第5話:幸太郎の姉ちゃん。
次の日の朝早く、姉ちゃんが始発で一時間かけて俺んちにやってきた。
胡桃ちゃんをソファーや床に寝かせるわけにもいかないから、昨夜は当然、
俺のベッドで俺と一緒に寝かせた。
嫌がりもしなかったし、なんせ俺の彼女だからね・・・言っとくけどやらしい
ことはしてないよ。
カツラをとった胡桃ちゃんはまじで一休さんみたいだった。
まん丸い可愛い頭。
頭を持ってワシャワシャしたかった。
眠ってる胡桃ちゃんを見てるとなんだか恐れ多くて思わず手を合わせてしまった。
朝早くに来た姉ちゃんは俺の寝室までやてきて大きな声で怒鳴った。
「お〜い、幸太郎、来たよ・・・まだ寝てんのか?」
「おっきろよ〜」
姉ちゃんのでかい声で俺と胡桃ちゃんは目が覚めた。
「誰じゃ・・朝からわらわの眠りを妨げるのは?」
「市中引き回しの上、打ち首にいたすぞ!!」
「姉ちゃんだよ」
「姉ちゃん・・・説明したとおり・・・この子が胡桃姫」
「まじで、いるんだね・・・タイムスリップなんて信じ難いけど・・」
「ほんとに、あんたの作り話じゃないんでしょうね」
「んなことするわけないだろ・・・姫が普通のギャルだったら家に泊めたり
しないし自分の家に帰すだろ?・・・姉ちゃんに報告したりもしないだろ?」
「幸太郎・・・誰じゃ?このおなごは?」
「俺の姉ちゃん・・・
「おお、幸太郎の姉上か・・・」
「よろしくね、お姫様」
「ところでお姫様なのに、なんで頭がツルツルなの?」
「普通、昔のお姫様って豪華な髪結ってるのが定番でしょ?」
「あ〜・・・胡桃ちゃんは普段はカツラ被ってるんだよ」
そう言われたので胡桃姫は姉ちゃんにカツラを被って見せた。
「由香里・・・これでどうじゃ?」
「あ〜なるほど・・・お姫様だ・・・合理的」
「お姫様、今日は幸太郎が大学から帰って来るまで私と一緒に過ごしましょ 」
「大学とはなんじゃ?」
「勉強しにいくところ・・・」
「まあ、大学なんて言ったってただ通ってるだけみたいだけどさ」
「バカなことを言うんじゃない、真面目に行ってるよ」
で、朝食まで姉ちゃんが作ってくれて胡桃ちゃんは大満足そうだった。
「由香里は料理が上手いな・・・今日からわらわ専属の料理係じゃ」
「由香里がいたら幸太郎はいらんな・・・」
「おいおい・・・」
「言ってみただけじゃ・・・なんせわらわと幸太郎は愛のない彼氏、彼女の
関係ゆえのう」
「愛のないってなんだよ、少なくとも俺は胡桃ちゃんに惚れてるんだからな」
「なに?・・・あんたらもうそんな関係?」
「昨日会ったばかりでしょうが?」
「幸太郎・・・お姫様がなにも知らないと思って自分のいいようび持ってって
いってない?」
「だってよ・・本人が苦しゅうない、良きにはからえって言うから」
「そうじゃ、苦しゅうないのじゃ」
「そう、じゃあいいわ」
「お姫様がそれでいいなら、私は口出しすることじゃないわね」
「由香里は美人じゃのう・・・わらわには負けるが・・・あはは」
「はいはい・・ありがとう・・・なんかさ、ずけずけモノ言うね、この子」
「なんせ、お姫様だから・・・悪気はないと思うけど・・・」
ってことで俺は胡桃ちゃんを姉ちゃんに任せて原チャに乗って大学へ行った。
つづく。
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