第19話 星は周る――STANDARD BOOKS

年末だ! 大晦日だ! 除夜の鐘だ!



「野尻抱影 星は周る」 (STANDARD BOOKS)

野尻 抱影 (著)

平凡社 (2015/12/14)



ということで『野尻抱影 星は周る』の「除夜」でも紹介しようと思ったのですよ。

大晦日の様子を、星と天体にからめながら、美しく描いています。


~引用~

星はそれぞれの速度で、それぞれの方向に動いている。私たちの地球も太陽に伴って、この一年の間に織女の方向へ六億キロ以上も近づいている。しかも、この除夜にこうして仰いで見ても、また何十年前の除夜にも、更に孫たちが私の年に達した除夜に仰いで見ても、すばるは、オリオンは、シリウスは、全天の星は今夜私が見ているのと寸分も変りのない景観を見せているだろう。



この平凡社の「スタンダード・ブックス」シリーズが、なかなかいいんですわ。


引用 「科学的視点」をテーマに科学者・作家の珠玉の作品を、一作家一冊で紹介するSTANDARD BOOKSシリーズ


編著者が誰だかはわかりませんが、どの巻もセレクションがいい。

装丁もおしゃれだし。



特に印象的なのが「岡潔 数学を志す人に」です。


この方は大発見をする前、しきりに眠たくなったそうで。

ぐーぐー寝てたんですと。


それで「脳の神経が組み変わっていたのではないか」と推察する。

へえ~。

私もそんなふうにして神経を組み替えてみたいですね!



このシリーズのなかで幻想文学ジャンルに縁の深い人といえば……。


「稲垣足穂 飛行機の黄昏」

「南方熊楠 人魚の話」

龍膽寺雄りゅうたんじゆう 焼夷弾を浴びたシャボテン」


ですね。


龍膽寺雄の本はめちゃくちゃ手に入りにくいので、かなり貴重です。

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