第17話:はじめにぎやか終わりよし。

完全に由香里にいかれてしまった新左衛門。

とうとう我慢できすに由香里に自分の思いを告った。


「それがし何もござらぬが由香里殿をお慕い申す気持ちだけは

誰にも負けませぬ」


「まあ、他にライバルいないしね・・・」


「由香里殿にしんぜる物はそれがしの命であるこの刀しかござらん」

「ぜひともこの刀、我が命と思し召して御受け取り願いたい」


「それ本物でしょ?・・・銃刀法違反で捕まっちゃうよ」


「それに大袈裟・・・要するに私に彼女になってくれって言ってるん

でしょ? 」


「御意」


「ん〜気持ちは嬉しいし、新ちゃんイケメンだから、まあ申し分は

ないんだけど・・・でも新ちゃん、こっちじゃぷ〜太郎でしょ」

「働くにも働けないじゃない?」


「いっぱしのお侍さんが毎日プラプラしてるってのはね〜」

「主夫してもいいけど・・・」

「ちょんまげにエプロンて、まあ斬新かもね」


「働くとは?・・・金銭的なことを行っておるのでござるか由香里殿」

「それなら心配ござらん」

「それがしいつでも向こうの時代に帰れますゆえ、しかもまだ向こう

では城づとめ・・・給金ももらっておるゆえ心配ござらん 」


「そうなんだ・・・あ〜なるほどぉ、通い彼氏ってことね」


ふたりの模様をキッチンテーブルの椅子に座って聞いてた俺と胡桃ちゃん。


「姉ちゃん・・・いい機会じゃん、望まれてるうちが花だぜ」

「イエスって言ってあげなよ・・・お侍の彼氏なんてレアだと思うけど」


なわけで、姉ちゃんは新左衛門さんと付き合うことになった。

で姉ちゃんは彼に連れられて昔の時代にタイムスリップなんかしたりして

楽しんでいた。


「幸太郎、姉ちゃん忙しくなっちゃったし普段だって胡桃ちゃんの面倒

見てるんだから、あんた大学が休みの日くらい胡桃ちゃん連れて買い物に

でも行ってくれば?」


「これからのこともあるし、胡桃ちゃんの服とか下着とかいるでしょ?」


「え?何? 下着って?・・・着物なんだら下着なんか履かないだろ?」


「まあいいけど・・・でもあの着物だっていつまでも着てはいられない

でしょ?」

「いつかクリーニングに出さなきゃいけないし・・・だから服だけでも

買っておいてあげないと・・・」


なことを姉ちゃんが言うもんだから、俺は休みの日胡桃ちゃんを連れて

買い物に出た。


「あのさ、買い物に出る時は頼むからウィグにしてくれない?」

「カツラに着物は行半だから」


「分かった・・・買い物って?・・・なんじゃ?」


「え?前に姉ちゃんと大型スーパー行っただろ?」


「おう・・・あれか? うん苦しゅうない」


「今日は胡桃ちゃんの普段着を買いにいくんだよ」


「幸太郎の服とやらがあるではないか?」


「だから、女の子が普段着る服を買いに行くの、分かった?」


けど姉ちゃんが言ってたみたいに下着なんかいるのか?

俺は知らねえぞ・・・女子の下着なんか買えるわけないし着物だし、

いいんじゃねのノーパンで。


ってことで俺は胡桃ちゃんを連れて大型スーパーへ買いものに。


「おお〜またまた大型スーパーじゃのう、幸太郎」


「田舎もんみたいにキョロキョロしない」


でもって早速レディースコーナーへ。


マネキンって言うのか? 可愛い人形が可愛い服を着てるじゃないか?

胡桃ちゃんに着せたらさぞかし可愛いだろうな・・・。


でも値段を見てビビる俺。

女の子の服って、めちゃ高い。


「胡桃ちゃん、他の店に行こう」


「わらわは、あれがよい」


そう言って胡桃ちゃんは指差した。


「え?・・・あれがよいって・・・」

「これか?・・・」


見たらめっちゃ値段高いし・・・値札に20%オフって書いてあるけど

上下セットで80,000円の値札がついていた。


「胡桃ちゃん他探そうか?」


「いやじゃ、わらわはこれがいいのじゃ、幸太郎、買ってたも」


「困ったたもよ・・・」

「もうちょっと安い服にしてくれよ・・・高すぎるよ」


どうしてもその服がいいって駄々をこねる胡桃姫。


しかたなく預金おろして買ってやった。

連れて来るんじゃなかった。


でさ、せっかく買った服なんだけど、家に帰るとやっぱり着物が

いいって買ったまま着ないじゃないかよ。


ウィグもイヤじゃっていい出してカツラ被るし結局胡桃ちゃんは

お姫様に戻った。


「これがわらわなのじゃ・・・わらわの正装でわらわの証じゃ

庶民と・・・」


「庶民と差別化したいんだろ?・・・はいはい好きにすればいいよ」


「そうじゃ、新左衛門が向こうに時々帰っておるようじゃから

わらわも幸太郎をお父様とお母様に紹介せねばの」


「うえっ、まじで? 胡桃ちゃんの両親に会ったらりしたらどこの

馬の骨かも分かんない俺なんか、絶対打ち首だって・・・」


「そのようなことわらわがさせん」


「あ〜強いんだもんな・・・なんせ吉田の馬場の百人斬りだし」


「それを言うな・・・叩き切るぞ幸太郎」


「え〜俺は胡桃ちゃんの両親に会うまえに彼女に手打ちにされるのか?」


「可愛さ余って憎さが百倍って言うであろう?」


「それは男の俺のセリフだよ」


とりあえず遠い過去から時空を超えてやって来たお姫様は、この時代で

これからも幸太郎と言う彼氏と平和に過ごしていくことになるだろう。


幸太郎は近所の人から


「可愛いお姫様、元気〜?」って言われてまんざらでもなかった。


これにてワンクール終了ってところでしょうか。

ではまたの機会に。


おっしまい。

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お姫様せるふぃっしゅ。 猫野 尻尾 @amanotenshi

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