第12話 カッコウが鳴くあの一瞬――中国悪夢的不条理文学

「カッコウが鳴くあの一瞬」残雪


池澤夏樹の世界文学全集にも「暗夜」が入っているので、意外と知ってる方は多いんじゃないでしょうか?


中国のカフカともいわれる、悪夢的実験文学を書く作家です。

ちなみに女性。


「カッコウが鳴くあの一瞬」は短編集なんですが、どの話もネトネトベチョベチョしています。

登場人物全員、鼻水と血を垂らしてて、あちこち汚物にまみれてるような舞台で、ストーリーが進んでいきます。


なんだその話?

いやまあ、読めばわかります。ほんとにそんな話です。



私は以前、中国語を勉強してまして。

「好きな作家の小説を原文で読もうぜ!」と思ったんですね。


「最後の恋人」の原書を手に入れました。


……読めない。一行も。

私の中国語読解レベルが低い。もちろんそれもあります。


でも「これほんとに中国語? 古代ハングル語じゃない?」っていうくらい、意味不明な文章が連なっているのです。

教科書に載ってるくらいの文法では、まったく歯が立ちません。


あまりにも前衛的すぎて、何を書いてるのかサッパリわかりませんでした。



作者はさぞかしおかしい人なんだろうと思ったのですが、実は健康そのもの。


ごくふつうの顔立ちで、夫がいて、漢方薬に詳しく、食生活に気をつけて、毎日ジョギングしてるとか。


へ、へえ~……? さすが中国ですね!

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