第21話 西遊記 ポプラポケット文庫――原ゆたか大活躍

 西遊記の訳本はいろいろありますが、私はこれが好きですね。

 子ども向けですが、すごいですよ。



 西遊記 (全三巻)

 文 吉本直志郎

 絵 原ゆたか

 ポプラポケット文庫 2021/5/28



 原ゆたかは、かいけつゾロリシリーズで有名な人。


 その絵が、毎ページごとにはさまれてます。

 ほとんど絵物語を見る感覚です。


 かいけつゾロリシリーズには流血シーンなんてあるわけないですが、

 こちらは孫悟空が妖怪の頭をぶっつぶすシーンを、ちゃんと描写してます。


 で、吉本直志郎の文もいい。

 西遊記には「尾籠で下劣」な部分がたくさんありますが、日本読者にわかりにくいところ以外は、おそらくほぼすべて訳してると思います。


 孫悟空が二郎真君と化け比べするシーンで、孫悟空は青鷺あおさぎに化けますが、中国では青鷺は「卑しい鳥」らしいんです。

 愚弄する意味で化けたのか? 中指立てるみたいなもの?

 それで二郎真君は「こんな卑しい鳥とは、はりあってられない」と思ったそうで……。


 我々にはちょっと感覚がわからないですが、いろいろと深い意味が隠されてるんです。


 三蔵がさそりの女妖に誘惑されるシーンもちゃんと入ってます。

 そのへん、中国語版では「取経の旅」と「取精」だの「玉茎」だのをかけあわせたアレな言葉遊びがあるらしいです。


 その時、意味ありげに出てくる「おまんじゅう」にも、やはり何らかの意味があるようで……。

 さすがに日本の子どもには意味不明なんで言葉遊びはカットされてますが、そういうシーンがあることはあります。


 もしかしたら、日本で唯一のR15版西遊記なのかもw



 こんな本を読んだ私が、こんな小説を書くのは、やむを得なしッ……!

 「金玉獣遊記」(きんぎょくじゅうゆうき)

 https://kakuyomu.jp/works/16818093082463824652

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