもしれん。自分には運がないと思っていたが…」

「女運も無いとなると笑えないね。可哀想だな」

「他人事だな…こっちは真剣なんだぞ」

「君と違って私は後継ぎを作る必要は無いので…弟子さえ取れればいいんだよ」


 我がアルセリア家は技術さえ引き継げれば良いという考えだった。婚約は女除けや男除けだったり本当に愛し合っていたりと色んな理由があるが最終的には技術が引き継がれていればいいんだ。


 血なんて関係ない。弟子でもいいなら私は弟子を取るな。


「男に興味が無いのもあるのかもしれない」

「しれっとエグイ発言をするな」

「可愛いが正義だよね…」

「私は可愛いですか?」

「可愛い」


 リオンにはこの会話が妹と姉の会話みたいなもんに見えるんだろうがここで可愛くないと言えば私は監禁されるんだろうな。

 オソロシヤー。


「あっそういえばこの後予定あるんだった」

「なんの予定ですか?」

「書記の一人であり友達のオリカさんとお茶会じゃないけどそんな感じだと思ってくれたら嬉しい」


 私が入学した時の一年生代表のオリカ・カートン。入学生の時から彼女とは何度も話しており今や親友と言えるほどの仲じゃないだろうか。


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 眼鏡をつけた赤髪ポニテの少女が庭園でお茶を飲んでいた。


「それでイノワさんからは何か情報が?」

「お兄様からは特に無いですが私から」

「え?何、怖いんだけど」

「単なる忠告ですよ。セレアさんは今まで様々な魔道具アーティファクトを作ってきたでしょう?それにより反王国派がセレアさんを取り入れようとしているんですよ」

「初めて聞いたんですけど反王国派っていうの」


 詳しく話を聞くと反王国派と言うのは王家に恨みを持っている人たちが王家を乗っ取るために作った組織らしい。

 そしてその反王国派にイエラが関わっているという話があるらしい。

 今は調査が出来ていないから噂程度だがそれが分かればイエラは死刑だろうな。


「毎回思うけどカートン家は一体どこからそんな情報を取ってくるんだ…」

「辺境伯を舐めないでください。それに元は商家ですよ。情報収集は当たり前です」


 イノワさんの時も思ったがカートン家は主君に絶対従う感じなんだな。働きすぎよ。


 アルセリア家はカートン家に生産した魔道具アーティファクトを売ってもらっている。もちろん監視カメラとか現在作成中の銃とかではなくだ。

 簡単に量産できるものしか売ってないからな。需要があるから金にはなる。


 売って獲得した収入の半分をこちらに渡してもらっている。最初は七割を貰うという話になっていたが別の条件をつけ足して半分になった。

 そしてその条件が情報収集だ。元商家だからか情報網は広い。


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 噂の話の次は勉強を教えあった。首席とはいえど分からないものは分からんのですよ。

 オリカさんは勉強の教え方が上手いからお世話になっている。そこは兄譲りなんだろうな。


 そういや予定があるっていった時、リリアナが一瞬暗い顔してたな…浮気じゃないから。リリアナはとても嫉妬しやすいんでしょうか。

 明日ちょっとしたプレゼントでもあげようかな。

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