第29話 予言――稀代のモテ男、十蘭

「久生十蘭短篇選」 (岩波文庫 緑 184-1)

久生 十蘭 (著), 川崎 賢子 (編集)

岩波書店 2009/5/15


でも青空文庫にも「予言」があるよ!

https://www.aozora.gr.jp/cards/001224/files/46078_40224.html



久生十蘭……博覧強記の知識をもとに、大胆なプロット、豪華絢爛な描写で人を酔わせる作家です。


まあ、そんなありきたりな説明はどうでもいいですよ。


久生十蘭って、ものすごいモテ男だったらしいけど、本当ですか?


作家とモテって、あまり縁がないじゃないですか。

「檸檬」の梶井基次郎みたいなのが、いかにも作家らしい、これぞ作家という、作家の中の作家ではないですか。


たまにはイケメンの作家もいますが……。


太宰治は、情婦にひきずられて川で溺死。

島崎藤村は、姪を妊娠させた性犯罪者。

中原中也は、妻へのモラハラがすごかったらしい。


昔々、筒井康隆は自分のことを「絵にも描けない美男子」と放言していましたが、その素顔を知った女性ファンは、あまりのショックに著作をぜんぶ古本屋に売ってしまったという……(実話です)


まあ、その……SF業界の中ではイケメンなんじゃないですか……(汗)

小松さんと比べたら、シュッとしてますよね!!


こんなふうに「イケメンだけど……ええと……」ってなるのが、作家ですよね。


でも久生十蘭は、本当にモテたらしい。

さらに、女性とのトラブルもなかったようです。


その文章も、すごいんです。


「このキャラはイケメンです」なんて描写は一つもないのですが、なぜか、登場するキャラが全員美男美女に思えてきます。


「きっとこのキャラはすごい美形なんだろう! そして作者も真正の美男子なんだろう!」と感じさせるような文章です。


中勘助も、日影丈吉も、めちゃくちゃ文章うまいんですが、べつに「キャラがイケメンだ」とは感じないんですよね。不思議だなあ~。


さあ、あなたも文体イケメン作家の世界を堪能しよう!


青空文庫の久生十蘭のページ

https://www.aozora.gr.jp/index_pages/person1224.html

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