第17話 デート
背、高くなったなぁ。
右に歩く颯をチラ見しながら思う。
「颯はどこ行きたい??」
「うーん、どこでもいいかな。」
「どこでもいいは1番女子に嫌われるよ」
「えっ。いやいちいちうるさいんだよ。」
いや今ちょっと驚いてたじゃん。
可愛いなぁ。
ここらでちょっと聞いとくか。
「颯は兄弟いるの??」
「居ねーよ!この前家に来て見ただろ?」
そっかぁーやっぱり私の存在は消されてるのか。
「一人っ子は楽しい??」
「うーん別に?母親うざいし。」
あぁ、母親ね。君の母親本当に難ありだよね。多分颯には変わらず甘々なんだろう。
そりゃウザがられるわ。
私には無関心だったのに。
死に際にだってろくに来ず、喪主も嫌がってたもんね。
酷い嫌われぶりだよ。
「あ、ひとつ聞きたいことあるんだよね。」
「何?」
颯から話を切り出すだなんて珍しい。
「これ。見て。」
颯がポケットから取り出したのは1枚の写真。
そこには私と颯が笑顔でうつっていた。
「これ、桜に似てない?」
もしかして、颯は勘づいてる?
やばい。どうしたらいいんだろう。
別にバレたっていい。その方がこの微妙な距離感は無くなってもっと颯に触れられるはず。
だけど、だけど甘えちゃダメだ。
成仏しなければ。
「似てる?私は全然知らないけどね、この子。」
「そっかぁ。残念。」
ごめんね、颯。ほんとのこと、言えなくて。
「そういう桜はどうなんだ?兄弟いるの?」
「弟がいるなぁ。もう中二かな?ちょっとひねくれてるけど良い奴だよ。」
君のことだけどね。
「へぇ。弟いたんだ。しかも僕と同じ年齢じゃん。初耳。」
私たちは服屋や百均、ゲームセンターとか沢山回って疲れた挙句昼ごはんのためにカフェへ入った。
「お腹、空いてる?桜。」
空いてる、いやバカ空いてる。
けどあんまお金使うとこの体の所有者が怒るからなぁ。
「あんまり空いてないかな?颯は気にせず沢山食べな。」
私はコーヒーを、颯はランチセットとオレンジジュースを頼んだ。
「美味そう!」
颯はセットのピザをまじまじと見つめ可愛い顔でこっちを見てくる。
「よ、良かったね。」
こういうのは彼女がいたら1口あーん、してあげるんだぞ??
朱織さんは優しいから大丈夫だと思うけど。
苦いコーヒーを口に運びながらそんなことを思う。
何年後かこうやって弟の隣に座るのは誰なんだろうな。
朱織さんかな?いい人見つけてよ?
颯がセットを食べ終わり、店を出た。
「奢ってくれて、ありがとう。」
「いいわよ。私年上だしね。出すのは当然よ。」
ちなみにさっきのお金、遼のやつだけどね。
バレないうちに成仏したいなぁ。はは。
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今日は2話投稿します!
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