女の子を好きになる。
「ねえ、あすって好きな人とかいる?」
いつものように
「好きな人?」
「うん。今までに好きな人とかできたことないの?」
好きな人……?
「いないかな……?」
「え!?いないの!?恋したことも!?」
「うん、たぶん」
「男子のことも女子のことも好きになったことないの?」
「女の子が女の子を好きになるっておかしくない?」
普通、異性間で好きになるよね。
「全然、おかしいことじゃないと思うよ」
「え?そう?」
「うん」
女の子が女の子を好きになる……。
「私だってたまに女の子を好きになることあるよ」
「え?」
私が言った「え?」は「そうなんだ〜」って感じの「え?」だ。
「もしかして引いた?私のこと」
「え、いや全然そんなんじゃないよ!別に誰か好きになるのは個人の自由だと思ってるし」
「なんだ、よかった」
なんか、
「あ、そうだ。もうすぐ私、退院するんだ」
昨日、お母さんから言われた嬉しいことを
「え、そうなの?いつ?」
「あと、1週間後くらいかな。退院したら会えなくなっちゃうね」
「そうじゃん!たまにはお見舞い来てね!」
「うん!絶対に行く!」
今、振り返ると私達は最初に会ったときと比べて大分打ち解けてるな。まあ、私が人見知りなだけだけど。
「
できれば
「できないよ」
彼女の声は優しかったがその言葉には陰があった。
「ずっと死ぬまでここにいるんだ。でも、もう退屈じゃないよ」
私とは目線を離してゆっくりと話す。
「だって、今の私にはあすがいるもん!」
その言葉が私の胸の奥に入った。その言葉はあったかい。
「ありがとう」
退院前日になった。
色々、病室の荷物をまとめたり、入院中に描いた何枚のも絵もリュックに詰めて。そして最後に
毎日、彼女が私の部屋に来ていたので今日くらいは私から
エレベーターに乗って自分の手で一生懸命車いすを動かしてやっと彼女の病室に着いた。
コンコンコン……。
と、部屋をノックしてドアを開ける。
「
私は近づいて彼女の寝顔を覗き込むとどこか少し苦しそうな表情をしていた。
今日は体調悪いのかな……?
私は諦めて病室から出ようとする。
「また、絶対に顔を見に行くからね。
それだけ残して私は病院から去った。
でもこれ以降、彼女の顔を見ることはもう二度と出来なかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます