第17話 ジャンキーのクリスマス――天寿をまっとうした人。

メリークリスマス!

今日はとっておきのクリスマス・ストーリーを紹介しましょう。



「ジャンキーのクリスマス」ウィリアム・バロウズ

『いずれは死ぬ身』柴田元幸・編訳

河出書房新社 (2009/6/20) に収録



まあ、バロウズにしては普通の小説だし、ちょっぴりハートフルですよ?


このアンソロジーのテーマが「死、喪失、別離、崩壊……」ですけど。



ウィリアム・バロウズ。ビートの作家で、薬物まみれで、ジャック・ケルアックとかアレン・ギンズバーグとかと、わーいわーいと遊んでた作家ですね。


代表作は「裸のランチ」。

埴谷雄高の「死霊」や、トマス・ピンチョン の「競売ナンバー49の叫び」みたいに「わからないけど、とりあえず読んでおくか」という本の代表格ではないでしょうか。


「夢の書 わが教育」なんて読んでみると、ふつうに私小説してると思いますけどね。

「大人になれなかった哀しみ」みたいなものが読み取れます。



それにしても驚きなのは、この作家の体の頑丈さですよ。

83歳でお亡くなりになりました。


薬物中毒患者にしては、異常なまでの長寿です。

薬物やりまくってる人は、突然死したり、脳に障害が残ることがあるそうです。


実は私の祖父も、薬物のせいで精神病院に入院していたことがありましてね。

祖母が書いた闘病記を読むと、もうめちゃくちゃ錯乱してます。

そして早死にしました。


そんなわけで「薬物やりながら小説書くなんて、ものすごくタフな人なんだなあ~」と思うわけです。

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