第11話 プラテーロとわたし――我が愛しの銀のロバ

「プラテーロとわたし」 (岩波文庫 赤 733-1)

J.R.ヒメーネス (著), 長南 実 (翻訳)

岩波書店 (2001/2/16)



スペインの田舎町で、詩人は銀色のロバと共に暮らす……。


「これ幻想文学?」といわれるかもしれませんが、そうだと思います。


舞台となってる場所を写真にとったら、おそらく単に「退屈な田舎町」だと思うんですよね。

でも詩人の手にかかると、地上の天国のように活写されます。

文章がものすごく美しい!


これがプラテーロ(ロバ)とのふれあいです。



 わたしはプラテーロを、こどもにたいするように扱う。もし道がけわしくなり、少しでもわたしの重みが加わるようになれば、下におりて軽くしてやる。プラテーロにキスしたり、だましたり、おこらせたりする…… でもわたしが愛していることを知っているから、恨みにおもうようなことはない。あんまりわたしと共通していて、あんまり他のものたちと異なっているから、プラテーロの夢でさえも、わたしの夢と同じにちがいない、と信じるようになった。

 プラテーロは情熱的な娘みたいに、わたしに首ったけだ。けっして逆らうことはない。わたしがかれの幸福そのものだ、ということをわたしは知っている。かれはほかの驢馬ろばや人間を避けようとさえする……


 

 いささか、常軌を逸しているような……。

 いくらカワイイといっても、ロバでっせ?


 もし現代日本に、こういう「純粋な魂」の持ち主がいたら、ぜったいに白眼視されますよね。


 まあその当時でも、作者はジプシーのこどもたちから「エル・ローコォー!」(狂人)っていわれてますけど。

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