第6話

 家では、勉強をしろとうるさいため親の帰ってこない時間が1番安心できる。うるさく言われるのも嫌なので親が帰ってきたら自分の部屋にいることが増えた。家に入り、玄関からそのまま自分の部屋に向かう。

 親から塾を勧められているが、別に行く必要は感じていないため親にその話を振られてもスルーしている。

 やりたいこともよく分かってないし、部活には入っていないし、特にこの大学に行きたいとか免許がほしいとかも自分自身分っていない。

 私は、高校卒業して働きたくないし、親も大学に行ってほしいという条件が重なり大学に行くということだけが決まっている状態だ。具体的な志望校は私の得意科目と親、先生との面談である程度絞り、提案された大学に行こうかと考えている最中だ。あとは模試、勉強の結果次第で実際どこを受けるのかを決める予定だ。親は少しでもいい大学に行ってほしいと思っている。だからこそ、勉強しろと親は最近うるさい。

 成績も飛び抜けていいわけでも悪い訳でもない。少し数字に強いくらいだ。

 大学も自分で決めようとしてない私はどうすれば東京でタピオカが飲めるのだろう。

 はぁ、なんだか疲れてきたなぁーー。まだ親は帰ってきてないけれど、ベッドの上に座った。

「どうしようかなーー」

 心の声が口から出てきた。1人しかいない割に大きな声が出た。

 我ながら私自身の将来に無責任だと感じている。しかし、分からないものは分からない。頭のレベルは分かっているから東大とか医学部とかそんな無謀なことはしない。ただトップにはなれないだけは分かっているだけで何がしたいのか何ができるのか把握していないため、選択肢は多数すぎる。自分の能力値がゲームみたいに分かれば簡単なのに。

 数年後の未来は働くことが決まっているし、やらないといけないことも分かっているが、働く実感も何もない。

 親は共働きでせかせかと働いている。そのおかげで不自由なく育ち、高校にも行け、大学にも行かしてくれるのだから感謝はしている。けど、働いている親を見て朝も夜も大変そうだし、なんとなくだが楽しくはなさそう。

 働くことは世の中的に義務だから楽しくないのは仕方がないのだけど、なんだか窶れている親を見て将来の希望はないなと勝手に悲観してる。

 こんなことは親にも先生にも言えないから、自分の中に閉じ込めて終わっている。

 そういえば弁当箱を鞄から出してなかった。

 ベットから立ち上がり制服から部屋着になる。鞄の中から弁当箱を取り出し、自分の部屋から出て台所に持って行く。落ちやすいように弁当箱に水に入れた。そして、洗面所に行き、洗濯物を洗濯かごに入れた。洗面所に来たついでに手洗いうがいをする。お菓子や飲み物を取りに再び台所に向かう。

 これが基本的な家に帰ったときのルーティンだ。

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