第5話 一目惚れ②&閑話 藍田の日常
昨日の作戦により、早速遼は朱織さんに聞いてくれた。
彼によると、朱織さんは、僕と同じ図書委員になるつもりだそうだ。
ちなみにこの学校で委員会は、各クラス2人ずつ。
女子1人、男子も1人だ。
あまり図書委員会で立候補する男子は見たことがないが、いないとも言い切れない。
もしかしたら物凄い本好きがいるかもいれない。
だが、僕はどうしてもならなければいけないだ。これほど委員会に入りたいと思ったことはない。
ここでならないと僕の恋の発展する確率が、著しく低下する。
そして何より遼の頑張りが水の泡になる。
それだと、困るのだ。
なんとしてでもならなければ。
運命の学活。
そしてその時はきた。
「じゃ、次は図書委員だな。なりたい奴はいるか?」
僕は迷わず挙手。
そして朱織さんも挙手。
「他に手を挙げた者は、、、いない!よしっ。
じゃ、決定でいいなー!矢倉と、向埜っと。じゃあ、よろしくお願いしますでみんな拍手。」
教室中に拍手の音が響き渡る。
僕と朱織さんに向けられた拍手。
そう思うと、なんだかとても照れ臭くなってしまった。
遼はうつ伏せで寝ながら、親指を立てて祝福してくれた。
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その日の放課後には、早速委員会活動があった。
今回は、各クラスで一枚ポスターを作る、という内容だった。
2人でポスター制作中に僕は、思い切って朱織さんに、話しかけた。
「この前、言ってた本、探したら、家にあったんだ!」
この前の本とは、朱織さんが、休み時間に読んでいた本のことだ。題名は、葉桜の季節にもう一度。
今読んでるとこまでのあらすじを話すと、主人公の碧はある夏休みに神社で湊と名乗る男と出会い、数日間2人で過ごすというもの。
見どころは湊が何者なのか、そして碧に会いに来た目的は何なのか、という感じである。
「えっ!あったの!?読んだ?」
「今、読んでる途中なんだ。三分のニくらいかな」
「じゃあ、碧(あおい)に湊(みなと)の正体がお兄ちゃんってバレたとこらへんかな?」
「え、兄!!?」
確か碧が湊の手紙を発見して、関係性が解明されそうなところまで読んでいた。
まさかのお兄ちゃんなの!?
予想外の展開をネタバレされた。
びっくりだけど、悲しませたくないし……
どうしたらいいんだ?
迷って言葉が出ない僕を見て朱織さんは察した。
「もしかして、そのシーンまだよんでない?」
「う、うん。」
「ごめん‼︎ネタバレだ!」
彼女はとても申しわけなさそうにしている。
だが、それがまた超可愛い。
この顔が見れたのも、話しかけてみたからだ。
少し自信がついた気がする。明日もたくさん話したい。
とりあえず今日は葉桜の季節にもう一度。を読み切って、明日は朱織さんに感想を言おう!
いつも殺風景だった僕の頭は、一気に楽しみでいっぱいになったのだった。
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閑話 藍田の日常
俺は2年3組1番藍田将(あいだしょう)だ。
趣味は人間観察。最近俺の周りの人間関係が複雑なので聞いてくれ。
複雑なのは矢倉、松野、向埜だ。
これが完全に三角関係なのだ。
矢倉は去年も同じクラスだった。静かで読書が好きで、少し話しかけづらい。だが、多分根は優しい。
松野に関してはもうよく分からない。
去年たしか隣のクラスで、影が薄い、暗い、人に興味が無いって感じの雰囲気だった。
だが今年になってから急に性格が変わって、正直怖い。なんで別人みたいに変わってしまったんだろう。二重人格みたいなやつ?
向埜は小学生からの幼なじみ?(親友)だ。
とりあえず可愛い。優しい。最高。
実は前までは好きだった。
今は俺に彼女がいるからなんとも思わないけど、やっぱりあいつが誰かから好かれていると気になってしまう。あ、そうそう。彼女は多分松野に惹かれている。
暇だしノートに相関図でも書こう。
矢倉から向埜に→♡
向埜から松野に→♡
松野から矢倉に→親友
うん。三角関係。ややこし。
どうなるのが1番いいんだろうな...
振り返って3人を見つめる。
これからどうなるかなぁ...
恋愛は第三者がいちばん楽しいと気づく今日この頃であった。
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作者のひとりごと。
調子に乗って1日2話も投稿してしまいました笑
時々閑話入るのでお楽しみに。
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