第13話

「まだー、食べてんの?」

 と、るんるんで加納が来た。

「加納こそ早すぎなんじゃない?」

「えっいつも通りだよ」

 周りを軽く見ると、食べ終わってる人もちらほらいる。私たちは特に昼休みにやることも日課もないが、加納は好きな人がいる。そのため、早く食べて昼休みに外で遊ぶその人を見るのが日課だ。

「なんの話してたの?」

「んまぁー、将来について」

 とあんりが話した。

「真面目だねぇー。今日、進路学習があるから?」

「うーーーん、たぶんそう。感化されてる」

 私はあんりと加納が話してるのを見ている。

「めぐちゃんはどうするの?」

 あんりが加納に聞いた。

「家はお金がないから、公立じゃないと無理ぽい。今のところ地方の国公立を目指して、スベリ止めはどこかしらの公立が受かればいいかなぁーと」

「そうなんだ。学科は?」

「ある程度の学部は決めたよ。でも、学科って思ったよりありすぎて悩み中。公立って決まってるから受かりそうな範囲内で決めるしかないかなーってところ」

 私は話を聞きながらお弁当のおかずを食べる。

「そういえばさ、今日のドラマ観る?」

 あんりがドラマの話を振った。

「観るよーー」

 と加納。

「私はアプリかなー」

 とやっと話に入れそうと思い、答えた。ドラマの話は続き、話ながらお弁当を食べ終わる。残りの休み時間は加納とあんりとグランドを眺めて過ごし、私とあんりはドラマの話や推しの話をしていたが、加納は半分くらい話を聞いていなかった。そして、予鈴がなり、5時間目の用意をするため席に戻った。 

 自分の席に座るが、友人が進路を着実に進めていることを思い出した。私は何も決めていないことと6時間目が始まることが言葉にできないが嫌すぎる。

 5時間目の授業中ずっとモヤモヤを感じながら過ごした。何故か、あんりや加納を横目で数回見てしまった。そして、集中せずに5時間目が終わってしまった。

 6時間目が始まる前にトイレに行く。特に誰も誘わずになんとなく1人で行った。

 手を洗っていると後から同じクラスの荒川みゆがやってきた。

「おっつー」

 とお互いに言うが、特に話すこともないのでそのまま教室に戻ろうと思ったらみゆから

「次の授業、めんどくさくない?」

 と話しかけてきた。

「えっなんで?」

 私は、水をはらうため手を振りながら聞いた。

「私、大学に行かないから」

 私のクラスは大学を目指してる人が多い。

「でも、東京に行きたいんだよね」

 えっ、東京?と心の中で驚いたが、顔に出さずハンカチで手を拭く。

「東京でファンション関係の仕事したくてさ」

 それを聞いて、私はなんだか少し残念な気分になった。みゆも手を洗い終え、そのまま一緒に教室へ向かう。

「すごいじゃん。東京でファンションとか」

 自然に肯定することができた。

「メイクとかも好きだし、服も好きだからファンション関係の仕事がしたいの。周りには大学に行けとめっちゃ言わるけど、どうでもいい」

 まっすぐだなぁーと思った。

「じゃあ、そのまま就職するの?」

「いや、さすがにしないよ。東京の専門学校に行こうと思ってる」

 東京っていう響きだけでも羨ましい。

「周りはほとんど大学進学じゃん。だからさ、話していてもなんか温度差あるなーとは感じてるし、私はもうやりたいこと決まってるからわざわざ進路の授業やんなくていいし」

 「そうよね」と話を合わすが、私にはそれをどうこう言える立場ではないため、あまりこの話を広げられない。この次になんて返そうか考えている間に教室についたため、「じゃあね」とそのまま各々の席へ向かった。

 授業が始まるまで少し時間はあったが、自分の席に座って別に飲まなくてもいいが、水分を取ったり、筆箱の中身を確認していたら、授業が始まる時間になった。

 今日の内容は入試についてがメインだった。どの入試方法を使うのか、小論文があったりよくある教科試験をしたり面接をしたりなど、先生が話した。

 授業の最後は志望校か具体的に決まってない場合は、やりたいことや興味のある学部等を書くようにプリントが配られた。前から順番にプリントが流れてきて私の元に届いた。1枚取り後ろに流す。ふと、みゆも進路を書いたのかと思ったが、さすがに書くか。

 私はなんでみゆが私に話しかけてきたのかとうっすら疑問に思ったが、それよりもこの課題を片付けることの方が先だ。

 第1希望に私は親と先生が勧めてきている大学を書き、模試で行けそうだと言われてる大学を第2第3希望を埋め、提出した。

 これでとりあえずはいいだろう。

 

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