第3話 最近とひと昔前の言葉のトレンド

これは、親父が発見した言語的傾向の受け売りなんですけど、ぜひみんなにも知ってほしい。面白い発見を父はした。その父の発見を肉付けしたものを僕が我が物顔で披露するとしよう。さて、では始めよう。


昔(1990年代)のJ-popと言えば、ZARDの『負けないで』やKANの『最後に愛は勝つ』や大事MANブラザーズバンドの『それが大事』などの音楽に見られるように、「負けないこと」が1つのステータスであるかのように語られている。


これは、1990年代の大人たちが上司から殴られ蹴られながらも勝ち負けの社会を生き抜いて成果を上げることを求められた時代を反映した歌詞である。


生きるためには、会社員として働き続けることが大事。それにおいて、一番になるために、他と競争して、勝ち抜いて、良い給料をもらって、それで家庭を持って、家族を養って、良い買い物をして。と言う風なのが当時の社会だ。


今はどうだろう。大企業の会社員になることに憧れ、ホワイト企業を目指す社会人が多いのは今も潮流としては一部根強くあるが、やはりYouTubeなどの動画配信によって生計を立てる大人たちも増えて来た現代では、自分の生活を成り立たせるには、勝ち負けでなく、自分自身が社会に受け入れられるかどうかというのも現代らしい価値観ではないだろうか。


それを考えたときに、よく現代の音楽で聴かれるのはこの言葉である。「大丈夫」だ。


Mrs.GreenAppleの歌で、『ダンスホール』という【めざまし8】のテーマ曲になった歌があったが、この歌の歌い出しは実にこうである。


「いつだって大丈夫 この世界はダンスホール 君が居るから愛を知ることがまた出来る 「大好き」を歌える」


である。


これはもう、勝ち負けではなく、「あなたはあなたでいいよお。あなたがいるから僕はがんばれるよお。」って言う歌詞だ。


アディーレ法律事務所のCMでもサブリミナル的に大丈夫が使われている。


「ちょっとのお借入れでも 大丈夫ですよ。 10年以上前のお借入れでも 大丈夫ですよ。 明細がどこにあるかわからなくても 大丈夫ですよ。」etc...


とまあこんな感じで、実に現代と言うのは、いかに現代人を安心させるかなのだなあと思うのだった。


少し眠くなってきた。この辺でさようなら。

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