have


 もう、生きている意味が見つからない。


 あの知らせを聞いたとき、私はそう思った。だって、余命半年って言ってたよね。まだ1ヶ月も経ってないのに。


 私と一緒にいるのがそんなに嫌だった?


 ねえ、教えてよ。答えてよ。羽生はぶ





 いつの間にか羽生はぶのお葬式は行われたらしい。でも、仮に呼ばれたとしても行きたくなかった。


 親友の死なんて認めたくない。まだまだ、見せたい絵とか小説、話したいこと、伝えたいこと。いっぱいあるのに。


 私の人生って、悪いことばっかだったな。





「ねえ、あれって松本さんじゃない?」

「松本さんって自殺しようとした人だよね」

「なんか怖い、関わらない方がいいんじゃない?」

「こっちは嫌なことに耐えてるのに、簡単に死にたいなんてメンタル弱」

「うわ、こっち見た」


 退院して、久し振りに学校へ行ってみたが私の予想通りの結果だった。


 私の味方は羽生はぶしかいなかった


 また、いじめられる。


 足が不自由だからって。車いすに乗ってるからって。自殺しようとしたからって。


 また、死にたくなる。


 死ねばこんな苦痛から開放される。死ねば自由になる。死ねば羽生はぶに会える。


 死にたい。死にたい。死にたい。

 


──ねえ、あすって好きな人とかいる?



 この前、貴方はそう私に訊いた。



──いないかな……?



 あのときはそう答えちゃったけど。嘘。いる。いるよ。


 羽生はぶ


 貴方のことが好き。


 貴方が言ったんだよ。「女の子が女の子を好きになってもいい」って。


 だから私は貴方に会いに行く。


 現実は大嫌い。貴方は大好き。


 もう、現実を捨てたっていい。将来はきっと何もない。あるわけない。

 


 神様。今度こそ。私を死なせてください。




 そして、その日。


 彼女の部屋からは、血まみれになった包丁と女性が発見された。


 

 

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