第26話 ★
歌詞カードという言葉が懐かしい時代になりました。
たとえば、インターネットで、流行りの音楽・歌詞と調べて、検索すると、その音楽の歌詞がもちろん出てきますが、サビのフレーズなんかは、同じ一曲の中でも1番と2番で同じ歌詞だったりすることもあります。そんなときは、1度目のサビの歌詞をカッコ(←コレ→)で囲い、『★』と記号が振ってアリ、次のサビのところの歌詞になると、この★(繰り返し)と書いていることが多いと思います。
(スポティファイで歌詞を見ていると、同じ歌詞が何度来ても、記号なしで歌詞通りに文字が表示されている。)
それは、まあ、いうなれば、手間の省略ですね。音楽の楽譜でも、同じです。タイという記号があれば、音を伸ばしたりしますが、これは、同じ音符を連ねて書く必要が、タイによって省略できるからです。
とまあ、繰り返しについて話をしてきましたが、本題はそこじゃないんですね。
人間、怒るときって、こんなこと言いませんか?
『何度も同じことを言わせるな!』『前も言ったけどさあ!?』とか、ありますやん。あなたも僕も、一度は言ったことがあると思います。
これって、なんで言わないといけないんですかね。
言った方が馬鹿なのは、知ってましたか?
話は少し壮大になりますが、できるだけ話題に逸れないように努力します。
人生って、一度きりで、できるだけ、色んな事が出来た方が、新しい体験が多いほうが、きっと僕は輝いて見えると思うんですね。
そんなとき、ある人が、前と同じことを言ったとします。僕に。
内容はなんでもいいです。内容は完全に省略して、ちょっと前に『A。』と言ったとしましょう。そして、今また『前も言ったけど!A!』とか『A!何度も同じことを言わせるな!』と言ったとしましょう。
言った人からすると、遺憾かもしれません。僕に前に言ったことを、僕が覚えてなくて、ポカーンとしているわけです。
でも本当にそれでいいんでしょうか?
伝えるのが下手だったのかもしれなくはないですか?それか、忘れるほど久しぶりだったかもしれませんし、それか、僕にとって効果的な説明ではなかったかもしれませんし、とにかく、可能性は挙げたらきりがありません。
だけどあなたは、また、同じことを言ったわけです。Aと。
それで、僕が、覚えられますか?
前にAって僕に言ったけど、僕が覚えてない。大変おこがましい言い方ですが、言い方を変えてみたらどうでしょう?何か、方法があるはずです。
僕も貴方も、『また言わせるのか!』と思うことがあると思いますが、そこはぐっとこらえて、『伝え方が不味いのかもしれないな。』と思い直してみましょう。僕も、気を付けてみますね。
また、余談ですが、認知症などで記憶に障害がある方に対して、『何度も言わせるな!』というのは、大変残酷です。
なぜかというと、忘れているのではなくて、以前の体験自体が抜け落ちているので、今初めてそのことを聞くからです。
認知症の人が、例えば、何度も、『ご飯を食べてないんだけど。』というかもしれません。しかし、当の本人は、今初めてそう言うのです。
対応が少し難しいところですが、主に、その人の状態に寄り添う形で対応したいところです。もし、それを言ったこともすぐ忘れるようなら、『あら、大変!すぐ用意しますね!』と言ってもいいかもしれません。
とにかく、どんな人に対しても、忘れていることを、責めないであげてほしい。認知症の人に限らずです。それは、誰に対しても言えます。僕も、気を付けます。
とにかく、知らないことや、記憶にないことは、当人にとって恥ずかしいことなので、責めないのが基本です。それが、優しさと言えると思います。でもなかなかこれが、思い通りにやるのは、難しいんですよね。
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