第3章 魔本家への召喚41 魔本家
紫生と桃李は豪華な部屋の猫足のついたソファに坐っていた。先ほどから無言だったが紫生が口を開いた。
「いったいなんでここに連れて来られたの?」
「分からない」
「本家の人たちの気が変わったのかも。今度こそ殺されるんだわ」
はじめてここに来た時は海も一緒で、海は魔族の狩りを目撃した人間として殺される寸前だった。
「殺されるようなことは何もしていないから心配するな」
「こっちになくても、あっちにあるのが魔本家だもの。海はどうなっているのかしら? もしかしたら海もここに連れて来られているのかもしれないわ」
紫生は海が心配で落ち着かなくなった。すると続き部屋との境に案内役の女性が現れその後ろから怜が入ってきた。
「怜!」二人が声を掛けると
「桃李! 紫生!」と怜も驚いて入ってきた。
「怜、お前なぜここに?」
「服屋の試着室にいたらいきなりカーテンが開いて中に連れ込まれて、気が付いたらここにいたんだ。そっちは?」
「俺たちも雑貨店のドアを開けたらここだった」
「ここはどこなんだ?」
「魔本家だよ」
「え? ここが?」怜はびっくりした。本家は初めてなのだ。
「ええ。さっき案内してくれた女性に前にも会ったことがあるの」
「でもどうして僕たちがここに集められたんだ」
「さあ、どっちにしてもろくな用じゃないさ」
「聞えるわよ」
紫生がそういった途端に続き部屋から女性が現れ三人についてくるように促した。
三人は女性の後をついて歩くと重厚なドアの前で女性が立ち止まりこちらを向いた。すると両開きのドアが静かに開いたので、女性を残して三人は部屋の中に入った。
すぐにドアが勝手に閉まり三人は広い部屋を見回した。
以前来たことがある天井も壁も見当たらない空間で、床一面に深い霧が流れていて足元は見えない。どんどん霧が深くなり一瞬目の前にいる互いが見えなくなったと思ったらすぐに霧が晴れた。
そしていつのまにか少し離れた場所に五人の人影が立ってこちらを見てた。
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