第70話

「なる程。そういう感じなのか」


 各種ダンジョンモードへの疑問は意外にも早く解消された。ダンジョンに関する疑問や質問に関してはQ&A形式でアプリのヘルプ欄に記載されていたのだ。


・RPGダンジョン


 マップが固定されたダンジョンに挑むモードよ。継続は力となるわ。目指せダンジョン制覇!ちなみに初心者にも攻略しやすいように難易度も選べるようにしておいたわ。感謝しなさい。


・派遣ダンジョン


 …育てたお助けモンスターでダンジョンを攻略できるモード。…ここでしか手に入らない激レアアイテムとかもあるかもしれない。…私に見せて欲しい。…絆の力というやつを。


・ランダムダンジョン


 命を惜しまないクレイジーなプレイヤー向けのモードだ!転移先のダンジョンも階層も場所も完全ランダム!!最高の刺激を得られるとは思うが…正直私はオススメしないな。例えば転移先がマグマの中とかだとどうする?その瞬間にあなたはゲームオーバだ。…それでも行くのか?…いいだろう!あなたに龍の加護がある事を祈ってるぞ!!


「いいねいいね~!!」


(完全ランダムだぁ?おいおいなんだよこの最高に楽しそうなモードはよぉ?これはもう行くしかねえだろ!?)


 刺激的なイベントに大助の心が燃え上がる。


「よし行こう!今すぐ行こう!!」


 大助が猛スピードでダンジョンに行く準備を始める。ポーションや解毒薬などのストックを確認し倉庫へと補充していく。


「…これも一応飲んでおくか」


 大助が懐からとっておきのポーションを取り出し、ごくごくと飲み始める。


(ハイパーポーション。こいつの効果が本物かどうか、試してやろうじゃねえか)


 ハイパーポーション。これは大助が密かに依頼し開発を進めていたアイテムの試作品だ。名前が現す通りこのポーションはスーパーポーションの上位版とも言える性能をしている。スーパーポーションでは肉体の欠損までは治せないが、こちらは欠損を含めて継続的に回復が可能だ。


「んんんんっ!?この何とも言えない苦みとフルーティーな味が俺を狂わすんだよなぁああ!?」

 

(効果時間が1分だけってのが課題だが、それでも十分過ぎる効果だ)


「準備完了!後は行くだけだが……」


 大助が少しだけ悩む。


(まあ1言だけ言っておくか)

 

 アプリの発信機能を使い、大助がお助けモンスター全員にメッセージを送る。


<ちょっとランダムダンジョンに行ってくる☆>


「これでよし!さあ行くぜ!!」


 アプリからランダムダンジョンモードを選択しタップする。すると警告画面と共に音声が流れる。


「警告。このモードは大変危険です。命を失う可能性もありますがよろしいですか?」


「…親切にどうも。答えはYesだ!」


 大助は迷わずYesを選択する。


「了解しました。…幸運を」


「おお!?おおおおおおおおおおおお!?」


 大助の体がスマートフォンへと吸い込まれていく。不思議な感覚を味わいながら、金本大助は何処か分からない世界へと転送された。

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