第7話 お久しぶり
遼のこともあって、僕は少し落ち込みながら家へ帰った。
家の鍵を開けようと、右ポケットに手を突っ込む。
「あれっ??鍵がない。」
どこかに落としたのかな。
それだとかなりやばい!てか母親に怒られる。
とにかく来た道を探さないと...。
僕は鍵を探すため、後ろへ方向転換した。
すると、目の前に見たことのある顔があった。
「もしかしてこれをお探し?」
ニヤリとした顔で聞いてきたのはこの前再会したアイツ。
彼女がもっていたのは、僕の鍵だった。
「そうだけど、なんで君が持ってるんだ!?」
今日限って...。
結局あの日気まずく終わったんだよなぁ。
ほんとに今日はついてない。
絶対星座占いとか、最下位だろ。
それも対人関係に注意、みたいな内容だろ。
どうせ。
「たまたまだよ。さっき君の家の目の前を通ったら、見たことある鍵が落ちてたから。私も君の家に行こうと思ってたから、ちょうどいいなと思って。」
「鍵のことはありがとう。でもなんで俺の家に行く必要があるんだ?」
「この前のお礼とお詫びしにきた!君の好きなアイスも買ってきたよ。さぁさぁ家入ろ!」
「いや、家入ろ!ってここ僕の家なんだけど。」
無理矢理だったが、僕はしょうがないからあいつを家に入れた。
「はいどうぞ」
あいつは僕にパピコの片割れをくれた。
「ありがとう」
「この前は失礼なこと言ってごめん。反省してる。」
彼女から謝るだなんて、想定外だった。
「...良いよ。僕も言い過ぎたし。それよりさ、ずっと気になったこと聞いていい?」
「なに?」
「君何者なの?名前そういや知らなかったなと思って。」
「あー、私の名前?桜だよ。」
「苗字は?大学はどこ?」
「あーそれは秘密!家トツられたら困るし。」
「いや、トツらねーし!それはそっちだろ?」
笑う彼女。
全然タイプじゃ無いけど、よくみたら可愛い。
高校生か大学生?くらいの年齢で、茶髪ポニーテール。
黒のワンピースがよく似合っている。
弟とよく喧嘩してそう、まぁ弟がいるのかは知らないけど。
でも色々謎なんだよなぁ。
「じゃあ電話番号だけ教えて」
「んー。どーしよっかな?教えて欲しいの?」
「うん」
「仕方ないな。○○○-□□□□-△ ▼ △ ▼だよ」
「了解」
「まぁなんかあったら連絡しな?いつでもいくから。」
「わかった」
「あ、もう五時じゃん!帰るわ!!また来るから〜!」
いや、来なくていい、、言いかけたけど、言っても来そうだから、
「親がいない時に来て。家の前の車がなかったら来ていいから。」
と返した。
「わかった〜!!お邪魔しました〜!」
彼女は来たばかりだったのにすぐに帰ってしまった。
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「いただきます。」
今日の晩御飯はハンバーグ。
僕の大好物である。美味しいものって輝いて見えるよな。なんでだろ。
「颯さ、最近いい事でもあった?笑顔が増えたよね。友達でも出来たの?」
母親は嬉しそうに話す。元々僕が家に友人を連れてきたことがないから、友人が一人もいないと思っているのだろう。1人くらいいるのに。
「友達増えた。」
友達出来た、とは言わない。今まで0だったみたいなイメージになるから。
「そう。良かったわね!同じクラスの子?」
「うん。」
「名前は?性別は?」
別になんだっていいだろ、と思ったけどめんどくさいので答えておく。
「向埜朱織さんと松野遼と藍田将と桜。」
「藍田くんは去年も同じクラスだったあの子?」
「話したことあったっけ」
「いや、授業参観で会ったのよ。」
「ふーん。」
「そ、その桜っていう子の苗字は?同じクラスなのよね?」
「あ、いや。桜はたまたま河川敷で再会して仲良くなった。昔よく会ってたんだけど、苗字は頑なに教えてくれないんだよね。」
「そう。年齢は?」
やけに沢山聞いてくるな。めんどくせぇ。
「20くらい?高校生か大学生って感じ?」
「…っ!まさかね。でもやめておきなさい。これからは関わらないように。」
「は?急になんだよ。別に関わったっていいだろ?僕の自由だろ?」
「そうなんだけど、何かあったらあれでしょ?」
こいつ何をそんな気にしてるんだよ。
過保護だな。理由がもう支離滅裂なんだよ。
年上ってだけでなんで会っちゃいけないんだよ。
「桜はただの友達。これからも会うから。
じゃ。ご馳走様。僕自分の部屋行くから。」
友達と関わるななんて言われると思わなかった。あーイライラする。
僕はさっさとその場を立ち去った。
自分の部屋に勢いできたもののとくにすることもないからベッドに寝そべった。
んー。
最近色々ありすぎてちょっと疲れた。
新しい友達が4人もできて。
向埜さんのことは好きになって。
遼と協力してだんだんいい感じ?になってきてるけど遼に怪我させちゃったし。
もう許してくれないかもしれないし。
藍田はなんか優しくなってた。
去年は同じクラスってだけだったのに、今日話しかけてくれた。
桜は未だ謎が多い。
なんか親近感あるけど、不思議な感じがする。
母親ともなんかあるのかもしれない。
あーもう!よくわかんないや。
頭の中がぐるぐるになる中僕はいつの間にか寝落ちしていた。
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作者のひとりごと。
はたして桜と母親の関係は!?って感じですね。
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