第6話

桜花とともに小屋を出て当たりを散策する

一応どこから獣が来てもいいようにと丈夫な木と石で作った簡易的な石槍を装備した。


「〜♪ 」


そして桜花はというと、呑気に鼻歌をご機嫌に歌っていた

あと、こっちをチラチラ見るな


「っ!」

横目で桜花を見ていたら目が合った


「えへっ♡」


「なぁ桜花?」

ふと疑問を投げかける


「ん?な〜に?」


「その気持ち悪い言葉遣いなに?語尾の♡もちょっと......」


「き、きもちわるい!?」


「うんとてもね」

「ガーン」


ガーンとか言葉にする初めて見たわ


「酷いよ!私だってか弱い女の子なんだよ!?」


「か弱い?」

石で獣の頭をぶっ潰して小屋を血だらけにした人が?


「精神面以外では、か弱い女の子だよね」

「んな!?酷い!心もか弱いよ!」

「てかなんで口調が変わったの?昨日から思ってたけどなんかあった?失恋でもした?」


「デリカシーが皆無!?いい?駿君。女の子に気持ち悪いとか言っちゃダメなんだよ!女の子は何時でも可愛いと思ってもらいたい生き物なんだから!」


「おぅッ、そんなもんかね?女子って」

いきなり熱弁してきても反応に困る。そのせいか少し覚めた返事をしてしまった


「態度が露骨に出てるけど...まぁ、そーいうものなのです!おーけー?」


駿はおーけーと答える


「というか!駿くんもだいぶ口調変わってると思うけど?」


「あ〜まぁなんと言うか成り行きで?」


「概ね把握」


などなど桜花と雑談していく。


「うーん何も無いなぁ。人はおろか獣すらなかなか出てこない。せめて獣はでてきて欲しかった」


あれから小一時間ほど周囲を歩いたが木々があるだけで何も無かった


「なんで獣が出てきて欲しいの?」


「小屋にいる獣でいつまで腹は持つと思う?すぐに餓死するぞ?」


「そうだった....!」


はっ!と気づく桜花


「でも獣が来るなら昨日の以外でお願いしたいな...」


それに関しては同感だ。さすがに2日連続死ぬ思いはしたくない

願わくば簡単に捕れ、殺意満々な奴以外がいいな〜







さらに1時間ほど歩いても何も無い


「ふぇーん、木だけ見ても面白くないよ〜

もうちょっとこう、刺激が欲しい!」


「言ってることはわからんでもない。流石にこれだけ歩いて何も無いのはキツイな。キノコとかも生えてないしな。木は実用性が高いけど切り倒す手段は....あるっちゃあるがそれを準備、製作するまでが面倒臭いし、魔法はそこまで殺傷能力はないしなぁ〜....応用とか出来ないかな?」



「わぁ、駿君いっぱい喋ってる〜珍しい!明日は雪かな?」



(やかましい!俺だって喋るときは喋るわ!)



「雪....か。てか、今季節なんだ?そもそもの話、季節が存在しているのか?」


「調べなきゃいけない事が多すぎ...」


ハァッと二人揃ってため息を着く

流石に最低限のことは用意しておいて下さいよ多分俺らを転移させた神様よ.....



「今日のところはここまでにして、そろそろお暇しま───す?」


「ん?どうしたの?」


帰ろうと言おうとした手前、少し背の伸びた雑草の中からが現れた


「「スライムっ!?」」


姿を現したのスライムであった


「えっ?キモ...」

「呆けるな!構えろ!」


スライムが襲いかかってきた

咄嗟に石槍を構え、スライムを突いた。


───しかし、スライムには効かなかった───


「うわっ何だこのスライム、硬っ!?!ちょっ、桜花!援護頼む!」


「え?あ、う、うん───それ!」


桜花はスライムに向かって火魔法を放った


───しかし、スライムには効かなかった───


「「んなっ!?」」


スライムは攻撃態勢に入り、なにかをしようとしてくる


「ヤバい!1度体制を立て直すのにここから離れるぞ!桜花?」


「キモイキモイキモイ.....何アレ!?スライムもっと可愛くなかった?ほら!ドラ〇エとかもっと愛嬌があって人気じゃん!!」


「知らんわそんなもん!そもそもあれはゲームの世界の話だから!?」


ブツブツと桜花は文句を垂らしていた

「そんなことよりヤバい、なんかあのスライムは絶対危ない気がする!!」


「駿君、語彙力!!」


「おだまり!こんな状況じゃあ語彙も無くなるわッ!クソ〜戦略的撤退〜!!」


2人で森を駆け、小屋へと繋がる道を走った





──────

スライムを何とか撒き小屋へと戻れた駿と桜花


「何アレ?昨日のやつよりヤバいじゃん...この世界のスライムはあんなに強いのか?」


「もうヤダ、スライムが強い上にキモイのは無理....」


(見た目は確かにグロかった、出来れば俺も二度と見たくない)


「なんで!?目がギンギンに開いてて、血管がめちゃくちゃ浮き出てたし顔のパーツがぐちゃぐちゃだったし、ポテトへ〇ドもびっくりだよ!?その上、あんなに硬いなんて〜」


「槍で突いたときスライムの背中に目が10数個はあったぞ」


「いやぁぁぁ!!聞きたくない!想像しただけで鳥肌が....」


(軽くホラーだったな。桜花はもうトラウマになっているが)


「先行きが不安すぎる.....俺たちこの調子で生きていけるのか?」


「もうヤダ〜!!もっと異世界転移なら夢を持たしてくれても良かったのに!」


「はぁ〜しばらくご飯は残りの肉、なくなったら木の実生活だな」


いよいよ桜花は倒れて、静かに寝息を立てて寝た


モンスターか....倒せるような力が少しでもあればなぁ

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