第2章 モモノフvs黒沢会29 狩りの掟

 研究室を出て階段の踊り場で怜を捕まえると、すぐに桃李が問い詰めた。


「おい、怜。本気か? リサを浄霊するなんて。リサが生き返っているわけはないし、リサの霊がいたとしても、俺たちは霊媒師じゃないんだ。

 それに派手に動きまわって俺たちの存在が人間にバレたらどうする。人間だけじゃない。魔本家にでもバレたら、今度こそただじゃ済まないぞ。

 一年前、お前も俺も本家の連中に殺されかけたのを忘れたのか? 俺たちだけじゃない、紫生や海だって」


「リサがスピリットになっていたらどうするんだ?」

「……」

 桃李は答えに窮した。


「生前あれほどのスピリットを呼んだリサだ。リサ自身もスピリットになっていても、おかしくはない。そうなれば、また紫生たちの前に現れるかもしれないぞ」


「もし……、リサがスピリットになっていたらどうするんだ?」

「消滅させる」

 怜は真剣な眼差しでそういった。


 ***

『MAZOKU Journal #8

  魔族の狩りのルール。魔族の狩りは人間界に影響を及ぼしてはならない。また関係のある者同士を狩りの囮にしてはならない。囮のルートから魔族の存在がバレるかもしれないからだ。怜は一年前にこのルールを破ったために本家の使者に殺されそうになった』

 ***

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