第26話 ペドロ・パラモ――これぞマジック・リアリズム

「ペドロ・パラモ」 (岩波文庫)

フアン・ルルフォ (著), 杉山 晃 (翻訳), 増田 義郎 (翻訳)

岩波書店 1992/10/16



フアン・ルルフォは、ラテンアメリカ文学の作家です。

そして「ペドロ・パラモ」と「燃える平原」の2冊しか書いてないです。


え~、そんなのアリ? と思うんですが、本人的にはもう満足してしまったのかもしれません。


「ペドロ・パラモ」ってのは、メキシコを舞台に、過去と現在、死者と生者が交錯し、人々は時間の円環に閉じ込められていく……ってな話です。


その中で、ヒーロー(?)とヒロインがこちらの2人。


冷酷な大地主、ペドロ・パラモがいます。

そして彼は、スサナという女性に恋をしています。


なんですけど~……あのー、このスサナっていう女性が……。

私から見ると、ラノベのヒロインそのままに見えます。


すごい美人!

気が狂っている!

父親と近親相姦している!

ニンフォマニア(色情症)っぽい描写もある!

モノローグでは、ポエムっぽいことをぶつぶつ言っている!


なんつーか、殿方の幻想を煮詰めてハート形のゼリーにしたみたいっていうか。


他の登場人物は、みんなリアリズムの世界に生きてるようなのに、このスサナだけが、ジャパニーズアニメーション調で書かれているように思えます。


えっ、そういう効果を狙っているんだ? 

はあ、そうですか……。



それだったら、短編「アナクレト・モローネス」の、ひげの生えた、いかつい女パンチャのほうが好きですね~。


主人公は「とんでもないご面相だな」と思いながらも、ちゃっかりパンチャと寝る。


そしてパンチャから「あんたって、テクニックゼロよね。他の人のほうがずっと良かったわ」などと、手厳しい評価を受ける。


私はこういうリアリズムカップルのほうが好きですね~。

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