19 夏焼 今度こそ家にもどる
誰も聞いてないよな。よし。正直に言おう。
正直、しんどい。
鼻水でるし。頭はモヤモヤするし。ひょっとして図書室に居た時から風邪の症状出てたのかな。あ、だめだクラクラする。
最寄り駅に戻ってきた俺は、ふらふらしながらコンビニに寄った。手当たり次第にカゴに商品を入れてマンションに戻りたくないけど戻る。でももう、親父とか女がどうとか気にする力はなかった。寝たい。でもシャワーも入りたい。あの騒がしい街の匂いはやっぱり苦手だ。
玄関ドアを開ける。革靴が一足。リビングに人影。誰かがやってくる。たぶん親父。何か言っている。「こんな時間まで何してた?」うるさい、自分のせいだろ。今、それどころじゃないんだ。俺は親父を無視して部屋に入り、荷物を置いて風呂場に向かった。
あの女が使ったであろう後にシャワー使うのも気持ち悪い。でも、このしんどさも不快さも全部洗い流したかった。熱がごまかせないと思ったけど、逆にくらくらしてくる。風邪薬あったかな。何も考えられない。もう寝たい。
シャワーからあがって部屋着に着替えた。タオルで適当に髪を拭く。
明日どうしようかな。家で寝てて、またやってくるあの女のママゴトに付き合うなんて絶対嫌だ。どうしようかな。どうしようかな。
タオルを巻き込んだままベッドに倒れ込んだ。そこで俺のバッテリーがゼロになった。
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