明日へ向かう船
客船はきょうとあしたの狭間の国に差し掛かった。輝く顔の案内人が通路をめぐり歩いている。
「まもなくの到着です。お忘れものはございませんか。忘れてしまいたいことはございませんか」
案内人は順繰りに手を挙げた乗客のもとを訪ねた。私も星を閉じ込めた半球をひとつ受け取り、鞄の隅に大切に収めた。
「それでは皆様、わたくしはこれにて失礼いたします。良い旅を」
御用聞きを終え優雅に一礼すると、輝く顔の案内人は空飛ぶ客船の縁からひらりと身を翻す。その姿は瞬く間に暗い雲海の底へと消えて見えなくなった。
客船はもうじきに輝けるあしたへとたどり着くだろう。
ああ、夜が明ける。
雲の水平線に、光が射す。
(お題:朝)
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