第3話 脇役のスペック高すぎ

 二週間、書庫に引き籠もり勉強し続けやっと学園に行くことになった。

 受験生と何ら変わりない勉強量だったなあれは。


 私は死なない事を祈りながらも鏡を通り抜けると学園内の花壇付近に出た。


 確かに鏡はあっても不自然ではないかもだけど!置き場所考えろ!


 私は草をかき分けながら学園を囲っている柵を上り外に出て門付近へと歩くと様々な学生が中に入っていく。

 私も続いて学園内(既に入っていたけど)へ入ろうととすると、聞き覚えのある声が私の足を止める。


「セレア!」

「リオンか!どう?勉強はした?」

「したけど自信ないな。副会長なれるかな」

「頑張れよぉ?」


 揶揄いながらもリオンと話しながら学園に入り入学生徒が集う場所に集まる。


 ストーリー前の学園ってこんな感じなんだな。ゲームじゃただの背景だったしキャラを見立てるためにぼやけてたのもあってこんな広いとは思わなかった。


 並べられてる椅子に座ると目の前で学園長が出てくる。


 これ私、最後だったってことですか?すみませんゲームじゃ見れない背景に興奮してたんです。


「わしは学園長のソルト・オーエル。我がオーエル学園に入学してくれた事を嬉しく思う。ここは勉学を磨き、時には熱い友情を創り、そして甘酸っぱい想いをする場所でもある。自分の思う学園生活を楽しんでいただきたい」


 有り難い学園長の言葉通りに私は思うままにこの学園生活を楽しもう。リリアナが来たらリリアナ愛好家部でも造ろうかな。

 いや陰ながら応援するのがいいかもな。


「一年生代表。オリカ・カートン」

「はい!」


 ストーリーじゃ一年生代表は第一王子だったな。

 オリカさん。カートン家は辺境伯だったか。代表になるんだ頭もいいんだろうな。


 一年生代表がこの学園での意気込みや想いを喋り一礼して席に戻る。


「一年生はクラスを確認して教室に向かうように」


 学園長がそう言うと私達一年生は席を立ちクラスを確認しに行く。


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 掲示板に大きく貼られた紙にはクラスが書いてあった。


 私は一年三組か。リオンは四組。成績とかは関係なさそうだけど…会長になるためには成績はトップクラスを維持しないとな。


「セレアさん。少しいいですか?」

「え?はい」


 成績維持を考えていると学園長が私に声をかけてくる。


 すごい目立ってるんですが…他の呼び出し方なかったんですか?ねえ。

 学園長についていくと生徒会室に連れてこられた。叱られる感じ?


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 目の前にはこの学園の生徒会長らしき人と学園長、ムキムキな先生が座っていた。


 これガチ目に叱られる奴だ!何かしましたっけ?鏡ですか?あれがいけなかったんですか⁉


「叱るわけではないから安心せい。今日は君に話があって来てもらったんじゃ」

「半強制的な感じがしたんですけど…」

「まぁまぁ。本題に入ろう。君はあの鏡を一人で作ったのかね?」

「えぇ。そうですね。手伝える人もいませんし」


 そう答えると驚く生徒会長らしき人とムキムキ先生。

 そんなに驚くことか?四十分しかかけてないけど。


「あの鏡を王宮で働いている魔術師に見せたんだが、再現することは不可能だと言われたんじゃ」

「え⁉そんな大層なものじゃないですよ…」

「君の実力は君が思っている以上に素晴らしいんだ。だからこそ、この学園をより良いものにしてくれると踏んでいる」


 学園長はその後べらべらと喋り始めた。前世でいう校長の長すぎる話だなこれは。

 生徒会長らしき人が学園長を止め要約してくれる。


「あーなんだ。要は会長をやらないか?という事だ」

「やれるならありがたいんですが…成績とか大丈夫ですか」

「何問題ない!君の成績はトップクラスだ!気にする必要はないぞぉ!」


 ムキムキな先生が大きな声で称賛する。こんな先生いたかな…ストーリーじゃ無かったよこんなの。


成績トップクラス?マジで?私ってそんな素晴らしい頭持ってたのかよ。ていうかセレアって本当に脇役か⁉スペック高すぎんだろおい。いや自分に脇役っていうのもなんだけどさ!


「会長の座をペーペーに渡していいんですか?一年生ですよ」

「現会長の私が君にあげたいんだ。副会長や他の書記や会計とも話してるから安心しろ」


 生徒会長あなただったんだ。らしきとか言ってごめんなさい。いや分かんないよだってゲームじゃ生徒会長はバッチつけたから、あなたついてないじゃん!

 他の人たちも私に会長渡すの了承したんすか?嘘だろおい。


「副会長も今回渡すことにしたんだ」

「え?誰ですか?」

「リオン・セントラ。彼は次期騎士団長候補でもあり成績も悪くない。それに君の親友とも聞いたんだ、相性はいいだろう」


 リオンが副会長か。まさか入学当日に学園での目標を一つ達成するとは思わなかった。もらえるなら貰わなくちゃね。


 話を深く聞いたところ会長の名前はイノワ・カートン。一年生代表のオリカさんのお兄さんらしい。副会長はウルト・ミミルア。伯爵家のご令嬢とのこと。


 そして補佐と言う形でイノワさんとウルトさんは書記になるらしい。会計は引き続き今の人たちが行うそうだ。


 こうも早く会長になるという目標が達成されると何をすればいいか逆に困るな…。


 リリアナが来るまでこの学園を魔道具アーティファクトだらけに改造しておこう。

 ヒロインもどう動くか分からないし。私も転生してんだ、下手したらヒロインも転生者の可能性がある。


 よーし、推しの為にオタク頑張るぞー!

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